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子どもの志望校がなくなる?私立大学削減案で保護者が押さえておきたいこと
調査データ・コラム

2026.05.01

2026.05.02

子どもの志望校がなくなる?私立大学削減案で保護者が押さえておきたいこと

この記事でわかること
  • 財務省の私立大学削減案の内容と、子どもの進路選択への影響
  • 保護者が直面する志望校選びの不安と、今から備えるべきポイント
  • 給付型奨学金制度の複雑な仕組みと注意すべき「落とし穴」
  • 地方在住家庭や医療・福祉系志望の子どもへの影響と対策

2026年4月29日、財務省の財政制度等審議会分科会が、2040年までに私立大学の学校数を250校程度縮減する必要があるという推計・提言を示し、保護者の間で大きな波紋を広げています。少子化で18歳人口が大幅に減少する中、私立大学等経常費補助(私立大学への公的支援)の見直しを進める方針が打ち出されました。

「子どもの志望校が突然なくなるのでは」「地方では私大しか選択肢がない」といった不安の声がある一方、「基礎学力の低い学生を入れる大学への支援は見直すべき」という意見も見られます。この記事では、削減案の背景と保護者として今から備えておきたいことを、具体的に解説します。

著者

受験・教育ライター 森本

受験・教育ライター 森本

塾シル!編集部

塾選びに悩む保護者・生徒の視点を大切に、全国の塾・学習塾情報をもとに、費用や指導形態、通いやすさなど気になるポイントを整理してお届けします。受験や進路に役立つ最新情報や教育現場の声も、わかりやすく発信しています。

財務省の私立大学250校削減案—背景と規模

財務省の財政制度等審議会分科会が2026年4月に公表した資料では、2040年までに私立大学の学校数を250校程度縮減する必要があるという推計・提言が示されました。現在約600校ある私立大学の約4割にあたる規模です。

出典:読売新聞(私大250校削減案、2040年目標−財務省)
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20260429-GYT1T00354/

この背景には、深刻な少子化があります。18歳人口は現在の約109万人から、2040年には74万人程度まで減少するという推計もあります(文部科学省や国立社会保障・人口問題研究所など推計機関・前提によって数値に差があります)。約3割減少する計算で、大学進学者数の大幅な減少が避けられません。

さらに、すでに私立大学の約53%が定員割れの状態にあります(2025年度・316校・53.2%)。

一部の大学では留学生を積極的に受け入れることで定員を埋めていますが、それでも経営難に陥る大学が増えています。財務省は、こうした定員割れ大学への私立大学等経常費補助(年間約3,000億円規模)の見直しを進める方針です。

削減される大学はどう決まるのか

現時点で公式な基準は示されていませんが、以下の要素が総合的に考慮される見通しです。

  • 定員充足率(実際の入学者数が定員を満たしているか)
  • 教育の質(カリキュラム・学習成果)
  • 財務状況(大学の経営健全性)
  • 地域バランス(特に地方での大学の必要性)
  • 分野バランス(医療・福祉系など社会的ニーズの高い専門領域)

松本文部科学大臣は、定員割れのみで機械的に判断するのではなく、分野や地域のリバランスを図りながら質の高い大学教育を実現することが重要との考えを示しており、地域や専門分野の必要性も判断材料になる見通しです。

出典:読売新聞(私大削減案に文科相コメント)
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20260429-GYT1T00354/

削減案に保護者はどう反応しているか—4つの声

削減案の報道を受けて、保護者の間ではさまざまな声が上がっています。不安の内容は家庭の状況や子どもの志望によって異なり、4つの傾向に整理して解説します。

「志望校がなくなるかも」—受験生の保護者に多い不安

「子どもが志望している地方の私立大学が削減対象になったらどうしよう」という不安の声が多く聞かれます。特に地方在住の保護者からは、「近隣に国立大学が少なく、私立大学が主な選択肢なのに削減されたら困る」という切実な意見が寄せられています。

進路選択の幅が狭まることへの不安は、特に高校生の保護者に強い傾向があります。すでに志望校を決めて受験準備を進めている家庭では、「数年後に大学がなくなるかもしれない」という不確実性が大きな負担になっています。

大学教育の質をめぐる賛否

一方で、基礎学力が不十分な学生でも入れる大学への公的支援の是非を問う声も少なくありません。読売新聞の記事では、一部の私立大学で「四則演算やbe動詞の基本から教えている」という実態が報じられました。

こうした状況に対して、「削減によって大学全体の教育の質が上がるなら歓迎」という声もあります。一方で、学力に自信がない子どもを持ちながらも大卒資格を望む保護者からは、複雑な思いも聞かれます。

