「うちの子、そろそろ塾に通わせた方がいいのかな…」
多くの保護者の方がこんな悩みを抱えているのではないでしょうか。実は現在、都市部では小学生の2人に1人、中学生では7割以上が学習塾に通っているというデータがあります。
しかし、「みんなが行くから」という理由での入塾は必ずしもよい選択とは限りません。
お子さんの学習目標、性格、家庭環境など、考慮すべき要素は実にさまざまです。そして何より、入塾の「タイミング」が重要なポイントとなります。
この記事では、小学生から高校生まで、学年別・目的別に塾に通い始める最適なタイミングを、最新データと教育の専門家の監修をもとに詳しく解説していきます。
これを読めば、お子さんにとってベストな選択が見えてくるはずです。
そもそもどのくらいの子どもが塾に通っている?
塾に通っている生徒は、どの程度いるのでしょうか。データをもとに紹介します。
学年別の通塾率
小学生から高校生までの学年別の通塾率を知るために、文部科学省のデータをもとに、各学年の中で塾に通っている生徒の割合をまとめました。
<小学生の学年別通塾率>
学年 | 通塾率 | |
公立 | 私立 | |
1年生 | 26.9% | 66.4% |
2年生 | 30.2% | 61.4% |
3年生 | 36.5% | 72.4% |
4年生 | 40.0% | 78.2% |
5年生 | 47.5% | 81.7% |
6年生 | 51.4% | 78.3% |
<中学生の学年別通塾率>
学年 | 通塾率 | |
公立 | 私立 | |
1年生 | 57.8% | 51.6% |
2年生 | 69.2% | 53.4% |
3年生 | 84.0% | 56.7% |
<高校生の学年別通塾率>
学年 | 通塾率 | |
公立 | 私立 | |
1年生 | 30.7% | 35.3% |
2年生 | 30.7% | 37.6% |
3年生 | 37.9% | 42.1% |
出典:「令和3年度 子供の学習費調査」(文部科学省)を加工して作成
塾に通うメリットは?
塾に通うメリットはたくさんありますが、大きく分けると以下の3つに分類できます。
- 学校の予習・復習が効率的にできる
- 苦手分野が克服できる
- 定期テストの成績がアップする
- 受験に特化したカリキュラムで、計画的な学習ができる
- 志望校に合わせた過去問演習や模擬試験で、実践力が身につく
- 受験情報の収集や進路相談ができる
- 同じ目標を持つ仲間がいることで、やる気が高まる
- 講師による指導で、学習意欲が向上する
- 学習習慣が身につき、自主的な学習態度が育つ
特に、受験などの進路に関する情報を得られることは塾に通う最大のメリットです。「受験は情報戦」と言われるほど昨今の入試制度は複雑なため、早くから情報収集を行う必要があります。
塾では過去問のデータや卒業生の進路状況のデータをもとに、お子さまの状況に合わせた最適なアドバイスを受けられます。
塾に通うタイミングの決め方
塾に通うベストなタイミングは、目的や状況によってさまざまです。そこで、自分に合ったタイミングを決めるポイントを紹介します。
塾に通う目的を明確にする
まずは、塾に通う目的を明確にしましょう。先ほどもお伝えしたとおり、塾に通う最適なタイミングは、目的によって異なります。
たとえば、英語に慣れておくことが目的であれば、小学生の低学年のうちから塾に通うと苦手になりにくいのでおすすめです。
また志望校合格のために塾に通う場合は、塾の新学期が始まるタイミングで入塾すると、塾の通年カリキュラムに沿って学習が進められるので、無理なく受験対策ができます。
周りが通っているからと焦って決めない
友達やクラスメートが塾に通い始めると、自分も塾に行かなければと気持ちがあせるかもしれません。しかし自分のタイミングで、目的に合った塾に入ることが最も大切です。周りに流されず、何が必要かを考えて入塾のタイミングを決めることをおすすめします。
小学生はいつから塾に通うべき?
