お子さまの学力向上や進学に向けて、塾を検討されている保護者の方も多いのではないでしょうか。特に中学生は、高校受験や内申点など、さまざまな課題に向き合う重要な時期です。
しかし「いつから塾に通い始めるのがベストなのか」「どんな塾を選べばいいのか」といった疑問を持たれている方も少なくないはず。
塾選びではお子様の目標や学習スタイル、部活動との両立など、考慮すべきポイントがたくさんあります。
この記事では、中学生の通塾事情から、学年別・季節別のベストな入塾タイミング、塾選びのポイントまで、初めて塾選びをされる保護者の方にもわかりやすくご説明していきます。
ぜひ、お子さまにとって最適な選択の参考にしてください。
- 中学生はいつから塾に通っている?
- 中学生の通塾率と塾に通う理由
- 中学生の50%以上が1年生から塾に通っている
- 【目的別】塾に通うベストなタイミング
- 高校受験対策のためなら中学2年生の2〜3月がおすすめ
- 内申点対策を重視するなら中学1年生からがおすすめ
- 部活動が忙しい場合でも中学3年生の夏より前の入塾がおすすめ
- 何年生から塾に通うのがベスト?時期による違いとは
- 中学1年生から塾に通うメリットと注意点
- 中学2年生から塾に通うメリットと注意点
- 中学3年生から塾に通う場合のメリットと注意点
- 塾に通い始めるタイミングはいつがベスト?季節による違いとは
- 春から塾に通いはじめるのがベスト
- 夏から塾に通いはじめる場合は夏期講習がお得
- 冬から塾に通う時は注意が必要
- 中学生の塾選びで重要な4つのポイント
- ポイント1:目的や目標に合った学習内容かどうかを確認する
- ポイント2:個別指導か集団授業か、指導形式を見極める
- ポイント3:自習室の設備や学習サポート体制をリサーチする
- ポイント4:授業料の安さだけでなく、コストパフォーマンスを吟味する
- まとめ:中学生の塾選びと入塾タイミングの決め方
- 子どもの目的や目標に合わせて、最適な塾選びを
- 高校受験のために計画的に学力をつけるなら早めの入塾がおすすめ
- 学年や時期に応じたメリットを考慮して入塾時期を決定する
- 無理のない学習ペースで、子どもの学力向上と志望校合格を目指そう
中学生はいつから塾に通っている?
全国の中学生が、いつから塾に通っているかを調査しました。
中学生の通塾率と塾に通う理由

※文部科学省 令和3年度「子供の学習費調査」データを参考にグラフを再現
中学生の通塾率は公立で約7割
中学生の通塾率は、公立中学と私立中学とでやや異なります。公立の場合は、1年生の57%以上が塾に通っており、3年生になると84%まで増えます。私立中学生の通塾率は、3年間を通して50%台です。
また、国立教育政策研究所の調査データによると、3年生の通塾率が高い都道府県は、神奈川県、東京都、奈良県でした。
出典:令和6年度 全国学力・学習状況調査 報告書 調査結果資料(国立教育政策研究所)
主な理由は高校受験対策と成績向上
スタディプラスが2022年に発表した調査結果によると、中学生が塾に通い始めた目的は、以下の内容でした。
- 1位:高校受験対策のため(70.4%)
- 2位:学校の授業の補習のため(52.8%)
- 3位:友人が通っていたため(13.4%)
塾に通っている中学生のうち、7割が高校受験を視野に入れて通塾を決めています。
出典:塾・予備校に通う目的1位、中学生は「学校の成績向上」・高校生は「受験対策」(スタディプラス)
中学生の50%以上が1年生から塾に通っている
文部科学省のデータによると、中学生の半数以上が1年生のうちから塾に通っています。多くの中学生が、受験勉強が本格化する3年生からではなく、1〜2年生の早い段階から入試を見据えて塾で対策を始めています。
<中学生の学年別通塾率>
学年 | 通塾率 | |
公立 | 私立 | |
1年生 | 57.8% | 51.6% |
2年生 | 69.2% | 53.4% |
3年生 | 84.0% | 56.7% |

出典:「令和3年度 子供の学習費調査」(文部科学省)を加工して作成
【目的別】塾に通うベストなタイミング

塾に通い始めるのにおすすめのタイミングを、目的別に紹介します。
高校受験対策のためなら中学2年生の2〜3月がおすすめ
高校受験対策で塾に通う場合は、学年が変わるタイミングがおすすめです。
塾の新学期に合わせて入塾することで効率的に学習できる
多くの塾では、2年生の2〜3月に新中学3年生のカリキュラムが始まります。そのタイミングに合わせて入塾すると、授業についていきやすいのがメリットです。
年の途中で入塾することも可能ですが、その場合は習わなかった単元を自分で学習する必要があります。
関連記事:【高校受験】受験勉強はいつから始める?理想の開始時期とスケジュールを解説!
