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発達障害のある子の大学受験|配慮申請・勉強法・塾選びを解説
受験・進路の基礎知識

2026.05.18

発達障害のある子の大学受験|配慮申請・勉強法・塾選びを解説

この記事でわかること
  • 共通テスト・個別入試での合理的配慮の申請方法
  • ADHD・ASD・LD別に見る受験勉強のアプローチ
  • 発達障害に対応した塾を選ぶ際の確認ポイント
  • 入学後の支援体制を軸にした志望校の選び方

発達障害のある受験生が大学受験に臨む際、適切な配慮と学習環境を整えることで、実力を十分に発揮できる可能性が広がります。合理的配慮の申請、特性に合わせた勉強法、専門的なサポートを提供する塾の活用など、具体的な選択肢を知ることが準備の出発点です。

この記事では、大学受験における配慮申請の手続きから、ADHD・ASDなど特性別の効果的な学習方法、塾や予備校の選び方まで、受験準備に必要な情報を体系的に解説します。早期からの準備と適切な情報収集により、不安を軽減しながら志望校合格を目指しましょう。

監修者

古岡 秀士(ふるおか ひでし)

古岡 秀士(ふるおか ひでし)

株式会社ユナイトプロジェクト代表取締役

教育評論家。全国1万以上の教室を掲載する学習塾検索サイト「塾シル」の代表。 青山学院大学会計大学院を経て、病院・医院の検索サイトに従事。2016年、株式会社ユナイトプロジェクトを創業し「塾シル」を展開中。 本サイトでは全国の学習塾の紹介、塾選びのお役立ち情報を発信しています。

発達障害のある受験生が直面する困難と使える支援

受験勉強の場面では、特性によって「うまくいかない理由」が見えにくいことがあります。何が難しいのかを把握し、使える支援を知ることが、準備の出発点になります。

受験勉強で生じやすい困難

受験勉強で生じやすい困難は、特性によってかなり異なります。代表的なものを挙げると、次のような場面でつまずきが起きやすい傾向があります。

  • 集中力の維持:長時間の学習や試験時間中の集中が難しく、計画通りに進まない
  • 情報の整理:膨大な受験情報から自分に必要なものを選別することが困難
  • 環境への適応:集団授業や騒がしい自習室など、一般的な学習環境に馴染めない
  • 計画実行の難しさ:学習計画を立てても、実行段階でつまずきやすい
  • 精神的負担:周囲との比較や理解不足から孤立感を感じ、二次障害のリスクが高まる

これらの課題は個人差が大きく、ADHD(注意欠如・多動症)では注意の持続や衝動性のコントロール、ASD(自閉スペクトラム症)では環境変化への対応や暗黙のルール理解、LD(学習障害)では特定科目の習得に特有の困難が現れます。

合理的配慮と支援で広がる選択肢

合理的配慮により試験環境が整えられると、本来の実力を発揮しやすくなります。特性に合わせた学習支援では、得意分野を伸ばしながら苦手を補う戦略を立てられます。

専門機関や支援者のサポートによって精神的な安定を保ちながら受験準備を進められることも、大きな助けになります。

監修者 古岡
監修者 古岡

「周囲との比較」は受験期に避けられない場面ですが、発達障害のある受験生には特に精神的負担が大きくなります。模試の順位や合格実績よりも、本人の昨日との比較や小さな成長に焦点を当てる声かけが、二次障害の予防につながります。

大学入試における合理的配慮の申請方法

大学入試では、発達障害のある受験生が公平に実力を発揮できるよう、合理的配慮が認められています。

配慮申請は「どこに」「いつまでに」申請するかで手続きが変わります。共通テストと個別大学入試では申請先も期限も異なるため、それぞれの流れを把握しておくことが重要です。

項目共通テスト個別大学入試
申請先大学入試センター各大学の入試課・学生支援室
申請開始目安高3の春(出願より早い)出願2〜3か月前
必要書類申請書・診断書・配慮実績資料大学指定の申請書・診断書(有効期限は大学により異なる)
配慮内容の例時間延長・別室・拡大文字大学ごとに異なる(面接配慮なども)

共通テストでの配慮申請

大学入学共通テストでは、受験上の配慮を希望する場合、出願前に申請が必要です。申請期限は通常の出願期間より早く設定されているため、高校3年生の春から準備を始めることが推奨されます。