つづいて、小学生が塾に通い始める最適なタイミングを目的別に紹介します。
小学生が塾に通う主な理由
小学生は、主に以下の理由で塾に通っています。
小学生が塾に通う主な理由
- 中学受験対策のため
中学受験の入試問題は難易度が高いため、中学受験対策に特化した塾で対策するのがおすすめです。 - 学校の授業内容を補うため
授業についていけない場合や、苦手分野を克服したい場合は、学校の予習復習を中心に行う補習塾に通いましょう。 - 英語力をつけるため
英語力をつけるには、早くから英語に慣れることが大切です。英語は家庭学習が難しく、受験においても重要な科目のため塾で学ぶのがおすすめです。
中学受験を目指す場合は小学3年生の2月からがおすすめ
中学受験を目指す場合、小学3年生の2月から塾に通い始めるのがベストです。
多くの塾では3年生の2月から3年計画で受験対策のカリキュラムが組まれているため、このタイミングで入塾すると無理なく受験対策ができます。
中学受験では小学校の授業内容よりはるかに難易度の高い問題を扱うため、3年間しっかり通って対策する必要があります。
英語力をつけたい場合は低学年からがおすすめ
英語力をつけるには、できるだけ早く始めるのが効果的です。特に、小学校低学年は言語を吸収する力が高く、柔軟な思考を持つため、多くのメリットがあります。
幼いころから英語に触れることで、自然な発音を身につけやすく、遊びや日常生活の中で楽しく学べるため、英語への抵抗感も少なくなります。
また、低学年から基礎を固めておけば、中学以降の本格的な英語学習にもスムーズに適応できます。
グローバル化が進む今、英語は将来の選択肢を広げる重要なスキルです。この吸収力の高い時期を活かし、楽しく英語に触れる環境を整えることが、お子さんの未来への大きな一歩となるでしょう。
学習習慣をつけたい場合は低学年からがおすすめ
学習習慣をつける目的で塾を活用するのもよい方法です。定期的に塾に通うことで、勉強するリズムが自然と作られます。
低学年の早いうちに塾に通い始め、学習習慣を定着させておくと後々の学習にも生きてきます。
まずは習い事として塾を利用するのもおすすめ
進学塾や補習塾への通塾が早いと感じる場合、習い事から始めてみるのもおすすめです。特に、子どもの知的好奇心を刺激するプログラムが効果的です。
- プログラミング教室:ゲーム制作やロボット制御を通じて論理的思考を養う
- 科学実験教室:身近な素材を使った実験で科学への興味を喚起
- 算数パズル教室:図形問題や論理ゲームで数学的センスを磨く
これらの習い事は、進学塾や補習塾とは異なり「遊びの延長」として学べる点が特徴です。
関連記事:小学生はいつから塾に通うべき?目的別に最適な入塾時期と塾選びのポイントを紹介
中学生はいつから塾に通うべき?
中学生になると半数以上の生徒が塾に通っていますが、始めるタイミングは目的によって異なります。そこで、塾に通う目的別に、最適な入塾の時期を紹介します。
中学生が塾に通う主な理由
スタディプラスによって発表された調査結果によると、中学生が塾に通い始める理由の1位から3位は以下の通りでした。
- 1位:高校受験対策のため(70.4%)
- 2位:学校の授業の補修のため(52.8%)
- 3位:友人が通っていたため(13.4%)
この調査により、塾に通っている中学生のうち、7割が高校受験を視野に入れて通塾を決めているということが判明しています。
出典:塾・予備校に通う目的1位、中学生は「学校の成績向上」・高校生は「受験対策」(スタディプラス)
高校受験対策なら中学2年生の2月~3月がおすすめ
塾では2月〜3月に新学年が始まるため、高校受験に向けて塾に通う場合は、中学2年生の2月〜3月に入塾するのが一般的です。
夏休み以降は過去問などでの入試対策が始まるので、夏までに苦手分野を克服し、基礎をしっかり固めておきましょう。
ただし難関校を目指す場合は、1年生のうちから塾に通って先取り学習や応用問題に取り組んでいく必要があります。
難関校を目指す場合は中学1年生のうちから
難関校を目指している多くの中学生は、1年生のうちから塾に通っています。
ハイレベルな塾で早いうちから応用問題に取り組み、難関校の入試に対応できる学力を身につけるのが目的です。
また、塾には同じ目標を持つ仲間がいるので、モチベーションを維持できるというメリットもあります。
内申点対策を重要視する場合は中学1年生から
公立高校や多くの私立高校入試では内申点も加味されます。高い内申点を取るためには、1年生のうちから上位の成績を維持することが重要です。
具体的には1年生のうちから予習復習をしっかり行い、定期試験で高得点を取る必要があります。
内申点対策で塾に通う場合は、定期テスト対策を重点的に行う補習塾がおすすめです。
部活動との両立を考える場合は中学3年生の夏からの通塾も
部活動が忙しいために、3年生の夏から塾に通う中学生も多いです。ただし、夏からでは受験勉強の期間が短く、十分な対策ができないまま入試を迎えることになります。
部活動を続けながら受験対策をする場合は、時間の融通がきく個別指導塾に通い、早いうちから少しずつ進めていくのがおすすめです。
関連記事:中学生はいつから塾に通っている?実際の通塾率から塾に入るおすすめの時期まで徹底解説!
高校生はいつから塾に通うべきか?