給付型奨学金の対象校が減る?低所得家庭の懸念

低所得家庭の保護者からは、「高等教育修学支援新制度(給付型奨学金)の対象校が減ったらどうなるのか」という不安の声が上がっています。現在、この制度を利用できる大学は限定されており、削減案によってさらに選択肢が狭まる可能性があるためです。

また、給付型奨学金制度そのものの複雑さに戸惑う声も多く聞かれます。所得区分によって支援額が大きく変わる仕組みや、アルバイト収入による支援額の変動など、「わかりにくい」という意見が目立ちます。

看護・福祉系の大学は残るのか—専門職志望家庭の疑問

看護師や薬剤師など医療・福祉系の専門職を目指す子どもを持つ保護者からは、「専門職育成の私立大学は残るのか」という疑問が出ています。これらの分野は社会的ニーズが高く、文部科学大臣も「分野バランスを考慮する」と述べていますが、具体的な方針は明示されていません。

地方では特に、看護系や福祉系の私立大学が地域の医療・介護人材の供給源になっているケースが多く、削減の影響を懸念する声が強まっています。

給付型奨学金の仕組みと「落とし穴」—保護者が知っておくべきこと

私立大学削減案と並んで保護者が知っておくべきなのが、給付型奨学金制度の詳細です。制度を正しく理解していないと、支援額が想定より大幅に少なくなるケースもあります。

高等教育修学支援新制度とは—区分と支援額の概要

高等教育修学支援新制度は、低所得家庭の学生を対象に、授業料等減免と給付型奨学金を組み合わせた支援を行う制度です。世帯収入に応じて第I区分から第III区分まで分かれており、支援額が大きく異なります。

第I区分(住民税非課税世帯)では、私立大学の場合、授業料減免が年間最大約70万円、給付型奨学金が年間最大約91万円(自宅外通学の場合)となり、合計で年間150万円を超える支援が受けられます。

出典:文部科学省(高等教育の修学支援新制度)
https://www.mext.go.jp/kyufu/

しかし、第II区分や第III区分では支援額が段階的に減額されるため、世帯収入がわずかに基準を超えると、支援額が大幅に減少する「ガケ」があります。第I区分と第III区分では支援差が大きくなるため、条件によっては年間100万円規模の差になることもあります。

アルバイト収入・対象校の限定—見落としやすい3つの注意点

特に注意したいのは、「区分の境界線」「アルバイト収入」「対象校の限定」の3点です。いずれも事前に知っておくと、支援の機会を逃さずに済みます。

まず、学生本人のアルバイト収入によって区分が変わる可能性があります。一定額を超えると支援が減額されたり、打ち切られたりすることがあるため、計画的な収入管理が必要です。保護者の残業代や賞与の増減も区分判定に影響するため、年間を通じた収入見通しが重要になります。

また、制度の対象校は確認大学等として要件確認を受けた学校に限られています。今後の大学再編の進み方によっては、利用できる進学先の選択肢が変わる可能性があるため、志望校選びの際には必ず対象校かどうかを確認しておきましょう。

さらに、家庭の事情によっては特例措置が利用できる場合もあります。詳細は各大学や日本学生支援機構(JASSO)の窓口に相談することをおすすめします。

保護者が今すぐできる進路選択の備え

削減案は2040年を目標としているため、現在の小中高生が大学受験する時期には直接的な影響は限定的かもしれません。しかし、今後10年程度で私学助成金の配分見直しが進む可能性があり、早めの準備が大切です。子どもの学年や家庭の状況に応じて、今から動けることがあります。

どの進路を選んでも土台になる—基礎学力の早期強化

どのような制度変更があっても、基礎学力がしっかりしていれば選択肢は広がります。特に中学レベルの学力(四則演算、基本的な英文法など)は、高校での学習の土台になります。

基礎学力が不十分なまま進学すると、就職活動で苦労するケースもあると言われています。大学選びだけでなく、その先のキャリアまで見据えて、今から着実な学力づくりを進めることが大切です。

塾や家庭学習を通じて、苦手分野を早めに克服しておくことをおすすめします。特に算数・数学と英語は、積み重ねが重要な科目です。中学生の間に基礎を固めておくと、高校での学習がスムーズになります。

国公立大学・専門学校も視野に—私立一択からの脱却

私立大学一択ではなく、国公立大学や専門学校も含めて、複数の選択肢を検討しておくことが重要です。

国立大学の標準授業料は年間約54万円で、私立大学の平均(約97万円)と比べて家計負担を抑えられます。共通テストを活用することで受験機会も広がっており、早めの対策で合格可能性は高まります。