中学3年生からでは入試までの時間が短く志望校変更の可能性も
多くの進学塾または上位高を対象にしたクラスでは、3年生の夏頃までにすべての単元の授業が終わることがあります。
そのため、3年生から入塾する場合、通常の授業の予習復習に加えて遅れている分の学習も必要になってしまうという点に注意しましょう。
入塾が遅れたことにより、塾の授業に追いつくことができず、結果として志望校を断念せざるを得なくなるケースもあります。
内申点対策を重視するなら中学1年生からがおすすめ
高校受験では、内申点が合否を大きく左右します。1年生のうちから内申点を意識して生活しましょう。
定期テスト対策や苦手科目の克服には早めの対策が肝心
内申点には、1年生の1学期から3年生の2学期までの評定が反映されます。内申点を少しでも高めるために、早くから対策を始めておきましょう。
特に苦手科目がある場合、学年が上がって学習内容が難しくなると追いつけなくなり周囲との差が開きやすいので、できるだけ早く克服することが肝心です。
またテストの点数だけではなく、課題や提出物のチェック、普段の学習への取り組みの姿勢なども内申点の評価の対象となることも覚えておきましょう。
中学校の授業についていけるよう基礎学力をつけておく
中学校の学習内容は、1年生からの積み上げです。
特に数学や英語で分からなかったことをそのままにしてしまうと、授業についていくのが難しくなる可能性があります。1年生のうちからしっかり予習復習をして、基礎学力をつけておきましょう。
部活動が忙しい場合でも中学3年生の夏より前の入塾がおすすめ
早くから塾に入る方が良いのは事実ですが、引退後からの入塾の場合塾のペースについていけない可能性もあります。
部活と受験を両立させたい場合、塾での指導も受けながら引退後に受講するクラスを増やすのが最適です。
志望校が決まっている場合は効率的な受験対策が可能
志望校が決まっていれば、過去問や出題傾向を見ながら必要な分野に絞って勉強するという方法もあります。塾とよく相談し、限られた時間を有効活用しましょう。
何年生から塾に通うのがベスト?時期による違いとは

ところで、塾にはどのようなメリットがあるのでしょうか。メリットと注意点を学年別に紹介します。
中学1年生から塾に通うメリットと注意点
塾には、可能であれば1年生のうちから塾に通うのが理想です。特に、難関校の受験を視野に入れている場合は計画的に受験対策を行う必要があります。
関連記事:中学生におすすめの塾10選!料金相場や塾選びのポイントも解説
中学校の授業への適応がスムーズになる
塾では、学校の授業の予習・復習をしたうえで発展問題などを扱います。
そのため塾に通っていると学校の授業内容を理解しやすくなり、少し難易度の高い問題まで解けるようになります。その結果、定期テストで安定して良い点数を取れる可能性が高まります。
勉強習慣の定着や学習意欲の向上が期待できる
塾に通うと、放課後に勉強する習慣が身につきます。また、授業で分からなかった部分が解消されるため、学ぶこと自体が楽しくなり、自然と勉強への意欲が高まるというメリットもあります。
塾の授業についていけず挫折感を味わう可能性もある
学力と合わない塾を選んでしまうと、ついていけずに挫折感を味わい、逆効果になってしまう可能性もあります。その場合は、自分の学力に合った塾やクラスに切り替えることを検討しましょう。
中学2年生から塾に通うメリットと注意点
受験対策を考えるのであれば、2年生から塾に通うのも選択肢の一つです。ここでは、2年生から塾に通うメリットと注意点を紹介します。
高校受験に向けて本格的な学習がスタートできる
塾では、学校の授業内容に加えて、高校受験を意識したカリキュラムが組まれています。本格的な受験対策は3年生になってから始まりますが、2年生から塾に通っていると早いうちから高校受験対策に取り掛かれます。塾に入ると、受験で有利になるのがメリットです。
定期テスト対策で内申点アップを狙える
2年生で塾に入ると、学校の授業を先取りできるため、定期テストで良い点をとりやすくなります。結果、内申点アップも狙えるでしょう。
英検®や漢検などの検定対策ができる
英検®や漢検などを取得しておくと、内申点や入試当日の点数に加点される場合があります。可能な範囲で、ぜひ受験しておきましょう。ただし、3年生になると受験対策が忙しくなるため、2年生のうちから勉強を始めるのが理想です。
関連記事:英検®対策におすすめの塾13選!塾に通うメリットや選び方のポイントも解説
中学3年生から塾に通う場合のメリットと注意点