申請には主に3種類の書類が必要です。診断書は取得に時間がかかる場合があるため、早めに医療機関へ確認することをおすすめします。

  • 受験上の配慮申請書(大学入試センター指定様式)
  • 医師の診断書(発達障害の診断名、症状、必要な配慮内容を記載)
  • 高校での配慮実績を示す資料(通級指導や定期試験での配慮記録など)

認められる配慮内容には、試験時間の延長(1.3倍が標準)、別室受験、チェック解答、拡大文字問題冊子の使用などがあります。

ただし、配慮内容は障害の程度や日常的に受けている支援実績をもとに個別に審査されるため、希望する内容がすべて承認されるとは限りません。

【出典】
大学入試センター『令和7年度大学入学共通テスト 受験上の配慮Q&A』

個別大学入試での配慮申請

各大学の個別試験(二次試験)でも配慮申請が可能ですが、大学ごとに手続きや期限が異なります。多くの大学では出願前の事前相談を求めているため、志望校が決まったら早めに入試課や学生支援室へ問い合わせておくと安心です。

申請の流れは大学によって異なりますが、大まかなスケジュールは以下を目安にしてください。早い段階で動き始めることが、準備の余裕につながります。

申請時期対応内容注意点
出願2〜3ヶ月前大学への事前相談・申請書提出大学により期限が大きく異なる
出願時正式な配慮申請書類の提出診断書の有効期限は大学により異なるため要確認
試験1ヶ月前配慮内容の決定通知不承認の場合は理由を確認

総合型選抜(旧AO入試)では、面接時の配慮(質問の視覚提示、待機時間の配慮など)も申請できる場合があります。入学後の支援体制についても事前に確認しておくと、大学選びの参考になります。

【出典】
内閣府『令和6年4月1日から合理的配慮の提供が義務化されました』

監修者 古岡
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配慮申請は通常出願より2〜3か月早い締切が一般的です。高3の春には診断書取得と高校での配慮実績の記録整理を始めないと間に合わないケースもあります。共通テストと個別試験で申請先が異なる点も見落としがちなので注意が必要です。

ADHD・ASD・LD別に見る受験勉強のアプローチ

発達障害の特性は一人ひとり異なります。ADHD・ASD・LDそれぞれの傾向に合わせた学習戦略を知っておくと、勉強法の選択肢が広がります。

特性有効な学習法環境の工夫受験での活かし方
ADHDポモドーロ法・チェックリスト刺激を減らす・個室短期集中型の科目を軸に
ASDルーティン化・視覚的整理毎日同じ場所・時間興味分野×総合型選抜
LD補助ツール活用・音声読み上げタイピングでのノート作成得意科目配点が高い入試方式

ADHD傾向のある受験生に向く学習法・環境の選び方

注意の持続が難しいADHD傾向のある受験生には、短時間集中型の学習が効果的です。25分学習+5分休憩を繰り返す「ポモドーロ・テクニック」(集中と休憩を短いサイクルで区切る時間管理法)を活用し、タイマーで時間を区切ることで集中力を維持しやすくなります。

ただし、25分でも長く感じる場合は10〜15分に短縮して試してみてください。集中できる時間の長さには個人差があるため、無理のないサイクルを見つけることが大切です。

また、視覚的な刺激が少ない環境を整え、スマートフォンは別室に置くなど、気が散る要素を遠ざける工夫も有効です。

計画実行の難しさに対しては、大きな目標を小さな学習項目に分解し、チェックリストにまとめることが有効です。

「英単語100個覚える」ではなく「英単語20個を5日間」のように具体化し、達成感を積み重ねることでモチベーションを維持できます。

ASD傾向のある受験生に向く学習法・環境の選び方

ASD傾向のある受験生には、毎日の流れを固定する「ルーティン化」と視覚的な情報整理が、学習効率を高める傾向があります。

毎日同じ時間・同じ場所で学習することで、環境変化によるストレスを減らし、学習モードへの切り替えがスムーズになります。

情報整理では、マインドマップやフローチャートなど視覚的なツールを活用し、知識の構造を「見える化」することが効果的です。

また、曖昧な指示や抽象的な説明が苦手な場合は、具体的な例題や明確な解法パターンを示してくれる教材や指導者を選ぶことが重要です。

LD傾向のある受験生に向く学習法・環境の選び方

LD傾向のある受験生には、読む・書く・計算するといった特定の領域に困難が生じることがあります。苦手分野は補助ツールでカバーしながら、得意分野を伸ばす方向で準備を進めることが有効です。

