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英語が苦手な中学生はどこでつまずく?学年別に原因と対処法を整理
勉強法HACK

2025.12.22

2025.12.22

英語が苦手な中学生はどこでつまずく?学年別に原因と対処法を整理

この記事でわかること
  • 中学生が英語が苦手になる根本的な理由
  • 学年別(中1・中2・中3)のつまずきポイントと克服方法
  • 英語に苦手意識を持つ中学生に効果的な学習法と塾や学習サービスの選び方
  • 保護者ができる効果的なサポート方法と環境整備

「うちの子、英語が苦手で…」そんな悩みを抱える保護者の方は少なくありません。実は、2021年度の学習指導要領の改訂により、中学生の英語学習は保護者世代とは比較にならないほど難しくなっています。語彙数が大幅に増加し、従来高校で学んでいた文法が中学校に前倒しされ、さらに「聞く・読む・話す・書く」の4技能を同時に学ぶ必要があります。

この記事では、英語が苦手な中学生の根本的な原因と克服方法を解説します。学習時間を短縮できる方法や、テストの点数を着実に上げる学習法など、お子様の英語学習を効果的にサポートする方法をお伝えします。

監修者

古岡 秀士(ふるおか ひでし)

古岡 秀士(ふるおか ひでし)

株式会社ユナイトプロジェクト代表取締役

教育評論家。全国1万以上の教室を掲載する学習塾検索サイト「塾シル」の代表。 青山学院大学会計大学院を経て、病院・医院の検索サイトに従事。2016年、株式会社ユナイトプロジェクトを創業し「塾シル」を展開中。 本サイトでは全国の学習塾の紹介、塾選びのお役立ち情報を発信しています。

なぜ今の中学生は英語が苦手になりやすいのか

2021年に改訂された学習指導要領によって、中学校の英語は保護者世代とは比較にならないほど難しくなっています。覚えるべき英単語は大幅に増え、本来高校で学ぶ内容が中学に下りてきました。さらに授業スタイルも文法中心からコミュニケーション重視へと大きく変化しています。

お子様が英語を苦手と感じるのは、努力不足ではなく、学習環境そのものが変わったことが大きな原因です。この章では、現在の中学生が英語につまずきやすい根本的な理由を解説します。

保護者世代の1.5倍に増えた英単語

新学習指導要領では、中学校で習得すべき英単語数が1200語から1600〜1800語へと約1.5倍に増加しました。これは保護者世代が中学時代に学んだ語彙数と比較して大幅な増加であり、学習負荷が大きく増大していることを意味します。

さらに深刻なのは、この語彙増加が単なる数の増加ではなく、質的な変化を伴っている点です。従来は高校で学んでいた抽象的な概念を表す語彙や、複雑な文法構造で使用される語彙が中学校に前倒しされており、中学生が英語を苦手と感じる根本的な要因となっています。

高校の学習内容が中学に前倒しされた影響

新課程では、仮定法や現在完了進行形など、従来高校1年生で学習していた文法項目が中学校に移行されています。これらの文法項目は抽象的思考力を必要とするため、発達段階的に中学生には理解が困難な場合も多く、英語が苦手な中学生を大量に生み出す根本的な要因となっています。

特に中学2年生後半から3年生にかけて、これらの高度な文法概念が集中的に導入されるため、一度理解につまずくと後続の学習内容についていけなくなり、学習の遅れが積み重なる悪循環が発生しやすくなっています。

聞く・読む・話す・書くを同時に学ぶ難しさ

新学習指導要領では、「聞く」「読む」「話す(やり取り)」「話す(発表)」「書く」の4技能5領域を統合的に育成することが求められています。この結果、従来の文法解説中心の授業からコミュニケーション活動中心の授業へと大きく変化し、文法の体系的理解に充てる時間が大幅に圧縮されました。

全国学力調査では、英語の「話すこと」における正答率がわずか12.4%という結果が示されており、新しい授業スタイルへの対応に課題を抱える中学生への支援の必要性が浮き彫りになっています。

【出典】
文部科学省 国立教育政策研究所「令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書【中学校/英語】」
https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/report/middle_eng.html

