【社会に貢献できる大人になるために】勉強の先にある生き方まで学ぶアップステーションにインタビュー
成績アップにとどまらず、「自分で考えて行動することができる」「社会に貢献できる大人になれる」ことまでを意識した指導に定評がある個別指導専門塾アップステーション。生徒の成長に寄り添う人生のパートナーでありたい、と願うその意味を柏木拓朗先生にうかがいました。
- 柏木 拓朗(かしわぎ たくろう)先生
- 個別指導塾アップステーション統括責任者
小学4年〜高校1年の約7年間をペルーで過ごす。「学業を通じて子どもたちに成功体験を与えたい」という思いから、帰国後埼玉大学教育学部に入学。アップステーションの戸田公園塾長を経て現職。現地校時代に直面した経験をもとに、学業だけでなく人生をサポートすることを信念としている。
地域密着型の個別指導塾として20年
ーー本日はよろしくお願いします。まずは、アップステーションの概要について教えてください。
よろしくお願いします。アップステーションは地域密着型の個別指導塾として始まり、今年でちょうど20周年になります。埼玉県の戸田市、白岡市、川口市、蓮田市に4教室を展開しています。
ーー塾生の多くは近隣の生徒ですか?
小学生から高校生まで所属しています。地元の公立学校に通い、地元の公立校を目指している生徒が多く、きょうだい、知り合いの口コミで入塾することが大半です。高校卒業後は当塾の講師になってくれる卒業生もいます。元生徒だった子が今度は教える側になって後輩たちの指導にあたる、そんな循環ができています。
ーーまさに地域密着ですね。全国展開をしている大手の塾との違いや強みはなんですか?
地域の学校の定期テストの傾向などを細かく把握していることです。たとえば「この中学校はこんな傾向のテストだよね」「この学校の数学の先生はこういう問題を出す」など、そういったところまで把握できているのは当塾の強みです。
揺れ動く中高学生のために作った『ストレスフリーブック』
ーー公式サイトで『ストレスフリーブック』という子どものストレスについてのガイドブックを拝見しました。他の塾ではこういった情報を見かけません。これを作った目的を教えてください。
当塾の生徒は、高校生3割、中学生6割、小学生1割で多くを中高生が占めています。中高生といえば多感な時期です。勉強だけでなく部活、人間関係などさまざまな悩みを抱えていて、彼らにとって大きなストレスとなっています。
特に個別指導塾の場合は講師と生徒の信頼関係が欠かせません。「勉強は嫌いだけどアップステーションの先生は話を聞いてくれる」「部活で嫌なことがあったから○○先生に相談しよう」……そんな信頼関係ができれば塾に来る頻度が増え、学習習慣が身につき、結果的に成績アップにもつながると考えています。
公式サイトから閲覧・ダウンロード可能
ーーなるほど。生徒の心のケアまで考えているんですね。
はい。教務力や成績を上げることはどこの塾もやっています。しかしどんなに成績を上げるためのテクニックが巧みでも勉強するのは生徒です。強いストレスを抱えた状態では「よし、集中しよう」とはなりません。そこで当塾では、日常生活で感じたストレスや今困っていること、ちょっとした愚痴などを吐き出せる場を授業に入る前に設けています。自分の話を聞いてくれる人がいるというのは生徒にとって大きな心の支えになると考えています。
ーー生徒の心のケアに力をいれるようになったきっかけはなんですか?
アップステーションを運営する株式会社ジェイドは、福祉や介護の事業も行っています。福祉事業では、うつ病や統合失調症等により就労が困難になった方への支援を行っています。その中には、小・中学生の時に不登校になった方、社会人になり職場に馴染めず精神疾患を発症した方も少なくありません。
当塾に通う生徒には、ただ成績を上げるだけではなく充実した学校生活を送り将来社会で立派に活躍できる人になってほしいと思っています。そのためにはストレスと上手に付き合っていくことが大切です。
しかし、そのような技術を学ぶ機会はほとんどなく、メンタルの整え方を知らないために心を病んでしまう方が年々とても増えていると感じています。そこで、心のケアも当塾でできないかと考えるようになりました。今後は不登校の生徒の学習サポートなどもしていきたいと考えています。
ーー『ストレスフリーブック』は、大人が見ても勉強になることばかりです。
ありがとうございます。保護者からも好評です。「無料公開せず塾の生徒にだけ配ればいいのに」という声もいただきます(笑)。
しかし、多くの人たちに見てほしいためあえて公開しています。まだ社会に出ていない学生からしたらすぐにはピンとこないかもしれませんが、大人になったときに「塾でこんなこと言われたな」と思い出してもらえると嬉しいです。
つかず離れずの最適な距離を保てる「1対2」の個別指導
ーー学習面についてうかがいます。アップステーションは開塾以来一貫して「1対2」の個別指導を行っていますが、この形態にこだわる理由はなんですか?