専門学校も選択肢の一つです。特定の職業に直結した実践的な教育が受けられ、卒業後の就職率が高い分野もあります。大学にこだわらず、子どもの適性や将来の目標に合わせて、柔軟に進路を考えることが大切です。

地方在住の場合に確認したい3つの選択肢

地方在住の場合、近隣に国公立大学が少なく、私立大学が主な選択肢になっているケースがあります。削減案によって地元の大学が影響を受ける可能性も考慮し、早めに情報収集を始めましょう。

オンライン授業の普及により、地方にいながら都市部の大学の授業を受けられる選択肢も増えています。また、寮完備の大学や、地方出身者向けの支援制度がある大学もあるため、幅広く情報を集めることが大切です。

地域によっては、自治体が独自の奨学金制度を設けている場合もあります。給付型奨学金と併用できるケースもあるため、市町村の教育委員会に問い合わせてみることをおすすめします。

看護・福祉系志望なら確認したい—大学選びの判断基準

看護師、薬剤師など医療・福祉系の職業を目指す場合、専門性の高い私立大学が重要な選択肢になります。文部科学大臣も「分野バランスを考慮する」と述べており、これらの分野の大学は一定程度維持される見通しですが、大学ごとの経営状況には差があります。

志望校の財務状況や定員充足率、国家試験合格率などを確認し、将来性のある大学を選ぶことが大切です。大学のホームページや説明会で、具体的な数字を確認しましょう。

また、医療・福祉系の職業には、大学以外の養成ルート(専門学校など)も存在します。複数のルートを比較検討し、学費や取得できる資格、就職実績などを総合的に判断することをおすすめします。

2040年まで待てない—今後5〜10年で起きうる変化

削減案は2040年を目標としていますが、これは「2040年まで何も変わらない」という意味ではありません。今後の動向を整理しておくと、進路選択の判断に役立ちます。

今後数年で助成金の配分見直しが始まる可能性

2040年を最終目標としていても、私学助成金の配分見直しは今後数年のうちに始まる可能性があります。定員割れが続く大学への助成金が段階的に削減されれば、経営難から自主的に閉校や統合を選ぶ大学が増えることも考えられます。

現在の中高生が大学受験する時期(今後5〜10年)でも、一部の大学で募集停止や学部再編が起こる可能性は十分にあります。志望校を決める際には、最新の経営状況や定員充足率を確認することが大切です。

大学が減ると進学率はどう変わるか

私立大学の削減が進むと、大学進学率そのものに影響が出る可能性もあります。国公立大学の定員拡大が同時に進まなければ、大学進学を希望しても入学できない学生が増えるかもしれません。

一方で、「大卒資格」の価値が相対的に高まる可能性もあります。大学数が減れば競争が厳しくなり、大学教育全体の水準が上がるという見方もあります。ただし、これは長期的な変化であり、短期的には受験競争の激化が予想されます。

専門学校・編入ルートの活用—大学削減時代の現実的な選択

大学削減案と並行して、専門学校や職業訓練校への注目が高まっています。実践的なスキルを短期間で身につけられる点や、学費が比較的安い点が評価されています。

ただし、「大卒資格」を求める企業もまだ多く、就職活動では大卒者が有利なケースも少なくありません。専門学校を選ぶ場合は、卒業後の就職実績や、大卒者との待遇の違いなどを事前に確認しておくことが大切です。

近年は、専門学校から大学への編入学制度も充実しており、専門学校で学んだ後に大学に進学するルートもあります。専門学校と大学の両方を選択肢として比較検討しておくと、進路の幅が広がります。

まとめ|私立大学削減案が進む今、保護者が動き出せる3つの備え

財務省の私立大学250校削減案は、2040年を目標とした長期的な方針ですが、今後数年のうちに段階的な変化が始まる可能性があります。保護者として押さえておきたいポイントは、次の3点です。

  • 基礎学力の早期強化
  • 複数の進路選択肢の検討
  • 給付型奨学金制度の正確な理解

特に、中学レベルの基礎学力は高校での学習の土台となり、どのような進路を選ぶ場合でも学びの出発点になります。また、私立大学だけでなく国公立大学や専門学校も含めて、子どもの適性や家庭の経済状況に合わせた柔軟な進路選択を心がけましょう。

給付型奨学金制度については、区分による支援額の違いや、アルバイト収入による変動など、細かいルールを事前に確認しておくことが大切です。地方在住の家庭や医療・福祉系志望の場合は、地域や分野特有の状況も合わせて確認しておくと安心です。

制度変更の情報は、文部科学省や財務省の公式サイト、志望校のホームページなどで随時更新されます。私立大学の削減案は不確実な部分も多いですが、基礎学力を固め、複数の進路を比較しておくことが、変化への最も確かな備えになります。

※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。

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