一度つまずくと追いつきにくい現状

これらの変化により、一度学習リズムを崩すと挽回が極めて困難な構造が形成されています。語彙数の増加、高度な文法概念の早期導入、授業時間の制約という三重の制約により、英語に苦手意識を持つ中学生が急増している現状があります。

監修者 古岡
監修者 古岡

新課程の変化は確かに大きな挑戦ですが、これらの構造的問題を理解することで、適切な対策を立てることが可能になります。重要なのは、従来の学習方法にとらわれず、新しい環境に適応した学習戦略を構築することです。

学年別(中1・中2・中3)英語学習のつまずきポイント

中学生で英語が苦手になるパターンは学年ごとに明確な特徴があります。中1では音と文字のルール未習得による基礎的なつまずき、中2では抽象概念の導入による理解の壁、中3では高校レベルの内容の流入とスピーキング能力評価という三段階の課題が存在します。これらの学年別課題を把握し、それぞれに最適化された英語勉強法を実践することで、効率的につまずきポイントの改善が可能になります。

中1:英語の音がわからないことが苦手の始まり

中学1年生で英語が苦手になる最大の要因は、ローマ字読みの弊害とフォニックス(音と文字の対応ルール)の未習得です。日本の小学校教育ではローマ字を「ka・ki・ku・ke・ko」として教えるため、中学生は英単語を見ても正しい発音ができず、「音がわかるが書けない」「書けるが読めない」という状況に陥ります。

また、中1段階ではbe動詞と一般動詞の概念混同、三人称単数現在形での決定的な挫折が起こりやすく、この時期の失敗体験が後の英語苦手意識を生み出す根本原因となっています。

中2:急に難しくなる文法でつまずく時期

中学2年生では、不定詞・動名詞・接続詞といった抽象的な文法概念が一気に導入されます。これらの概念は日本語との対応関係が複雑で、従来の暗記中心の学習法では理解が困難になりがちです。

加えて注意が必要なのは、この難しい内容が「中だるみ」の時期と重なることです。学校生活に慣れ、部活動も本格化する中2は、学習意欲が低下しやすい時期として知られています。文法が急に難しくなるタイミングで、やる気も下がりやすいため、英語嫌いが決定的になる生徒が多いのです。

また、この時期から長文読解にも苦手意識を持つ生徒が増えます。接続詞で複数の文がつながった複雑な構造を理解できないと、文章全体の意味が取れなくなってしまうためです。

中3:高校レベルの内容と話す力の両立が求められる

中学3年生が直面する最大の課題は、仮定法や現在完了進行形など従来高校で学んでいた内容の前倒しです。これらの高度な文法事項は、中1・中2の基礎が完全に定着していることを前提としているため、基礎に不安がある生徒にとっては非常に高いハードルとなります。

さらに深刻なのは、スピーキング能力評価の強化です。全国学力調査では英語「話すこと」の正答率がわずか 12.4%という結果が出ている など、多くの中学生がスピーキング能力の評価に対応しきれていない現状が明らかになっています。

【出典】
文部科学省 国立教育政策研究所「令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書【中学校/英語】」
https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/report/middle_eng.html

英語の苦手を克服する4つの基礎学習法

英語が苦手な中学生の多くは、適切な学習方法を知らないまま非効率な勉強を続けています。フォニックス導入による単語暗記時間の短縮、遡行学習による確実な点数向上、スラッシュリーディングによる長文読解の克服などを組み合わせることで、英語の苦手意識を根本から解決することができます。

音のルールを身につけて単語暗記を効率化

英語の苦手克服の第一歩は、フォニックス(音と文字の対応ルール)の習得です。従来のローマ字読みに依存した学習の代わりに、フォニックスを導入することで学習効率の向上が期待できます。

具体的な実践方法として、まず基本的な音のルールを覚えるのがおすすめです。「a」は「ア」ではなく「エ」に近い音、「i」は「イ」ではなく「イ」と「エ」の中間音といった具合に、正しい音を身につけることから始めてみてください。この基礎ができると、初めての単語でもある程度正しく発音できるようになり、記憶への定着率が高まります。

わからないところまで戻る遡行学習

英語が苦手な中学生には、現在の学年内容にこだわらず、理解できていない前学年の内容に戻る「遡行学習」がおすすめです。実際の指導では、中3生が中1の基礎文法から学び直すことで、定期テストの点数向上につながるケースがあります。

