「誰もが通える塾」を目指し、月謝1万円未満で質の高い個別指導を実現!ファイト学習会にインタビュー

月謝を抑えることで、誰もが通える学習塾を目指す――。2012年に創業したファイト学習会は、神戸市を中心に8つの教室を展開しています。「安くて質の良い教育を水道のように張り巡らせたい」という理念のもと、地域に根ざした教育を提供し続けています。兵庫県神戸市・西宮市・尼崎市の各駅に広がる同塾の特徴と展開について、代表の北浦先生と教室長の菅原先生にお話をうかがいました。

- 北浦 壮(きたうら たけし)先生
- 日本教育設計株式会社 代表取締役社長 関西大学卒。15歳で家庭教師を始め、以降教育関係と夜のアルバイトをしながら司法試験を目指す。26歳で司法の道を諦め、関東の大手集団塾に就職。関西の大手個別指導塾でエリアマネージャーを経て、2012年ファイト学習会を創業。
全生徒の平均月謝1万2000円台!神戸エリア最安値の個別指導を実現
——本日はよろしくお願いします。ファイト学習会を開校したきっかけについて教えてください。
最初に「WinStar個別ONE」を2012年に創業した際は、いわゆる大手の個別指導を基準にした、一般的な個別指導の料金に設定していました。ところが「通いたいけどお金が厳しい」というご家庭が一定数いることに気づき「もっと気軽に通える個別指導塾を作りたい」と考え、同年7月にWinStar個別ONEの半額程度の料金でファイト学習会を開校しました。
この近隣の個別指導塾の月謝は3万から4万円、高いところだと5万円ぐらいになるのですが、ファイト学習会は生徒単価が12,000〜13,000円という水準を維持しています。最近は低価格の個別指導も増えてきていますが、平均単価では私たちが最も安い水準を保っています。
——どのように複数校舎へと展開していったのでしょうか?
最初に神戸市の新長田に教室を開設したのですが、これが大ブレイクして大きな転機となりました。「どの塾に通うか」と選択肢があるご家庭ではなく、「そもそも塾に通えなかった」というご家庭の生徒が来てくれるようになったのです。
最初の教室に通っていたちょっとヤンチャな(笑)生徒が無事に公立高校に受かったのですが、彼が「後輩にも通わせたいけど距離が遠くて通えない」というので、それに応える形で隣駅の鷹取に2教室目を開設しました。
——なぜ低価格で授業を提供できるのでしょうか?
実はテナントの大家さんが、私たちの理念に共感してくださり、賃料を1/3にしてくださったのです。そのおかげで、駅前の好立地にも教室を構えることができました。
松下幸之助の「安くて質の良い電化製品を日本全国に水道みたいに張り巡らせる」という水道哲学にインスピレーションを受け、「安くて質の良い教育を水道みたいに張り巡らせる」というコンセプトで展開していったところ、評判が広がり、今では8教室まで拡大しています。神戸、西宮、尼崎の各駅ごとに「児童手当で通える塾」というコンセプトで展開しています。
——出店戦略があったのではなく、ご家庭のニーズに応えた結果、現在の規模になったのですね。
そうですね。出店エリアについては、率直に申し上げると、一番最初に教室を出した新長田は、お金持ちが多い灘区などと比べて、どちらかというと下町と言われる地域でした。
その後の展開については、先ほどお話ししたとおり、生徒にお願いされたり、評判を聞いて「遠いから通えない」という声に応える形で出店していきました。尼崎の立花教室も知り合いの方から「ぜひここに教室を出してほしい」と言われたのがきっかけです。結果的に、そういった下町エリアでの展開が多くなっています。
個別指導と自立学習の使い分けが可能
——ファイト学習会には2つのタイプがあるとうかがいました。その違いについて教えていただけますか?
ファイト学習会には、個別指導型と自立学習型の2パターンがあります。個別教室は一般的な1対3の個別授業で50分授業を実施しています。それに対して自立教室は自由時間制で「17時半から21時半の間でしたら、何時に来ていただいても大丈夫ですよ」という形で、学習時間をとにかく増やして、学校の進度よりも早いペースで進めていきます。
当初は全教室で1対3の個別指導をやっていたのですが、個別指導だけではインプットがメインになってしまい、アウトプットの時間が取れません。アウトプットのときこそ一番成績が上がるというのが長年の経験からわかっています。とはいえ、教室の広さの問題もありますし、設計を変えるのも難しい状況でした
そこで、自転車で行き来できるぐらいの距離感にもう一つの教室があることを活かし、片方を従来どおりの個別指導、もう片方をアウトプットに特化した自立型に変更しました。生徒によってどちらが合っているかは異なりますので、両方の選択肢を用意し状況に応じて教室間の移動も可能にしています。
個別指導を受けていてアウトプットが減っているなと思えば、自立型に切り替えるなど両方を使えるのはファイト学習会の強みです。
——他塾にはない特徴ですね! 個別指導だとやはり金額がかかるかと思うのですが、週何回通う生徒さんが多いですか?