高校生が塾に入るタイミングは、大学受験の一般選抜対策か、総合型選抜・学校推薦型選抜対策かによって異なります。それぞれに適した時期を解説します。
高校生が塾に通う主な理由
高校生が塾に通う主な目的は、大学入試対策です。一般選抜での合格を目標としているか、総合型選抜・学校推薦型選抜を目指しているかで、塾の選び方や入塾時期が異なります。
一般選抜対策は高校1年生からがおすすめ
一般選抜での志望校合格を目指す場合は、1年生のうちから塾に通うのが理想です。
進学塾では、3年生の春までには3年分の学習を終えて受験対策に入るというところもあるため、1年生から塾に通っていれば取りこぼしなく学ぶことができます。
また、1年生の最初から塾で基礎学力をつけておくと、学年が上がって難易度が高くなっても無理なくついていけるというメリットもあります。
総合型選抜・学校推薦型選抜対策の場合は高校2年生の2月ごろから
総合型選抜・学校推薦型選抜での志望校合格を目指す場合、高校2年生の2月ごろから塾で対策を始めるケースが多いです。
塾では、推薦入試に必要な対策や、志望理由書などの添削もしてもらえます。
ただし、総合型選抜・学校推薦型選抜には内申点が反映されるので、1年生のうちから成績を維持しておくことが前提です。
関連記事:【高校生必見】いつから塾に通うべき?ベストなタイミングと塾選びのポイントを徹底解説!
塾の選び方:指導方式(個別指導・集団指導)
塾の指導方式には、大きく分けると、個別指導と集団指導があります。
個別指導塾の特徴
個別指導の塾では生徒一人ひとりのペースで学習を進めるため、苦手科目の克服など個別の目的に合わせて指導してもらえるというメリットがあります。
時間や科目を自由に選べるので、部活動や習い事で忙しい高校生も多く通っています。
集団指導塾の特徴
集団指導の塾では、年間カリキュラムに基づいて授業が進むため、受験対策や高いレベルの学習を希望する生徒に適しています。
同じ目標を持つ仲間と一緒に勉強するため、モチベーションを維持しやすく、切磋琢磨しながら楽しく通うことができます。
関連記事:個別指導と集団指導はどっちがおすすめ?子どもに合う塾はどっち?
塾の選び方:費用に対する考え方(高ければいいとは限らない)
塾に通い始めると、授業料以外にも費用がかかることがあります。費用を比較する際は、小学校なら6年生まで、中学高校なら3年生までの全体の費用を把握し、総合的に判断します。
塾費用の相場について
文部科学省のデータから、小学生から高校生までの平均的な塾費用をまとめました。
<塾費用の相場(年額)>
公立 | 私立 | |
小学生 | 8万円 | 27万円 |
中学生 | 25万円 | 18万円 |
高校生 | 12万円 | 17万円 |
「高い=良い塾」、「安い=悪い塾」とは限らない
費用は塾によって大きく異なりますが、その質が必ずしも費用に反映されているとは言い切れません。
塾を選ぶ際には、自分の目的に合う塾かどうか、費用に見合った指導内容が提供されているかどうかを見極めることが重要です。
費用は授業料ではなく諸経費も含めた総額で考えるべき
塾の費用を見る際には、通常の授業料だけでなく、入会金や教材費などの諸経費も考慮する必要があります。
また、長期休暇には夏期講習や冬期講習などの費用が別途かかり、さらに高校3年生になると特別講座なども開催されます。塾を決める前に問い合わせて、総額を確認しておきましょう。
関連記事:小学生の塾の費用とは?平均の学習塾費と月謝の相場を見る
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関連記事:高校生の塾の料金はいくらかかる?月謝や季節講習費の相場とは
塾選びで押さえておくべきポイント
塾には、それぞれ特徴があります。そこで、塾を決める際に確認すべきポイントを解説します。
目的に合った塾の種類(進学塾・補習塾・専門塾)を選ぶ
塾には、進学塾、補習塾、専門塾などいろいろなタイプがあるので、目的に合わせて選びます。
受験対策のために通うなら進学塾、学校の授業の予習復習や定期テスト対策なら、補習塾が適しています。また、苦手分野の克服のためには、数学や英語などの専門塾を選ぶという方法もあります。
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通いやすさ(立地・時間帯)の重要性
立地や授業開始時間も、塾選びにおいて重視すべきポイントです。
自宅や学校から通いやすいかどうか、部活動や習い事と両立できるかどうかといった点は、必ずチェックします。送迎が必要な場合は、保護者が無理なく対応できることが必須条件です。
体験授業で確認すべきポイント
多くの塾には、体験授業の制度があります。
体験授業では、塾や生徒の雰囲気はどうか、講師の教え方がわかりやすいかどうかなどを確認します。
また、自由に利用できる自習室があることや、個別の質問に対応してもらえることも重要なポイントです。
関連記事:塾の体験授業を受ける上でのポイントや注意点を解説!服装や断り方についても
まとめ:いつから塾を始めるべきかは目的次第
塾に通い始めるのにベストな時期は、目的や状況によって異なります。
たとえば、中学受験や高校受験のような具体的な目標がある場合は、遅くとも2年生のうちには塾に通い始めた方がよいでしょう。
苦手科目の克服や学習習慣の定着が目的であれば、早いうちに通い始めるのが理想です。また塾を選ぶ際には、本人の性格や生活サイクルに合わせて検討しましょう。
部活動や習い事で忙しい場合は、柔軟なスケジュールに対応できる塾が適しています。子どもの学習スタイルや集中力に合った指導方式を選べば、前向きに意欲的に通うことができます。
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