遡行学習の進め方は、まず現在の理解度を正確に把握することから始めます。be動詞と一般動詞の区別、三人称単数現在形のルールなど、中1で学ぶ基本事項が曖昧な場合は、そこから学び直すことを検討してみてください。確実な基礎があってこそ、その後の学習がスムーズに進みます。

長文が読めるようになるスラッシュリーディング

中学生の英語長文苦手の主な原因は、日本語の語順で英文を理解しようとする「返り読み」の習慣です。この問題を解決する方法として、スラッシュリーディングという手法があります。これは英文を意味のまとまりごとに区切って前から順番に理解していく方法です。

例えば「I went to the library / to borrow some books / yesterday.」のように、意味のまとまりでスラッシュを入れ、「私は図書館に行った / 本を借りるために / 昨日」と前から順番に理解します。この方法を継続することで、読解スピードが向上し、長文問題への苦手意識を軽減できます。

見て・聞いて・書いて覚える多感覚学習

英語が苦手な中学生には、視覚・聴覚・触覚を同時に使う多感覚学習も効果的です。単語を覚える際は、目で見る、声に出す、手で書くという3つの動作を同時に行います。さらに、教科書付属のCDやアプリを活用してネイティブの発音を聞きながら学習することで、記憶への定着率が向上します。

これらの基礎学習法を組み合わせることで、英語に苦手意識を持つ中学生でも着実に改善していけます。重要なのは、一度に全てを実践しようとせず、まずは一つの方法から始めて習慣化することです。

監修者 古岡
監修者 古岡

基礎学習法は正しい方法で継続すれば必ず結果が出ます。お子様の現状に合わせて無理のないペースで取り組むことが、長期的な成功につながります。

塾・アプリの選び方と活用方法

英語が苦手な中学生にとって、適切な塾や学習サービスの選択は学習効果を大きく左右します。集団指導塾と個別指導塾では費用体系や指導形態が大きく異なり、それぞれ適合する生徒のタイプも明確に分かれています。また、近年注目されているデジタルツールを活用した学習法は、従来の塾通いと組み合わせることで相乗効果を生み出します。この章では、英語が苦手な中学生の塾の選び方と、費用対効果を考慮した活用法を詳しく解説します。

集団塾と個別指導どちらがお子様に合うか

集団指導塾は、基礎学力がある競争を好む生徒に適しています。授業進度が速く、他の生徒との競争環境が学習意欲を刺激する一方で、英語が苦手な中学生には追いつくのが困難な場合があります。特に中学生の英語苦手理由が基礎的なつまずきにある場合、集団授業では個別の課題に対応しきれません。

一方、個別指導塾は、基礎につまずきがある生徒におすすめの選択肢です。英語が苦手な中学生の多くは、学年を遡った復習が必要で、個別指導であれば生徒一人ひとりの理解度に合わせた遡行学習が可能になります。ただし、講師の質によって効果が大きく左右されるため、体験授業での相性確認がおすすめです。

なお、中学生向けの英語塾についてより詳しく知りたい方は、「中学生向け英語塾おすすめ 14 選|料金相場・選び方・英検対策まで徹底解説」も参考にしてください。

スキマ時間を活用できる学習アプリ

英語に苦手意識を持つ中学生にとって、デジタルツールは隙間時間を活用した効果的な学習手段となります。音声学習アプリを使用することで、通学時間などの隙間時間にもリスニング力を伸ばせます。

また、AIを活用した英単語学習アプリでは、生徒の習得状況に応じて出題頻度を自動調整し、効率的な記憶定着を支援します。これらのツールは無料のものから有料のものまで多様に存在し、塾の月謝(月額数万円)と比較して大幅にコストを抑えられる点が魅力です。

費用と効果を考えた塾・学習サービスの組み合わせ

英語が苦手な中学生が塾や学習サービスを選ぶ場合は、まず現在の学力レベルと学習課題を正確に把握することが大切です。定期テストで平均点を下回っている場合は個別指導塾、平均点以上だが伸び悩んでいる場合は集団指導塾が適しています。