たとえば、読字障害(ディスレクシア)がある場合は音声読み上げソフトや拡大教材、書字障害がある場合はタイピングでのノート作成が選択肢になります。

大学選びでも、得意科目の配点が高い入試方式や、苦手科目が不要な学部・入試制度(英語外部試験利用、数学不要の文系学部など)を検討する価値があります。

【出典】
文部科学省『学習障害児に対する指導について(報告)』

監修者 古岡
監修者 古岡

チェックリストは「作って満足」で終わらないよう、達成したら目に見える形で消し込む仕組みが重要です。紙に手書きで消す、シールを貼るなど、達成感を視覚的・身体的に実感できる工夫が、次の学習への意欲維持につながります。

発達障害に対応した塾・予備校の選び方

発達障害のある受験生にとって、特性を理解した指導を受けられる学習環境の選択は非常に重要です。

塾や予備校は「発達障害対応」と謳っていても、実際の指導力や環境整備の程度はさまざまです。事前に確認すべきポイントを押さえておくことで、入塾後のミスマッチを防ぎやすくなります。

塾選びで確認すべきポイント

体験授業の前に、次の5点を確認しておくと比較がしやすくなります。実際に訪問した際の印象と照らし合わせながら判断しましょう。

個別対応の可否:学習計画や指導方法を個別にカスタマイズできるか

講師の専門性:発達障害の特性理解や支援経験があるか

環境の配慮:静かな個室、刺激の少ない空間など、集中しやすい環境が整っているか

情報共有体制:保護者との定期的な連絡体制があるか

スケジュールの柔軟性:体調に応じた振替や時間調整が可能か

指導形態別の特徴比較

指導形態によって、環境の特性や費用感が大きく変わります。特性に合いやすい形態の目安として参考にしてください。

指導形態メリット向いている特性
完全個別指導(1対1)ペース調整が自由、質問しやすい、環境調整が容易集中困難、対人不安が強い
少人数制(2〜4名)個別性と社会性のバランス、コストが抑えられるある程度の集団適応が可能
オンライン個別指導通塾負担なし、慣れた環境で受講、録画復習可能感覚過敏、移動が負担
発達障害専門塾特性理解が深い、同じ悩みを持つ仲間がいる専門的支援が必要

大手予備校の集団授業は、刺激が多く注意が散りやすいため、発達障害のある受験生には負担が大きい場合があります。

ただし、映像授業を個別ブースで視聴できるタイプであれば、それぞれのペースで学習できるため選択肢になります。

体験授業で見極めるべきこと

入塾前の体験授業では、講師との相性だけでなく、教室の環境も実際に確認することが大切です。

空調音や他の生徒の声、照明の明るさ、座席の配置なども、集中のしやすさに直結します。「ここなら集中できそう」と感じられるかどうかが、最も重要な判断基準です。

また、困ったときに相談できる窓口や、学習以外のサポート体制についても質問しておくと安心です。

監修者 古岡
監修者 古岡

塾の比較では「発達障害対応」と謳っていても、実際の指導経験や環境整備の程度は様々です。体験授業で講師が特性をどう理解しているか質問し、教室の音環境や個室の有無を自分の目で確認することが、ミスマッチを防ぐ最も確実な方法です。

受験期の二次障害を防ぐ保護者の関わり方

受験期のストレスは、不安障害やうつ状態などの二次障害を引き起こすリスクがあります。

変化のサインを早めに把握し、保護者と専門機関が連携した支援体制を整えることが、受験期を安定して乗り越えるための土台になります。

ストレスサインの早期発見

次のような変化が複数重なって現れたときは、学習量の調整や専門家への相談を検討するタイミングです。一つひとつは小さな変化でも、重なることで二次障害のサインになることがあります。

ストレスサイン保護者ができる対応例
睡眠パターンの乱れ(不眠・過眠・悪夢の増加)就寝・起床時間を一緒に見直す。続く場合は主治医へ
食欲の極端な変化(食欲不振または過食)食事の内容より「一緒に食べる時間」を確保する
身体症状(頭痛・腹痛・めまい)の頻発無理に通塾させず、まず身体の状態を優先する
好きな活動への興味喪失学習の話を一時的に控え、本人が話すのを待つ
イライラや感情の起伏が激しくなる指摘せず、「最近しんどそうだね」と声をかける
自己否定的な発言の増加否定せず受け止め、スクールカウンセラーへ相談する

