- 塾選びで失敗する原因
- 目的と自己分析に基づく失敗しない塾の選び方
- 年間費用の正しい見方
- 見学で確認すべきチェックポイント
高校生の塾選びは、大学受験の成否を左右する重要な要素の一つです。しかし「有名校の合格者数が多いから」「友人が通っているから」といった表面的な理由で選んでしまい、後悔するケースも少なくありません。
本記事では、失敗しない高校生の塾選びを7つの章にわけて解説します。塾選びを失敗する原因や、目的別の選び方、費用の正しい見方そして実際の塾見学で確認すべきポイントまで、役立つ情報を揃えました。
最低でも3つの塾を比較検討し、生徒本人が納得できる塾を選ぶことで、志望校合格への確かな一歩を踏み出しましょう。
- なぜ塾選びで失敗するのか?
- 原因1:合格実績の数字の「落とし穴」
- 原因2:自分の学習課題を分析できていない
- 原因3:塾のタイプを正しく理解していない
- 原因4:塾の費用の全体像を確認していない
- 目的に応じた塾選び|一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜・定期テスト対策
- 一般選抜対策での塾選び
- 総合型選抜(旧AO入試)対策での塾選び
- 学校推薦型選抜(推薦入試)対策での塾選び
- 定期テスト対策での塾選び
- 塾の見極め方
- 集団塾が向いているケース
- 個別指導塾が向いているケース
- 映像授業塾が向いているケース
- 学習管理型塾が向いているケース
- オンライン塾が向いているケース
- 塾の費用はいくらかかる?
- 塾の費用は指導形態によって様々
- 年間費用の目安(高校3年生の場合)
- 費用を抑える方法
- 避けた方がいい塾とは
- 1. 実績の確認方法(合格率の公開)
- 2. 価格の妥当性
- 3. 口コミの信頼性
- 4. 営業の提案が誠実かどうか
- いい塾の見分け方も併せて知っておく
- 塾見学で確認したいポイント
- 1. 講師の質を見極める
- 2. 学習に適した環境か
- 3. 丁寧に教えてもらえるか
- 4. 進路相談はしっかりできるか
- 5. 授業と教材は自分に合うか
- 6. 通いやすさ
- 7. 授業スケジュールは調整可能か
- まとめ
なぜ塾選びで失敗するのか?

塾選びで後悔してしまう保護者や高校生には、共通する失敗の原因があります。
塾選びの失敗は偶然起こるものではありません。事前の確認不足や思い込みによって、起こってしまうものなのです。
この章では、調査から明らかになった主に6つの失敗の原因を解説します。ぴったりの塾選びに役立ててください。
原因1:合格実績の数字の「落とし穴」
「○○大学合格者100名!」という華々しい宣伝に、惹かれる生徒や保護者は多いのではないでしょうか。実は、この数字には大きな落とし穴があります 。
合格者数と合格率は全く違う
注目すべきは、「合格者数」ではなく「第一志望校合格率」です。例えば、ある塾によるA大学の合格実績が100名だとします。しかしA大学の受験者数が1000名いれば、その塾の合格率はわずか10%に過ぎません。
大手塾では特待生制度を活用し、優秀な生徒を無料で受け入れることで合格者数を増やすケースが珍しくありません。つまり、もともと優秀だった特待生の実績を、あたかも通常の指導による成果のように宣伝している可能性があり、こちらも注意が必要です。
「全校舎合計」の数字にも注意
さらに、合格実績が「全国の校舎の合計」であるケースも多くみられます。自分が通う予定の校舎単体の実績についても、必ず確認しましょう。
塾を選ぶ際は、合格者数の多さではなく、一般生徒の第一志望校合格率を確認しましょう。この数値を公開していない塾については、より慎重に検討することをおすすめします。
原因2:自分の学習課題を分析できていない
2つ目の失敗の原因は、生徒自身が自分の学習課題を正確に把握できないまま、塾を選んでしまうことです。
塾選びより先に「自分を知る」ことが必要
塾を選ぶ際は、塾の合格実績やブランドといったスペックの比較に注目されがちですが、まずは「自分の学習課題(なぜ成績が上がらないのか)」の分析が肝心です。。
つまり、「数学が苦手」という漠然とした認識では、ぴったりの塾を選べないということです。必要なのは、さらに深く自己分析して課題が解決できそうな塾を探すことです。
行うべき自己分析の具体例
以下は、その例です。
- 数学の基礎(例えば計算力)が身についていないのか不足しているのか