3年生になり、受験勉強が本格的になってから塾に入る生徒もいます。3年生から通う場合のメリットと注意点を紹介します。
志望校対策に特化した受験勉強ができる
塾では、3年生になると本格的な受験対策が始まります。志望校対策や過去問演習の授業では、実際の入試レベルの問題を解き、解説を聞くことができます。
過去問演習は受験対策において重要ですが、自分で進めるのは難しいので、塾で習うのがおすすめです。
受験直前期の強化学習で得点力アップが見込める
入試直前になると、重要なポイントのまとめや、入試で出やすいポイントの総復習、時事問題への対策などが行われます。
入試で出やすい問題や点数につながる内容を中心に学ぶので、得点に直結する対策ができるというメリットがあります。
推薦をねらう場合は塾で対策するのがおすすめ
推薦入試対策として、小論文や面接練習などの特別講座が開かれることも多いです。特別講座では専門の講師が指導するため、短期間で効率よくコツを学べるのが特徴です。
基礎学力が不足していると受験に間に合わない可能性も
一般受験の場合は、3年生の夏以降の入塾では間に合わない可能性もあります。また、内申点では3年生の成績の比重が大きくなるため、1学期の成績が振るわないと取り戻すのは難しいでしょう。
塾に通い始めるタイミングはいつがベスト?季節による違いとは

塾に通い始めるタイミングは、どの季節が良いのでしょうか。季節別に、入塾のメリットを解説します。
春から塾に通いはじめるのがベスト
春に入塾した場合のメリットは、2つあります。
新学期に合わせてスタートすることで学習リズムがつかみやすい
塾では、2〜3月から新しい学年が始まります。そのタイミングで塾に通いはじめると、皆と一緒にスタートでき、苦労なく授業についていけるためおすすめです。
年間カリキュラムに沿って計画的に勉強を進められる
塾の新学期のタイミングに合わせて入塾すると、その学年の最初から授業を受けられます。
塾のカリキュラムは、ベストなタイミングで学習できるように年間計画が組まれているので、それに沿って勉強できるのがメリットです。
関連記事:中学生の春期講習の内容とは?春期講習の特徴や費用の相場を解説
夏から塾に通いはじめる場合は夏期講習がお得
時間に余裕ができる夏は、苦手科目の遅れを取り戻したり、得意科目を伸ばしたりするのに最適なタイミングです。独学で約40日間を有効に使うのは難しいので、塾をうまく利用しましょう。
夏期講習を活用して苦手科目の克服や先取り学習ができる
夏期講習でこれまでの総復習を行うため、苦手科目を克服するチャンスです。また、塾では学校の授業よりも先に進んでいるため、2学期の先取り学習にもなるでしょう。
夏休み明けのテストで成績アップを目指せる
塾では、先取り学習ができるだけでなく、応用問題の解き方を習うことができます。その結果、学校のテストで良い点数を取りやすくなるため、成績アップを目指せます。
関連記事:中学生の夏期講習の内容とは?夏期講習の特徴や費用の相場を解説
冬から塾に通う時は注意が必要
入試直前の冬から塾に入ることも可能です。とはいえ学年によっては注意が必要です。
冬期講習は学習内容の復習と予習に最適
冬休み期間には冬期講習が行われ、三が日には、入試を控えた3年生向けに正月特訓が実施されることも多いです。
1〜2年生の授業はこれまでの範囲の復習を中心とした内容なので、塾の授業に追いつき、学校の授業の先取りをすることができます。
関連記事:中学生の冬期講習の内容とは?冬期講習の特徴や費用の相場を解説
志望校の過去問演習など受験を意識した勉強ができる
3年生の冬から塾に通う場合は、過去問演習や頻出問題の解説などの授業を受けることができます。
過去問演習は自宅学習で取り組むのが難しいので、過去問演習のためだけでも塾に通う価値はあるでしょう。個別指導塾で、志望校対策を徹底的に行うのもおすすめです。
中学生の塾選びで重要な4つのポイント
塾選びで押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

ポイント1:目的や目標に合った学習内容かどうかを確認する
塾には、それぞれ特徴があります。どういう塾に通いたいかを決め、その目的に合わせて選ぶのがポイントです。
志望校対策や苦手克服など、子どものニーズに対応しているか
大きく分類すると、塾には、受験対策のための進学塾と、学校の授業の予習復習を行う補習塾があります。そのどちらに通いたいのか、そして進学塾の場合はどのレベルの学校を目指すのかを決めて、その目的に合った塾を選びましょう。