2回か3回の生徒が多いですね。主に英数を受講しています。週1の子も多く、週1でも面談や受験の進路相談もできるので、週1の通塾だから成績が伸びないということは一切ありません。教室に来て勉強をがんばってもらうのがその塾の地域の信頼だと思うので、他の塾のように週1回の子を冷遇するなんてことは一切ありません。
もちろん週3回4回と来てもらって構いませんが、ファイト学習会としてはあくまで「通える塾がある」というのを大切にしています。
——定期試験対策は、塾ではどのように実施されていますか?
直前の土曜日と日曜日を使ってテスト対策を実施しています。これは中高生対象で、中学生は5教科の対策です。通常授業でも対策をしていかないといけないので、「テスト範囲の単元を3周して、やっと平均点が取れるぐらいです」という形で保護者さんにはお伝えしています。
週2回以上受講している生徒には、理科社会の映像授業も無料で提供しています。曜日と時間を決めて視聴できるようにしており、週2回の料金で実質週3回来られる上、理社の映像も見られ、テスト前の対策も2日間で3300円という形になっています。
——その価格で映像も見られてテスト対策もできる塾は聞いたことがありません。
正直、この追加サービスについては料金設定を間違えたと思ったのですが(笑)、利用する生徒も多いので満足度アップになっています。
人柄重視の講師採用、元生徒が看板講師として活躍
——講師の採用について、どのような基準で選考されているのでしょうか?
基本的にはIndeedやタウンワークなど一般的な募集媒体を使っていますが、特徴的なのは元生徒からの応募が多いことです。塾の理念やスタイルをよく理解してくれている元生徒は、採用後すぐに看板講師として活躍してくれています。
実は、講師は学力で選んでいません。最低限の学力は必要ですが、それ以上に人柄を重視しています。大学に進学しなかった高卒の講師もいます。
たとえば、偏差値40程度の高校卒業で、偏差値30台の大学を中退した方もいました。一般的には塾講師として採用されにくい経歴ですが、人柄が非常に真面目で信頼できるタイプだったので採用しました。人物重視の採用を本気で行っているため、講師陣の平均偏差値はもしかしたら日本で一番低いかもしれません(笑)。
それでも「教える」ことよりも生徒が自ら勉強をするように引っ張っていくことが成績アップにつながるのは確かなので、今後も人柄の採用を重視していきます。
——個別指導と自立型の2教室の運営ですと、教室長は同時に教室を見ることになるのでしょうか?
1人の教室長が2教室を持って運営しているため、それなりに1人が抱える生徒数は多い人で100名、少ない教室でも50~60名を見ています。
また、リーダー講師と呼ばれる先生がいて、教室長の代わりに教室を回してくれたりします。2教室あっても片方の教室に社員が入れないときには、学生講師にオペレーションを任せることもあります。結果的に「自分たちがこの教室を背負っている」という意識の高い先生が多いのが特徴です。
「机と椅子と先生」だけで質の高い指導を目指す
——立地や指導にいたるまで大手塾がやっていることと真逆ですね。
塾の費用って、いろんなものが乗っかって最終的にわかりづらい金額になっていると思うんです。たとえば、テレビCMや新聞折込チラシの広告費など、大手塾や準大手の場合、かなりの金額が授業料に上乗せされることになります。
私たちは折込は一切せず、自分たちで空き時間を使ってポスティングをしているのみです。教室内の設備も本当に机と椅子しかありません。あとは指導する「先生」がいて、本来はそれだけで済むはずです。不要なものを削って、本当に必要なお金だけをいただく、そんな塾があってもいいのではないかと考えています。
安全面での配慮として各教室にWebカメラを設置し、教室長が不在でもすぐに連絡網で責任者に連絡が行く体制を整えています。そういった安全面の配慮も、保護者の方に安心していただけるポイントの一つです。
——生徒の特徴や、教室の雰囲気についてはいかがですか?
アットホームな教室の雰囲気を心がけています。もちろん「勉強しよう、がんばろう」とは言いますが、日々の会話を大切にしながら、子供たちが少しでも笑顔になって帰ってくれることを願って教室の雰囲気づくりを心がけています。
地域の特徴として、4人兄弟や5人兄弟の家庭が多く、兄弟で通ってくれる生徒も多いです。これは満足度の高さの表れだと考えています。同じマンションの子供たちが多く通っているケースもあり、塾が地域のコミュニティのような存在にもなっています。
——最後に塾を探している保護者にメッセージをお願いします。
「授業料が高くて塾に通えない」という子供たちは、私たちの想像以上に多いと思います。そういった子供たちにこそ来てほしいですし、学校では難しい子と言われているような子にもぜひ来てほしいです。面倒見の良さには自信を持っています。
このような価格設定の塾ですが、社員たちにはきちんとボーナスも払い、それなりの給料も渡しています。20年以上この業界でやってきた経験もあり、安いけれども「安かろう悪かろう」ではありません。教育の質や知識、ノウハウに関しては自信があります。
松下幸之助にならい、「社会インフラとしての私教育」という理念のもと、誰もが通える塾を目指して運営を続けています。お子さまの勉強のことでお悩みがあればぜひご相談ください。
——本日はありがとうございました。
取材協力:ファイト学習会