- 基礎は定着しているが、応用問題を解く力がへの対応力が足りないのか
- それとも自分で学習する習慣そのものに課題があるのか
たとえば、計算力に課題がある生徒が難関大学向けの集団授業塾に通っても、授業についていけなくなる可能性が高いです。同様に、自分で学習する習慣が身についていない生徒が、授業の収録映像を見て学ぶ形式の塾を選んでも、自分で学習管理ができず、効果を得ることは難しいでしょう。
生徒自身の現在の学力レベルと具体的な弱点を客観的に分析することが、ぴったりの塾を選ぶ第一歩となります。
原因3:塾のタイプを正しく理解していない
3つ目は、塾が集団指導、個別指導などどんなタイプかを理解できておらず、、生徒や保護者が期待する内容との間にズレが生じてしまうことです。
「個別指導」は必ずしも1対1ではない
最も多い誤解が「個別指導はマンツーマン(1対1)で行われる」というものです。実際は、講師1人が生徒1人を付きっきりで見るのではなく、生徒2~3人を同時に指導する形式が一般的です。
つまり、講師が他の生徒を指導している間は、講師を待つ必要があり、その時間にもしっかりと自分でも学習できるかどうかが課題になります。入塾前に「1対何人の指導か」を必ず確認しましょう。
進学塾と補習塾の違いを見誤る
「成績を上げ、志望校合格に導いてほしい」と希望して進学塾を選んだつもりが、実際は、学校の授業理解や宿題のフォローが中心の補習塾を選んでしまうケースも多くみられます。
一般に「塾に行けば成績が上がる」と考えられがちですが、塾の機能も様々です。時間とお金の浪費にならないよう、見極めが重要です。
原因4:塾の費用の全体像を確認していない
4つ目は、塾にかかるコストの全体像を把握しないまま、安易に入塾を決めてしまうということです。全体でいくらかかるかをあらかじめ確認することが大切です。
「隠れコスト」の存在
一般的に、塾ではどんな費用が発生するのでしょうか。月々の支払い以外に、次のような追加費用が発生します。
- 入会金
- 教材費・模試代
- 諸経費/施設維持費/システム利用料
- 季節講習費(最大の「隠れコスト」)
注意したいのは、夏期講習・冬期講習の費用です。これは、毎月の通常授業とは別であることが多く、特に受験生の夏期講習ともなれば10万~20万円、場合によってはそれ以上の費用が生じます。
毎月の授業料を安く設定して生徒を集め、夏、冬の講習でしっかりと収益を確保する。そんなビジネスをしている塾も少なくありません。入塾を検討する際は、1年間でいくらかかるかを必ず書面で確かめるようにしましょう。
なお、塾に通い始めるタイミングについては、【高校生必見】いつから塾に通うべき?ベストなタイミングと塾選びのポイントを徹底解説!で詳しく解説していますので、塾選びを始めるタイミングが気になる方はこちらの記事も参考にしてください。
塾選びの失敗は、偶然ではなく構造的に起こります。これら5つの原因を理解し、一つひとつ確認していくことで、ミスマッチを防ぐことができます。
目的に応じた塾選び|一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜・定期テスト対策

塾選びでまず大切なのは、ゴールはなにかを明確にすることです。
大学入試ひとつをとっても、一般選抜、総合型選抜(旧AO入試)、学校推薦型選抜(推薦入試)と様々です。学校の授業理解や定期テスト対策のために入塾したいという人もいるでしょう。
目的と塾の役割を正しく理解することで、ミスマッチを防ぎ、効率よく目的達成につなげることができます。
大学入試の種類については、【完全ガイド】大学入試の種類には何がある?で詳しく紹介しています。
一般選抜対策での塾選び
1. 特徴
一般選抜は、科目ごとの理解度を底上げし、過去問演習を通じて実戦的な得点力を鍛える「学力勝負」の入試方式です。限られた期間で学力を伸ばせる、そんな目的に合った塾を選びましょう。
2. 塾の役割
- 志望校の出題傾向に基づいた、対策の設計
- 不得意分野の克服に向けた指導
- 模試結果を踏まえ、継続的に成績アップにつなげる戦略作り
3. チェックポイント
- 志望校に詳しい講師が在籍しているか
- 現在の学力に合ったクラス・教材があるか
- 学習計画と進行管理が適切に行われているか
4. 相性の良い塾タイプ
集団授業塾:基礎が固まり、難関校を目指す生徒向け
個別指導塾:苦手科目の克服を重点的に行いたい場合
