- 併願できるかどうかの判定方法
- 経験者の出願校数と振り返り
- 出願前に募集要項で確認する4項目
- 併願を増やしたときの注意点
総合型選抜で併願できるかは、大学・学部・方式ごとに違います。「専願」「単願」など入学の確約を求める記載がある場合は、ほかの大学との併願が制限されます。明記がない場合も、募集要項や大学の案内で確認が必要です。
第一志望は決まったものの、そこ1校に絞るか、他にも出しておくかで迷う時期があります。塾シルの調査では、総合型選抜で1校だけに出願した人が48.3%、2校以上に出願した人が51.7%と、ほぼ半々に分かれました。
この記事では、総合型選抜の経験者416人への調査から、実際の出願校数と、2校・3校・4校・5校以上に出願した人の振り返りを紹介します。募集要項で確認する4項目と、併願を増やしたときに増える準備もまとめています。
専願の意味や辞退のリスクは以下の記事で解説しています。
総合型選抜の併願可否は大学・学部・方式ごとに異なる
総合型選抜は、大学・学部・選抜方式によって併願できる場合と、できない場合があります。総合型選抜だから一律に併願できる、あるいはできないと決まっているわけではありません。
まず確認したいのが、志望する大学・学部・方式の募集要項です。「専願」「単願」や、「合格した場合は必ず入学すること」といった条件がある場合は、ほかの大学との併願や、合格後の辞退が制限されることがあります。
一方、こうした記載が見当たらないからといって、すぐに「併願可能」と判断するのは避けましょう。募集要項の注意事項や大学公式サイトのQ&Aまで確認し、それでも判断できない場合は大学の入試窓口に問い合わせるのが確実です。
確認する場所は主に次の3つです。
- 出願資格・出願要件
- 出願上の注意事項
- 入学手続き・入学の確約に関する記載
同じ大学でも、学部や選抜方式によって条件が異なる場合があります。必ず、自分が出願する学部・方式の募集要項を確認してください。
また、学校推薦型選抜との併願を考えている場合も注意が必要です。特に指定校推薦は、合格した場合の入学を前提としているケースが一般的です。
総合型選抜と指定校推薦の両方を検討している場合は、大学の募集要項だけでなく、高校の進路指導の先生にも出願できる組み合わせを確認しておきましょう。
では、実際に総合型選抜を受けた人は、何校くらいに出願していたのでしょうか。
経験者の出願校数は1校が48.3%、2校以上が51.7%
総合型選抜で出願した大学数を聞いたところ、1校だけに出願した人が48.3%、2校以上に出願した人が51.7%でした。

出願した大学数 割合 1校 48.3% 2校 21.2% 3校 18.0% 4校 8.4% 5校以上 4.1%
1校に絞った人と複数校に出願した人は、ほぼ半々です。今回の回答者では、総合型選抜で複数校に出願すること自体は珍しい選択ではありませんでした。
また、2校以上に出願した215人のうち、2校への出願は88人、3校への出願は75人でした。複数校に出願した人の75.8%が、2〜3校に出願しています。
一方で、この結果から「2〜3校出願するのが適切」と判断することはできません。回答者がその校数を選んだ理由や、志望校の難易度、選考内容などはそろえていないためです。
では、実際に複数校へ出願した人は、受験を終えたあとにその校数をどう振り返っているのでしょうか。
2校・3校では6割以上が「ちょうどよかった」
2校以上に出願した人について、出願校数ごとに「ちょうどよかった」「もっと増やせばよかった」「減らしてもよかった」の振り返りを集計しました。

出願校数 回答者数 ちょうどよかった もっと増やせばよかった 減らしてもよかった 2校 87人 65.5%(57人) 18.4%(16人) 16.1%(14人) 3校 75人 61.3%(46人) 20.0%(15人) 18.7%(14人) 4校 35人 42.9%(15人) 37.1%(13人) 20.0%(7人) 5校以上 17人 52.9%(9人) 29.4%(5人) 17.6%(3人)
※2校出願者88人のうち、「その他」と答えた1人を除外しています。5校以上は回答者が17人のため参考値です。
複数校出願の中心だった2校・3校を見ると、2校では65.5%、3校では61.3%が「ちょうどよかった」と回答しています。どちらも6割以上が、受験後もその出願校数でよかったと振り返りました。