本人の意思を尊重しながら保護者ができること

保護者は「見守る」姿勢を基本としつつ、必要な場面で具体的な支援を提供することが重要です。

過度な期待や他者との比較は避け、本人の努力や小さな進歩を認める声かけが大切です。「今日は30分集中できたね」「苦手な数学に取り組めたのは素晴らしい」など、プロセスを評価する言葉が自己肯定感を育てます。

情報収集や手続き面では、合理的配慮の申請書類作成、志望校の支援体制調査、受験スケジュールの管理など、本人の負担を軽減できる部分を保護者が担うことができます。

ただし、すべてを代行するのではなく、本人の意思決定を尊重しながら一緒に考える姿勢が大切です。

専門機関との連携

受験期は、主治医、スクールカウンセラー、塾の講師など、複数の支援者がそれぞれの役割で関わることで、学習・生活・精神面のバランスを保ちやすくなります。

定期的な情報共有により、受験準備を多角的に支えることができます。必要に応じて、発達障害者支援センターや教育相談機関への相談も選択肢の一つです。

【出典】
国立障害者リハビリテーションセンター『発達障害者支援センターとは』

監修者 古岡
監修者 古岡

保護者の「頑張れ」という励ましが、本人には「まだ足りない」というプレッシャーに変わることがあります。具体的な行動を認める声かけ、例えば「今日も30分続けられたね」という事実ベースの承認が、安心感と自己肯定感を育てます。

入学後の支援体制を軸にした志望校の選び方

大学選びでは、入試の難易度だけでなく、入学後の支援体制や学習環境も重要な判断材料です。

受験はゴールではなく、大学での学びのスタート地点です。入学後も必要な支援を受けられるかどうかを見据えて、志望校を選ぶことが大切です。

支援体制が整った大学の見分け方

支援が充実している大学かどうかは、大学のウェブサイトで「障害学生支援」「学生相談」などのページを確認することで、ある程度把握できます。

具体的な支援内容が明記されているか、次の項目を目安に確認してみてください。

ウェブで事前確認できることオープンキャンパスで直接確認したいこと
障害学生支援室・専門部署の設置有無実際の支援事例や対応スピード
具体的な支援メニューの明記(ノートテイク・履修相談・試験配慮など)支援コーディネーターとの面談の流れ
合理的配慮の実績・事例の公開ピアサポート制度の実態

オープンキャンパスでは、支援室を訪問して直接話を聞くことをおすすめします。

実際の支援事例や入学後の相談の流れを確認しておくと、入学後に必要な支援が受けられるかどうかを判断しやすくなります。

【出典】
日本学生支援機構(JASSO)『障害のある学生の修学支援に関する実態調査報告書』

得意分野を活かした学部・入試方式の選び方

苦手を克服するより、得意を伸ばす方向で入試を選ぶことが効果的な場合があります。特性に応じて、次のような選び方が考えられます。

  • 興味関心が明確な分野がある場合:総合型選抜で、小論文・面接・プレゼンなど多様な評価方法を活用できます。
  • 特定科目が極端に苦手な場合:その科目の配点が低い、または不要な入試方式を選ぶことも有効な選択肢です。

特性に合った入試方式を選ぶことが、入学後も力を発揮しやすい環境に近づく第一歩になります。

監修者 古岡
監修者 古岡

大学の支援室は設置されていても、実際の利用実績や対応スピードには差があります。オープンキャンパスで支援室を訪問し、試験時の配慮事例や相談の流れを具体的に聞くことで、入学後に必要な支援が受けられるか判断できます。

まとめ|配慮申請・勉強法・塾選びの3つを軸に受験準備を整える

発達障害のある受験生が大学受験を乗り越えるには、特性に合った学習法と適切な支援体制の両方が欠かせません。この記事で取り上げたポイントを、準備を進める際の参考にしてください。

  • 配慮申請:出願期限の数か月前から準備を始め、診断書と高校での配慮実績を揃えておく
  • 勉強法:ADHD・ASD・LDそれぞれの特性に合わせ、短時間集中型や視覚化などを試しながら見つける
  • 塾選び:講師の専門性・環境の静けさ・保護者との情報共有体制を体験授業前に確認する
  • 志望校:入試難易度だけでなく、入学後の支援室や配慮実績をオープンキャンパスで直接確かめる

配慮申請・勉強法・塾選びは、どれも早めに動くほど選択肢が広がります。まずはご家庭で優先順位を一つ決め、できることから始めてみてください。

※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。

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