映像授業塾:自走力が高く、自分のペースで進めたい生徒に最適
一般選抜に強い塾の比較ポイントは、大学受験に強い塾選びで詳しく紹介しています。数学を重点的に伸ばしたい場合は、おすすめの数学専門塾も参考になります。
総合型選抜(旧AO入試)対策での塾選び
1. 特徴
総合型選抜(旧AO入試)では、学力試験よりも「思考力・表現力・志望理由」が重視されます。小論文や面接対策は専門性が高いため、体系的な指導が重要です。
2. 塾の役割
- 小論文の指導(文章構成・論理性・表現力対策)
- 志望理由書や活動報告書の作成支援
- 模擬面接やプレゼンテーション指導などの対策
3. チェックポイント
- 小論文の添削指導の仕組みが整っているか
- 面接練習が充実しているか(回数の確保や質)
- 志望理由書の書き方を丁寧に指導しているか
4. 相性の良い塾タイプ
総合型選抜専門塾:短期間で必要な表現力を磨きたい場合
個別指導塾:書類・小論文を丁寧に仕上げたい生徒向け
総合型選抜の専門塾については、総合型選抜(AO入試)対策におすすめの塾18選を参考にしてください。
学校推薦型選抜(推薦入試)対策での塾選び
1. 特徴
学校推薦型選抜では、評定平均(内申)と提出書類、面接などが総合的に評価されます。日々の定期テストの結果が直接合否に影響します。
2. 塾の役割
- 定期テスト対策による評定向上
- 志望理由書や活動報告書の作成支援
- 面接トレーニングによる説明する力の強化
3. チェックポイント
- 各高校の指導内容に対応できるか
- 定期テスト対策が十分か
- 書類作成や面接練習が充実しているか
4. 相性の良い塾タイプ
個別指導塾:学校ごとの範囲や教材に合わせやすい
専門塾:書類作成や面接対策を重点的に行いたい生徒向け
大学によっては英語資格(英検など)を出願要件や評価項目に含めることがあります。必要に応じて資格対策を併用する場合は、英検®対策におすすめの塾13選も参考になります。
定期テスト対策での塾選び
1. 特徴
高校では学校ごとに進度や教材が異なるため、定期テスト対策にはきめ細やかな対応が求められます。評定が推薦入試につながるため、各学年を通じて取り組むことが重要です。
2. 塾の役割
- 学校別の定期テスト範囲に沿った指導
- 苦手な単元に応じた集中的な指導
- テスト前のフォロー
3. チェックポイント
- 学校の教材・プリントに対応しているか
- テスト前の対策として補講や質問の対応が可能か
- 学習習慣を定着させるための仕組みやサポートがあるか
4. 相性の良い塾タイプ
個別指導塾:学校ごとの進度に合わせた柔軟な対応が可能
少人数制塾:質問しやすく、理解度をきめ細かく把握できる
定期テスト対策は学校推薦型選抜(推薦入試)とも強く関連しています。推薦入試も検討する場合は、定期テスト対策が充実している塾を検討してみてください。
目的によって塾に求められるサポートは大きく異なります。入試方式や学習状況に合わせて最適な指導を提供できる塾を選ぶことが、効率的な学力向上につながります。
塾の見極め方
塾には、集団授業、個別指導、映像授業、学習管理型、オンラインなど、それぞれに特徴があり、生徒に最適なタイプを選ぶ必要があります。
ここでは、各塾の特徴や注意点を整理します。
集団塾が向いているケース
授業形式: 大人数で一斉に授業を受ける形式。学校の授業に近く、一定のペースで学習が進みます。
集団塾で成果を上げやすいのは、以下のケースです。
- 難関大学を志望している(競争環境が刺激になる)
- 基礎学力が完成している(偏差値60以上が目安)
- 自分の学習課題を把握できている
- 疑問点を積極的に質問できる
注意したいポイント
- 集団授業では「理解したつもり」になりやすいため、復習・演習時間の確保が重要
- 基礎が不十分だと授業についていけなくなる可能性がある
個別指導塾が向いているケース
授業形式: 講師が生徒1〜3名を担当する形式。理解度に合わせて柔軟に指導できるのが特徴です。
個別指導塾は、以下のように特定科目の弱点が明確なケースに向いています。
- 数学の微分・積分など特定単元が理解できない
- 英語長文問題を解くのに時間が足りない
- 学校の進度に合わせて定期テスト対策をしたい
推薦入試に向けて内申点の向上を重視したい場合にも有効です。
詳しい選び方は、【高校生】おすすめの個別指導塾12選|志望校合格に最適な塾の選び方と特徴を徹底解説をご覧ください。
注意したいポイント
