学校に通えなくなった子どもが学習の遅れを取り戻すなどの理由で塾に通う場合、どのような塾を選ぶべきか悩むところです。
不登校生向けの塾には複数のタイプがあり、子どもの希望や性格などを考慮したうえで決める必要があります。
子どもに合わない塾を選ぶと、不登校から脱却できないばかりか、さらに行き詰まってしまうかもしれません。
本記事では、不登校に悩む子どもが抱える不安や、進路の選択肢を広げられる塾選びのポイントなどを解説します。
- 不登校生向けの塾の種類と特徴
- 個別指導塾
- オンライン塾
- フリースクール型塾
- 通信制高校サポート塾
- 不登校生向けの塾7選
- キズキ共育塾(個別指導塾)
- 個別教室のトライ(個別指導塾)
- オンライン家庭教師WAM(ワム)(オンライン塾)
- Preステップオンライン(オンライン塾)
- フリースクール東京シューレ(フリースクール型塾)
- 学研WILL学園 中等部過程(通信制高校サポート塾)
- 中央高等学院 中学生コース(通信制高校サポート塾)
- 不登校生の塾選びのポイント
- 不登校の生徒の受け入れ実績があるか
- 不登校の生徒が安心して過ごせる雰囲気か
- 学習の進度や特性に合わせた個別対応が可能か
- 通いやすい立地にあるか
- 体調や状況に合わせた日程調整が可能か
- 保護者と密に連携をとってくれるか
- 進路相談に乗ってもらえるか
- 必要に応じたその他サービス
- 不登校生が塾に通うメリット
- 学習を継続し、遅れを取り戻せる
- 受験対策や進路相談ができる
- 安心できる場所・居場所が見つかる
- 不登校生が抱える不安(文部科学省の調査データより)
- 学習の遅れに対する不安
- 進路・進学に関する不安
- まとめ
不登校生向けの塾の種類と特徴
不登校生向けの塾は、大きく4つのタイプに分けることができます。ここでは、各タイプの塾の詳細を解説します。
なお、いずれのタイプの塾も、前述の条件(文部科学省の定めた条件を満たす、もともと通っていた小・中学校の校長が出席扱いにすることを決定する)を満たす必要があることに留意してください。
そのため、不登校生を指導した経験や不登校生の進学実績が豊富な塾を選ぶことをおすすめします。
個別指導塾
個別指導塾は講師1人につき生徒1人、または講師1人につき、生徒2~3人で指導する形態の塾のことをいいます。ただし、不登校生の場合、少人数とはいえ複数の生徒がいる環境が負担にならないか考えなくてはなりません。
子どもによっては、ほかの子どもと一緒に勉強するのが嫌だというケースもあるからです。その場合は、1対1で指導する塾を選びましょう。
また、個別指導塾が自宅近くにある場合には、子どもが在籍する学校の生徒が通っていないか確認してください。なぜなら、同級生と塾で鉢合わせする可能性があるからです。
これを回避するには、近隣の学区が異なるエリアにある個別指導塾を選ぶのも一つの方法です。あるいは、同級生と顔を合わせることがないよう、配慮した時間割を組んでいる個別指導塾を選ぶことをおすすめします。
オンライン塾
オンライン塾はインターネットを利用し、自宅で学習できるため、外出のストレスがない点がメリットです。指導形態は塾によって異なるため、1対1、少人数、集団のどれがよいのか、子どもと話し合う必要があります。
オンライン塾のカリキュラムは塾によりさまざまです。進学に重点を置き、学習の遅れを取り戻すことに力を入れるケースや、不登校生の社会復帰に重点を置き、授業のみならず、クラブ活動や課外活動もオンライン上で行うケースがあります。
さらに、社会性を身に付けるためにメタバースやeスポーツを取り入れる、農業や旅行などのリアル体験を実施するなど多種多様なため、子どもに合うオンライン塾を選んでください。
フリースクール型塾
フリースクールは、不登校生の主体性を重視した指導を行うことが特徴です。共同生活を通じて社会性・協調性を育むもの、芸術分野に重点を置いたものなど、さまざまなタイプがあります。
アプローチの仕方は多岐にわたりますが、社会性を身に付ける、自己肯定感を高める、興味・関心を広げるといった不登校生の心の成長を促すカリキュラムになっているものが多いようです。
フリースクールでは、学習の遅れを取り戻すための授業を行うだけでなく、スポーツや楽器演奏などの体験活動を行っているケースもみられます。
さまざまな体験を通じて自己成長を図るカリキュラムになっているため、保護者も安心して通わせることができます。
通信制高校サポート塾
通信制高校サポート塾は、通信制高校やサポート校(通信制高校に通う学生の卒業を支援する教室)が運営し、「中等部」や「中学生コース」などの名称になっているのが特徴です。