指導と演習を交互に繰り返せる、という点で1対2がベストだと考えています。1対3以上になるとどうしても生徒に待ち時間ができてしまいます。反対に1対1になると講師がつきっきりで指導にあたるため依存心が湧きやすくなります。
たとえば「学校の授業をちゃんと聞かなくてもいいか」「わからない問題も塾なら一から十まで教えてくれるから安心」といったように。そうなると生徒の「自ら考える力」が養われません。そのため、アップステーションでは適度な距離感が保てる1対2が最適だと考えています。
先取りと宿題カレンダーで学校の授業がいつも「わかる」
ーー具体的な指導について教えてください。
アップステーションには勉強が苦手だったり、成績が伸び悩む生徒が多く入塾します。彼らの抱える一番の問題は学校の授業がわからないことです。そのため、当塾では基本的に先取り授業をしています。
わからない授業を1日6時間も受ける……こんな苦痛なことはありません。私たち大人だって意味がわからないセミナーを毎日6時間も聞かされたらストレスが溜まるばかりです。テストの点数を上げるにはある程度の期間が必要ですが、学校の授業は予習さえすればすぐに理解することができます。そこで、当塾では先取り授業をして、生徒に「わかった!」という感覚を掴んでもらうことを重視しています。
もうひとつ大切にしているのが学習習慣をつけることです。塾の授業は一週間でたったの80分と限られています。これは割合でいうとわずか0.8%しかありません。ですので、当塾では「塾に入っただけでは成績は上がらないよ。私たちももちろん一生懸命指導をするけど、一番頑張らなきゃいけないのは君自身だよ」ということを本人に必ず伝えています。
ジムに入会しただけで筋肉がムキムキにならないのと同じように、生徒自身が残りの99%の時間で宿題を溜め込まずにやらなければ成績は絶対に上がりません。しかし、生徒と講師の間で信頼関係が築かれていなければ勉強を習慣にするのは至難の業です。
だからこそ、前述のような心のケアを通して「この先生の言うことだったら間違いない」「勉強は嫌いだけど○○先生が一生懸命教えてくれるから頑張ろう」という関係作りに力を入れているのです。実際に保護者の方々にアンケートを取ってみても、塾に望むことの1位は意外にも「学習習慣をつけてほしい」で、「成績アップ」は2位なのです。
ーー誘惑も多く、家で勉強をすることは子どもにとって難しいですよね。
そのとおりです。そこで当塾では「宿題カレンダー」というシステムを考えました。そのカレンダーには、やるべき宿題を講師が日ごとに記入しています。1週間分まとめて宿題を出すのではなく、日割りで決めていくのです。学習習慣のない生徒には効果抜群です。
「自分で考える」を引き出す指導
ーーアップステーションの理念である「自ら考えて行動できる子を作る」ためにどういう指導をしていますか?
なるべく「答え」を出さないようにしています。講師がその場ですぐ答えを教えれば、その瞬間だけは生徒は嬉しいかもしれません。しかし、それで「自ら考える力」が育つのかは疑問です。
当塾では、生徒に考えさせるために講師から「問いかけ」をします。どうすればこの問題が解けるのか、数学ならどの公式を使えばいいのか。英語に関しては初めて知る文法でもすぐに意味を教えず「どんな意味だと思う?」とまず聞いてみる。生徒からすればじれったさを感じるかもしれませんが、講師はあくまでアシスト役です。最終的にゴールネットを揺らすのは生徒自身であってほしいのです。
また、最近は「生徒が問題を作り講師に出題する」という取り組みも新たに行っています。自分で問題を作成すれば理解も深まりますし作成者の意図が推測できるようになります。「先生をうならせるような問題を作ったらご褒美あげるよ」なんて言うと、生徒も一生懸命問題を作ってくれます(笑)。
ーーただ授業を受けるのではなく、「能動的に学習をする」という意識改革は時代にも合っていますし、とてもよい試みですね。
はい、こういった学習を積み重ねることで「自ら考え行動できる人」になれるのだと思います。彼らが将来社会に出て、仕事を任せてもらえない、指示がないと動けない……そんな人生を歩んでほしくはありません。
「うちはテストの点を上げるためだけの塾ではありません」と説明会などでも伝えています。テストでいい点を取ることや受験に合格することはもちろん価値のあることですが、これらはあくまでも通過点の一つです。本当に大事なのはテストや受験を通して自ら考え行動できる力を身に付け、将来社会で活躍できる人になること。そのサポートをするのが当塾の役目なのです。
生徒と信頼関係が築ける人を採用
ーー講師の採用基準について教えてください。
笑顔になれる、挨拶ができる、共感ができる。この3点を満たす人を講師として採用しています。これらがクリアできていれば、学歴などは問いません。
塾は教育業界であり、講師は指導者でもある一方で、接客業やサービス業としての顔もあります。人を相手とする仕事ですから挨拶や笑顔は大前提です。相手に好感を与えなければ信頼関係も生まれません。
なお、講師は担任制にしています。毎回同じ講師が担当することで生徒との信頼関係が強くなるからです。
ーー講師を採用する際に学歴を問わないのには理由があるのでしょうか。
勉強が苦手だった講師のほうが生徒に寄り添える可能性が高いからです。勉強が得意だった講師は「なぜこんなこともわからないの?」と生徒に対して疑問を抱くこともありますが、逆に勉強が苦手だった講師は生徒の「わからない」に対して「そうだよね、ここって私もわからなかった」と生徒に共感し寄り添うことができます。
家庭と塾でタッグを組んで、社会で活躍できる大人に
ーー塾探しをしている保護者にメッセージをお願いします。
保護者の方々は本当に忙しい毎日を送っていると思います。仕事や家事をしながらそのなかで「子どもの成績が下がった」「志望校が決まらない」などの悩みを抱えている方も多いでしょう。しかし、イライラしてお子さんとの関係が悪くなるのはもっとも避けたいことです。
ですので「学習面に関しては私たちにお任せください!」とお伝えしたいです。家庭でしかできないこと、塾でしかできないことがそれぞれあると思います。上手に分担をしてお子さまの将来を一緒に考えていければと思います。
ーー本日はありがとうございました。
取材協力:個別指導専門塾アップステーション