塾選びの失敗の原因3:「塾のタイプを指導システムを正しく理解していない」で紹介したように個別指導は、マンツーマンで行われるとは限りません。
講師1人が生徒2〜3人を担当することも多いので、体験授業で以下を確認しましょう。
- 実際の担当人数
- ほかの生徒を指導中の「待ち時間」の有無
- 説明の分かりやすさ
- 理解度の把握が丁寧か
個別指導塾は様々な講師が所属しているケースが多いため、講師が固定されているかどうか、確認しておくと安心です。
映像授業塾が向いているケース
授業形式: 事前に収録された授業の映像を視聴し、自分のペースで学習する形式。繰り返し視聴できるのが強みです。
映像授業塾は、以下のようなケースに向いています。
- 時間が限られており、自分の都合のいいタイミングで学習したい
- 弱点科目が明確で、自分で講座を選べる
- 講義を繰り返し視聴して、理解を深めたい
- 有名講師の授業を受けたい
自己管理が得意な生徒ほど効果が出やすい学習方法です。
対応塾の詳細は、映像授業を受けられるおすすめの塾は?大学受験生向けの塾の選び方で紹介しています。
注意したいポイント
講師に質問したくてもすぐに対応できないことが多くが限定的で、基礎が固まっていない場合はつまずきやすい点に注意が必要です。疑問点を自力で解決する姿勢が求められます。
学習管理型塾が向いているケース
授業形式: 授業は行わず、学習計画・進捗管理・学習方法の指導に特化した形式。近年注目が高まっています。
学習管理型塾は、次のようなケースで適しています。
- 学習習慣が身についていない
- 何を勉強すべきか分からない
- 質問が苦手
- 自分のペースで学習したい
特徴とサポート内容
週単位の学習計画作成から、進捗管理、振り返りまで全面的にサポートが受けられます。
注意したいポイント
計画を実行してはじめて成果につながります。生徒に主体的に取り組む姿勢があること、学習へのモチベーション管理が求められます。
オンライン塾が向いているケース
授業形式: 対面授業をオンラインに置き換えた形式。個別指導・集団授業・映像授業など様々なタイプの塾があります。
オンライン塾は次のようなケースに適しています。
- 通塾時間を節約したい
- 地方在住で塾の選択肢が少ない
- 全国の講師から指導を受けたい
- 安全面や感染症対策を重視したい
詳細は、高校生におすすめのオンライン塾27選|志望校や学力別に選べる大学受験対策で紹介しています。
注意したいポイント
自宅など集中できる環境があることが前提です。雑音・誘惑が多いと学習効率が下がるため、環境整備も検討しましょう。
塾のタイプと生徒の状況が一致しているかどうかが、成果の差につながります。特性や目的を客観的に整理し、最適な形式を選択しましょう。
塾の費用はいくらかかる?

塾選びにおいて、費用も無視できない判断要素の一つです。
適切な塾選びのためには、年間総額での比較検討と、経済的負担を軽減する制度の活用を検討しておきたいところです。
塾の費用について詳しくは、高校生の塾の費用ってどれくらい?大学受験の塾代の相場を知ろうをご覧ください。
また、費用を抑えたい方には、【高校生向け】月謝が安い塾10選|安くて質がいい塾の見つけ方とは?も参考になります。
塾の費用は指導形態によって様々
高校生向け塾の費用は、指導形態により大きく異なります。
塾の費用イメージ(タイプ別)
| 塾のタイプ | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 集団指導塾 | 月額1〜3万円程度 | 比較的リーズナブル |
| 個別指導塾 | 月額2〜5万円程度 | 集団指導より高額 |
| 映像授業塾 | 1講座3〜8万円程度※ | 複数科目の選択で高額に |
| 総合型選抜専門塾 | 1コマ1.5〜2万円程度※ | 年間100万円超も |
| オンライン塾 | 月額1〜2万円程度 | 比較的安価 |
最も高額なのは総合型選抜専門塾で、年間では100万円を超えるケースも珍しくありません。
オンライン塾は比較的安価ですが、サポート体制や指導の質により価格差が生じるため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。
年間費用の目安(高校3年生の場合)
受験学年である高校3年生の年間費用は、毎月の授業料だけでなく季節講習費などが加わることで大幅に増加します。
| 費目 | 年間目安(高3時) | 備考 |