また、英語の苦手克服には継続性が不可欠であり、無理なく続けられるかどうかも重要なポイントです。通塾の負担や月々の費用が家計に合っているかを考慮しながら選びましょう。例えば、週1回の個別指導と毎日のデジタルツール学習を組み合わせることで、費用を抑えながら効果的な学習環境を構築できます。

適切な塾や学習サービスを選択することで、英語が苦手な中学生でも確実な成績向上が可能になります。中学生向けの英語塾についてより詳しく知りたい方は、「中学生向け英語塾おすすめ 14 選|料金相場・選び方・英検対策まで徹底解説」も参考にしてください。

監修者 古岡
監修者 古岡

塾や学習サービスを選ぶ場合は、お子様の性格や学習スタイルとの相性を最優先に考えることが大切です。費用面だけでなく、継続して通える環境かどうかも含めて総合的に判断するのがおすすめです。

保護者ができる効果的なサポート方法

英語が苦手なお子様を持つ保護者の方からよく聞かれるのが、「私が教えた方がいいでしょうか」という質問です。実は、2021年に改訂された学習指導要領下での中学英語は、保護者世代が学んだ内容とは大きく異なります。語彙数は約1.5倍、高校レベルの内容も含まれるなど、難易度が格段に上がっているのです。この章では、保護者の方に求められる具体的なサポート方法を解説します。

保護者は先生ではなくサポート役に

現在の中学英語は語彙数が1600〜1800語と保護者世代と比較して大幅に増加し、高校レベルの内容も含まれています。そのため、良かれと思って教えた内容が現在のカリキュラムと合わず、かえってお子様を混乱させてしまうリスクがあります。

保護者の役割は、「ティーチャー」ではなく「マネージャー(環境調整役)」です。静かな学習スペースの確保、学習時間の管理サポート、必要な教材や塾・学習サービスの選択と手配など、お子様が集中して学習できる環境を整えることが中心となります。

集中して学べる環境づくりの具体策

中学生の英語の苦手を克服するには、保護者による環境整備が重要な役割を果たします。特に効果的なのが「学習時間の可視化」と「デジタル環境の整備」です。

まず、学習時間の可視化がおすすめです。お子様がいつ、どのくらい英語学習に取り組んでいるかを記録し、学習習慣の定着をサポートしましょう。ただし、監視ではなく、お子様と一緒に学習計画を立てる協働的なアプローチが大切です。

また、デジタルツールの活用環境を整えることも効果的です。英語学習アプリや音声教材を効果的に使えるよう、適切なデバイスとインターネット環境を提供し、隙間時間での学習を促進してみましょう。

やる気を支える声かけと見守り方

英語に苦手意識を持つ中学生にとって、保護者の心理的サポートは学習継続の鍵となります。テストの点数だけでなく、学習への取り組み姿勢や小さな改善を認めて褒めることで、お子様の自信を高めることができます。

また、英語学習の長期的な意義を伝えることも重要です。受験のためだけでなく、将来の可能性を広げるツールとして英語を位置づけ、お子様の興味関心と結びつけた動機づけを行うのがおすすめです。具体的な目標として、英検の取得を設定するのも効果的です。

監修者 古岡
監修者 古岡

保護者の役割転換は簡単ではありませんが、「見守る」ことの価値を理解し、お子様の自立的な学習を促すことが長期的な英語力向上につながります。焦らず、環境整備に専念するのがおすすめです。

まとめ|お子様の英語学習を成功に導くために

中学生の英語が苦手になる理由は、2021年に改訂された学習指導要領による大きな変化にあります。語彙数が約1.5倍に増加し、高校の学習内容が前倒しされたことで、従来の学習方法では対応が難しい状況が生まれています。しかし、これらの課題は克服できないものではありません。

学年別のつまずきポイントを正確に理解し、効果的な基礎学習を実践することで英語の苦手意識を克服できます。また、保護者の方は「ティーチャー」ではなく「マネージャー(環境調整役)」として、学習環境の整備と心理的サポートに徹することで、お子様の英語学習を長期的な視点で支援できます。適切なサポートがあれば、必ず改善できます。焦らず、お子様のペースに寄り添いながら、一歩ずつ進めていきましょう。

※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。

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