ただし、2校出願でも34.5%、3校出願でも38.7%は、「もっと増やせばよかった」または「減らしてもよかった」と回答しています。同じ校数でも振り返りは分かれており、2校や3校が誰にとっても適切というわけではありません。
4校・5校以上では回答者数が少なく、振り返りも分かれています。そのため、出願校数が増えるほど満足しやすい、あるいは負担が大きくなりすぎる、といった傾向まではこの調査から判断できません。
経験者の数字は目安にはなりますが、最終的な出願校数は、専願条件や試験日程、大学ごとの書類・面接対策まで無理なく準備できるかを踏まえて決める必要があります。
併願するなら専願条件・試験日・合格発表・手続き期限を確認
複数校への出願を考えるときは、「併願できるか」だけでなく、選考から入学手続きまでの日程を並べて確認することが大切です。出願自体はできても、試験日が重なったり、第一志望の結果が出る前に別の大学の入学手続き期限を迎えたりすることがあります。
確認したいのは、次の4項目です。
確認する項目 募集要項で見る場所 確認するポイント 専願・単願の条件 出願資格・出願要件、入学手続き 他大学との併願や合格後の辞退に制限がないか 選考日(試験日) 選考日程 他大学の試験日と重ならないか 合格発表日 選考日程 他大学の出願締切や入学手続き期限との前後関係 入学手続き期限 入学手続き 入学金などの納入期限と返還条件
特に見落としやすいのが、合格発表日と入学手続き期限の組み合わせです。
たとえば、併願校に先に合格し、その大学の入学手続き期限が第一志望の合格発表より前に来ることがあります。その場合、第一志望の結果を待つために、併願校へ入学金などを納める必要があるかもしれません。
入学金などを納めたあとに入学を辞退した場合の扱いは大学によって異なるため、募集要項や大学の案内で返還条件まで確認しておきましょう。
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、総合型選抜の入学願書受付は2026年9月1日以降、結果発表は同年11月1日以降とされています。ただし、実際の出願期間や選考日、合格発表日、入学手続き期限は大学・学部・方式ごとに異なります。
そのため、併願を検討している大学については、4項目を一つの表やカレンダーにまとめておくと、日程の重複や手続き期限の見落としを防ぎやすくなります。
準備を始める時期から整理したい場合は、以下の記事も参考にしてください。
併願を増やすと大学ごとの書類・面接準備も増える
出願校を増やすと、その大学に合わせた書類作成や面接などの準備も増えます。自分の経験や活動実績の棚卸しは共通して使えますが、すべての準備をそのまま使い回せるわけではありません。
特に志望理由は、大学・学部ごとの書き分けが必要です。「なぜこの大学・学部で学びたいのか」という部分は、アドミッション・ポリシーやカリキュラム、学びたい内容に合わせて考える必要があります。
同じ文章をそのまま使うと、その大学を志望する理由が伝わりにくくなります。
経験者416人のうち、「特に苦労しなかった」と答えた人は66人(15.9%)でした。何らかの苦労を挙げた350人を見ると、志望理由書や自己PR、面接など、大学ごとに準備が必要になる項目が上位に挙がっています。
準備・対策で苦労したこと 苦労を挙げた350人に占める割合 志望理由書の作成 43.7% 自己PRの作成 41.4% 面接対策 38.9% 小論文対策 29.4%
この数字は、併願した人だけを対象にしたものではないため、「出願校を増やすほど苦労が増える」ことを直接示すデータではありません。ただ、総合型選抜では書類作成や面接対策に苦労した人が多く、複数校に出願する場合は、それぞれの大学に合わせて準備する時間も考えておく必要があります。
志望理由書では、添削を受けた人のうち65.8%が3回以上の添削を受けていました。複数校へ出願する場合は、各大学向けに書き分けた志望理由書を、誰に・何回くらい見てもらえるかまで確認しておくとよいでしょう。
面接でも、大学ごとに志望理由を説明できる準備が必要です。本番の面接で「併願校や『なぜこの大学か』」について聞かれた人は17.4%でした。複数校に出願する場合も、それぞれについて「なぜこの大学・学部なのか」を自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。