|---|---|---|
| 通常授業料 | 30万〜80万円 | 集団指導は安く、個別指導は高い |
| 季節講習費(夏期など) | 20万〜60万円 | 追加出費額としては最大 |
| 入塾金 | 2万〜3万円 | 初回のみ(入塾キャンペーンで無料の場合も) |
| 教材費・模試の受験料 | 教材3万〜8万円/模試1回3,000円~5,000円 | 科目数により変動。模試は年間で相当な金額になる可能性がある |
| 諸経費 | 2万〜5万円 | 設備維持費、システム利用料など |
| 総額 | 60万〜150万円 | 医学部専門予備校は300万〜600万円 |
高額な季節講習費に要注意
塾選びに失敗する原因4でもお伝えしたように、特に注意すべきは季節講習費です。
夏期講習だけで20万円を超える塾もあり、春期・夏期・冬期の3回の講習を合計すると、年間の授業料を上回る場合もあります。
塾から季節講習の案内を受け取ったら一度、以下のような対応を検討しましょう。
- 受講科目を絞る:苦手科目は塾で対策し、得意科目は自習で進める
- コマ数を調整する:家庭の予算や生徒の学力、意欲に合わせて減らす
- 科目の優先順位をつける:本当に必要な講座だけを選ぶ
季節講習の詳細については、夏で差がつく!大学受験に強い夏期講習おすすめ31選、高校生の春期講習の内容とは?、高校生の冬期講習ってなにをするの?も参考にしてください。
費用を抑える方法
高額な費用を抑えるには、以下の制度の活用を検討しましょう。制度の詳細は各塾や自治体に直接問い合わせて、最新の情報を入手してください。
公的支援制度の活用
経済的負担を軽減する方法として、各自治体の「受験生チャレンジ支援貸付」制度があります。
- 世帯収入に応じて塾代や受験料の貸付(実質給付)を受けられる
- 東京都の場合、高校3年生は学習塾等受講料として上限30万円の支援を受けられる(2025年度から増額)
- 合格後、入学すれば返済免除となる
塾独自の制度
塾によっては以下の制度を設けています。
- 特待生制度:成績優秀者には授業料の一部免除や全額免除
- 兄弟割引制度:2人目以降の授業料が割引
塾選びでは初期費用だけでなく、年間総額での比較検討が重要です。特に季節講習費は家計への影響が大きいため、事前に確認しておきましょう。公的支援制度の活用も含めて、無理のない範囲での塾選びを心がけてください。
避けた方がいい塾とは
塾選びでは、表面的な宣伝文句に惑わされず、客観的な基準を持つことが大切です。
ここでは、実際の塾運営の現場を踏まえて4つの判断基準を紹介します。講師の質についての見分け方は、次章で詳しく解説します。
1. 実績の確認方法(合格率の公開)
塾選びの失敗原因で説明した通り、「第一志望校合格率」を公開しているかどうかは、塾が誠実に経営しているかどうかを判断する材料です。以下は主に3つのポイントをご紹介します。
-
第一志望校合格率が公開されているか
合格者数ではなく、率で判断することが重要です。
-
自分の志望校レベルの実績があるか
対応できる指導力があるかの目安になります。
-
実績が継続しているか
単年度の偶然ではなく、安定して成果を出している塾を選びましょう。
設立年数も判断材料に
設立1年未満の塾はノウハウが十分でない可能性があります。ただし、設立年数だけでは不十分なので、近年の実績や実際の指導内容についても併せて確認しましょう。
2. 価格の妥当性
極端に安い塾には理由があります。質の高い教育には、適切な講師配置、教材、サポート体制など一定のコストが必要です。
一方で、高額だからといって優れているとは限りません。料金が高いか安いかではなく、サービス内容が価格に見合っているか を基準に判断しましょう。
- 講師1人あたりの生徒数
- 使用教材の質
- 進路指導の丁寧さ・具体性
3. 口コミの信頼性
口コミが極端に少ない塾は注意が必要です。評判が高い、長く運営されているなど、確かな実績がある塾の場合は、生徒や保護者からの声が自然に蓄積されるはずです。
- インターネットの口コミ
- 実際に通う生徒・保護者の意見
- 第三者機関の評価
4. 営業の提案が誠実かどうか
無理な勧誘や契約の強要がある塾は避けるべきです。誠実な塾は、サービス内容に自信があるため、必要以上に急かすことはありません。
- 契約を急かす
- 解約条件が不明確
- 高額教材の一括購入を求める
いい塾の見分け方も併せて知っておく