教材やカリキュラムの質の高さをチェックする
どういう教材が使われているのか、カリキュラムがどう組まれているかは、必ず確認しておきたいポイントです。進学塾の場合は、難易度が合っているかどうか、補習塾の場合は、学校の教科書に沿っているかどうかが重要です。
ポイント2:個別指導か集団授業か、指導形式を見極める
個別指導塾と集団指導塾のどちらが良いかを判断するために、確認しておくべき3つのポイントを紹介します。
子どもの性格や学習スタイルに合った指導形式を選ぶ
どちらの指導形式が良いのかは、本人の性格やその時の状況によります。決められない場合は、それぞれで体験授業を受けてみるのもおすすめです。
個別指導は完全オーダーメイドの指導が受けられる
個別指導塾では、目的に合わせてカリキュラムが組まれるため、苦手分野の克服や得意科目の強化、そして受験直前には志望校に特化した学習ができます。
過去問演習も、志望校のものや、志望校と傾向の似ている学校のものだけを集中して行えるので、目標に向かって効率よく学べます。
集団授業は競争心が芽生え、やる気の向上につながる
集団授業は、同じ目標を持つ仲間とともに学ぶことで、自然と競争心が生まれる環境です。
時には競い合い、時には教え合いながら一緒に勉強に取り組む環境で、モチベーションを高く保ちながら勉強することができます。
ポイント3:自習室の設備や学習サポート体制をリサーチする
塾に自習室があるかどうか、また、使いやすく、勉強に集中できる環境であるかどうかは、塾選びの重要なポイントです。
自習室の広さや利用時間、開放日をチェックする
塾によって、専用の自習室が用意されていることもあれば、空き教室が自習室になることもあります。
十分な広さがありいつでも使える環境かどうか、長期休暇中は朝から1日利用できるかどうかを確認しておきましょう。
講師に質問しやすい環境か、フォロー体制を確認する
授業時はもちろんのこと、授業以外の時間に講師に質問できる環境があると、勉強がスムーズに進みます。
自習時にも質問ができるかどうか、入試前に聞きに行ったら教えてもらえるかどうかは、必ず確認しておきたいポイントです。
ポイント4:授業料の安さだけでなく、コストパフォーマンスを吟味する
授業料は塾選びで大きな判断材料になりますが、費用対効果を考えて総合的に判断することが重要です。
授業時間数や教材費など、トータルの費用を比較検討する
塾にかかる費用は、毎月の授業料だけでなく、教材費や模試代などの諸費用を含めた総額で検討し、授業時間数や内容とのバランスを考えて判断しましょう。
関連記事:中学生の塾の費用ってどれくらい?授業料や季節講習費の相場とは
無料体験授業を活用し、教室の雰囲気や指導方針をたしかめる
多くの塾では、無料体験の制度が用意されています。塾の雰囲気や指導の質を直接体験できる良い機会なので、入塾を決める前に一度体験授業を受けてみることをおすすめします。
信頼できる講師かどうか、授業の雰囲気が良いかどうかなどを見て、納得してから決めるのが、塾の良い選び方です。
まとめ:中学生の塾選びと入塾タイミングの決め方
この記事では、塾選びと入塾のタイミングについて紹介しました。
子どもの目的や目標に合わせて、最適な塾選びを
塾を選ぶ際には、子どもの学習の目的や目標に合わせて検討しましょう。入試対策を行う進学塾や、学校の授業内容をサポートする補習塾など、塾にはそれぞれ特徴があります。体験授業に参加して、自分に合うかどうかを確認してみるのもおすすめです。
高校受験のために計画的に学力をつけるなら早めの入塾がおすすめ
高校受験対策のために塾を検討している場合は、できるだけ早く入塾して対策を始めましょう。1〜2年生のうちに入塾すれば、学習習慣や基礎学力が身につき、内申対策にもなります。
学年や時期に応じたメリットを考慮して入塾時期を決定する
入塾する時期によって、得られるメリットは異なります。
スムーズに学習を進めるためには学年が切り替わるタイミングで入るのがベストですが、それ以外の季節でも入塾は可能です。学年の途中になってしまう場合は、それまでの学習内容の復習を行う季節講習から入るのも良い方法です。
無理のない学習ペースで、子どもの学力向上と志望校合格を目指そう
塾選びでは、自分の学力や性格に合うかどうか、無理なく学習を進められるかどうかも重要なポイントです。無理のないスケジュールで勉強を続け、塾のサポートを活用しながら志望校合格を目指しましょう。
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