出願校数を考えるときは、「何校まで出願できるか」ではなく、「大学ごとの書類や面接まで十分に準備できるのは何校か」を基準の一つにすると判断しやすくなります。
学校で受けられる添削や面接練習だけでは足りない場合は、以下の記事で塾に行くべきかの判断基準を解説しています。
塾の候補から比較したい場合は、以下の記事も参考にしてください。
出願校数は「併願条件・日程・準備量」の3つで決める
総合型選抜で1校に絞るか、複数校へ出願するかは、「何校受ければ安心か」だけで決めるものではありません。
これまで見てきたように、併願できる条件を満たしているか、日程が両立するか、大学ごとの準備をこなせるかの3点から考えると判断しやすくなります。
併願できる方式かを確認する
まず、募集要項で専願・単願などの条件を確認します。
第一志望以外にも受けたい大学があっても、合格した場合の入学を条件とする方式では、ほかの大学との併願や合格後の辞退が制限されることがあります。
同じ大学でも学部や選抜方式によって条件が異なる場合があるため、出願を考えている方式ごとに確認してください。
試験日・入学手続きの日程が重ならないか確認する
併願可能な大学同士でも、選考日が重なれば両方を受験できません。
また、第一志望の合格発表より前に、ほかの大学の入学手続き期限を迎える場合もあります。出願締切、選考日、合格発表日、入学手続き期限を並べて、実際に両立できる組み合わせか確認しましょう。
大学ごとの書類・面接対策まで準備できるか確認する
複数校へ出願する場合は、それぞれの大学について志望理由書や自己PR、面接などの準備が必要になります。
経験者への調査では、複数校出願の中心だった2校・3校で6割以上が「ちょうどよかった」と振り返っていました。一方、同じ2校・3校でも「もっと増やせばよかった」「減らしてもよかった」という回答がありました。
つまり、経験者の出願校数は参考にはなりますが、誰にとっても同じ校数が適切とはいえません。
第一志望が明確で、その大学の選考対策に時間をかけたい場合は、出願校を絞る選択もあります。一方、複数の大学で学びたい内容があり、日程や準備にも無理がなければ、複数校への出願を検討できます。
「何校出せるか」ではなく、条件と日程を守ったうえで、それぞれの大学に納得できる志望理由を用意できるのは何校かを目安に考えてみてください。
専願と併願の違いや、合格後の辞退について詳しく知りたい場合は、以下の記事で解説しています。
まとめ|出願校数は条件・日程・準備量で決める
総合型選抜は、大学・学部・選抜方式によって併願できる場合と、できない場合があります。まずは募集要項で専願・単願の条件を確認し、選考日、合格発表日、入学手続き期限まで並べて確認しましょう。
塾シルの調査では、1校だけに出願した人が48.3%、2校以上に出願した人が51.7%と、ほぼ半々でした。複数校に出願した人では2〜3校が中心で、2校出願者の65.5%、3校出願者の61.3%が、受験後に「ちょうどよかった」と振り返っています。
ただし、同じ2校・3校でも「もっと増やせばよかった」「減らしてもよかった」という回答があり、誰にとっても適切な出願校数が決まっているわけではありません。
出願校数を考えるときは、次の3点を基準にすると整理しやすくなります。
- 志望する方式で併願が認められているか
- 選考日や入学手続きの日程が両立するか
- 大学ごとの志望理由書や面接対策まで十分に準備できるか
「何校受ければ安心か」ではなく、それぞれの大学にきちんと準備したうえで受験できるのは何校かから考えてみてください。
学校で受けられる添削や面接練習だけでは準備が足りないと感じる場合は、総合型選抜対策に対応した塾の一覧から、必要な対策を受けられる教室を探せます。
調査概要
項目 内容 調査対象 総合型選抜経験者 調査時期 2026年8月 調査方法 インターネット調査 有効回答 416人 主な集計対象 出願校数416人、複数校出願後の振り返り214人
※塾利用者206人・非利用者210人をほぼ同数集めた調査です。数値は経験者全体の推計ではなく、今回の回答者内の分布として扱います。
※志望校の難易度や選考方法はそろえていません。適正な出願校数や、校数を増減した場合の受験結果を示す調査ではありません。
※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。