「いい塾とはどんな塾なのか」も知っておくとより確かな判断ができます。以下の記事では、いい塾の特徴や選び方を具体的にまとめていますので参考にしてください。
表面的な情報だけで判断せず、実績・数値・運営姿勢を丁寧に確認しましょう。納得できる説明が得られない塾は選択肢から外すことが賢明です。
塾見学で確認したいポイント
塾見学では、パンフレットだけでは分からない授業や運営の様子を確認できます。ここでは、塾見学で押さえておきたい7つのポイントを、実際に見て・聞いて・確かめられる事項に絞って整理します。
1. 講師の質を見極める
体験授業は、講師の説明力や授業の運び方を直接確認できる機会です。講師の経歴などの情報だけでなく「実際の授業でどのように生徒を導いているか」を自身の目で確かめることが大切です。
- 説明が論理的でわかりやすいか
- 生徒の反応を見てペースや説明内容を調整しているか
- 質問への回答が明確で的確か
- 授業中に理解度を丁寧に確認しているか
- 生徒とコミュニケーションが上手にとれているか
2. 学習に適した環境か
使いやすい自習室など塾の環境は学力向上に直結します。集中できる環境かどうかは、必ず現場で確認しましょう。
- 席数が生徒数に対して十分確保されているか
- 私語や雑音がなく静かであるか
- 開放時間の長さ(部活後にも利用できるか)
- 空調・照明が適切で学習しやすい環境になっているか
- 教室・設備が整理整頓され、清潔であるか
3. 丁寧に教えてもらえるか
個別指導の場合は、講師1人あたりの担当生徒数や質問にどのように対応しているかなどを確認してください。きめ細かい指導が受けられるかを見極めることが重要です。
- 講師1人あたりの担当生徒数(2名以内が目安)
- 授業外でも質問できる時間・場所が用意されているか
- 質問にわかりやすく回答してくれ、待ち時間が長くないか
- 生徒の理解を確認しながら授業を進めているか
4. 進路相談はしっかりできるか
制度が複雑な大学入試では、丁寧な進路指導は塾選びの重要な要素です。担当者がどれだけ正確で具体的なアドバイスをくれるかを確認しましょう。
- 入試情報について具体的かつ最新情報を提供してくれるか
- 模試結果の分析内容と改善提案が明確か
- 保護者との連絡手段(面談の設定・アプリ等)が整っているか
- 志望校別の対策方針を丁寧に説明してくれるか
5. 授業と教材は自分に合うか
教材や授業スタイルが自分に合っているかを体験授業で確認します。特に定期テスト対策や推薦入試対策が充実しているかは、しっかりと確かめてください。
- 教材の難易度が適切か(難しすぎず、簡単すぎない)
- 授業の進め方が自分の理解ペースに合っているか
- 指導が一方通行になっていないか
- 生徒が授業に集中しているか
- 定期テスト対策を学校の進度と合わせているか
- 推薦入試向けの内申対策が可能か
6. 通いやすさ
無理なく通えるかどうかは、塾を続けるうえで大切な要素です。実際に家から塾まで移動してみて、距離だけでなく夜道が安全かどうかや悪天候時の動線も含めて確認すると安心です。
- 自宅または学校から20〜30分以内で通えるか
- 夜間の帰宅ルートが安全か(街灯や人通りがある)
- 駅やバス停から近いか
- 雨の日でも無理なく通える動線になっているか
7. 授業スケジュールは調整可能か
部活動や学校行事など多忙な高校生にとって、授業の振り替えができるかなど、受講スケジュールが調整できるかどうかも、ポイントの一つになります。
- 授業時間の選択肢が複数あるか
- 振替が可能で、申請期限までのゆとりが確保されているか
- 振替の回数制限が過度に厳しくないか
- 振替授業の質が通常授業と同等か
塾見学では設備や制度だけでなく、実際の空気感や集中度も見極めのポイントです。長く通える環境かどうかを丁寧に確認しましょう。
まとめ
塾選びは、情報が多いほど判断が難しくなりがちですが、何よりも大切なのは 「自分(もしくは生徒)に合う環境を見極めること」 に尽きます。合格実績や料金といった表面的な指標だけでは、良し悪しは判断できません。
そのために重要なのが、この記事を通して繰り返しお伝えしてきた 「目的の明確化」「自己分析」「複数の選択肢を比較する姿勢」 の3つです。
まずは、気になる塾の情報収集と、見学から始めてみてください。その第一歩が、志望校合格、成績向上につながります。
※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。