授業は通学型、在宅型、オンライン型などがあり、これらの中から自分に合うものを選択可能なケースもあります。
また、個別指導、集団指導についても、塾によってさまざまです。そのため、不登校生の希望に合った授業・指導形態のところを選ぶ必要があります。
通信制高校サポート塾は、運営元である通信高校への進学が可能です。さらに、中学校の学習内容に加えて通信制高校の多彩なプログラムを一緒に受けられる点も特徴です。
通信高校で学ぶ内容を先取りでき、高校の雰囲気も事前に体験できるため、進路選択の参考になります。
不登校生向けの塾7選
ここでは、不登校生向けの塾を紹介します。
キズキ共育塾(個別指導塾)
キズキ共育塾は、小学生から高校生の不登校に対応する個別指導塾です。家庭教師、オンラインにも対応し、いずれも1対1の完全個別指導を行います。
高校受験を目指す不登校生に対し、無理のない範囲で早めの受験対策を行い、学習の遅れや、不登校生が不安を感じる内申点対策についてもサポートします。
また、心のサポートを重視している点が特徴で、授業では、悩みや進路などの相談のみならず、勉強に関係のない趣味の雑談なども可能です。
お近くの教室を探してお問い合わせ
個別教室のトライ(個別指導塾)
個別教室のトライは、トライグループが運営する1対1の完全個別指導を行う個別教室です。
不登校生向けに不登校サポートも行い、子どもの苦手分野や性格、講師との相性を勘案したうえで、それぞれに合う専用のカリキュラムを作成します。
定期テストや内部進学試験まで、学校ごとの出題傾向や試験範囲を考慮した対策が可能です。
学校の教科書に対応した無料の映像授業サービスや、不登校サポートの経験豊富なプランナーによる学習相談、専門の教育支援カウンセラーによる心のサポートなど、不登校生にとって心強いサービスを提供しています。
お近くの教室を探してお問い合わせ
オンライン家庭教師WAM(ワム)(オンライン塾)
有名国立大、私立大の現役学生や指導経験豊富なプロ講師によるオンライン塾です。
不登校生の指導も行い、入会時に不登校の子どもの状況と講師に対する希望をヒアリングし、最適な講師を選定するのが特徴です。
講師は勉強以外の会話で子どもと信頼関係を構築し、保護者とも連携して学習計画を立てていきます。
「何から勉強してよいかわからない」「どこがわからないのかもわからない」といった状況でも丁寧に復習を行うことで基礎固めができ、焦らず学習を進められます。
お近くの教室を探してお問い合わせ
Preステップオンライン(オンライン塾)
Preステップオンラインは1対1の授業を行うオンライン塾です。できないところをできるようにすることに特化した授業内容で、苦手科目の克服が可能です。
不登校生の指導も行い、集中して学習できるよう、40分の授業の中でコミュニケーションを10分、授業を30分に配分し、1単元の中の1項目を理解することを目指します。
また、面談を担当する講師が保護者との面談を月1回実施し、じっくり話を聞いたうえで、要望を指導に取り入れているのも特徴です。
出席扱い制度もサポートし、制度に関する基礎がわかる説明会を開催しています。
お近くの教室を探してお問い合わせ
フリースクール東京シューレ(フリースクール型塾)
子どものやりたいことを大切にするフリースクールです。子どもの興味・関心を重視し、料理、スポーツ、音楽演劇、プログラミング、語学など幅広いプログラムを実施しています。
進学を希望する場合には、対応する学習プログラムやスタッフによる個別指導も行います。
実施するプログラムや日常のルールを週1回のミーティングでの話合いによって決めるなど、子どもたちの手によってつくることを重視するのが特徴です。
なお、フリースクール東京シューレに通う不登校生のほとんどが、出席扱いすることを認められています。
学研WILL学園 中等部過程(通信制高校サポート塾)
学研WILL学園は不登校生向けの通信制高校サポート塾です。授業は選択制で、子どもの興味のある科目を中心に学べます。
授業への参加が困難な場合には、個別ブース対応からスタートすることも可能です。
授業は平日10時から15時前後まで行われますが、通う頻度は人それぞれです。慣れてきたら少しずつ通う日数を増やすこともできます。
また、ハロウィンや遠足などの行事や、放課後のサークル活動を通じて社会性を身に付けられます。
なお、高校進学については、中等部生の47.5%が外部の高校に進学していますが、高等部への進学も可能です。
中央高等学院 中学生コース(通信制高校サポート塾)
中央高等学院は、集団活動や学習面などへの不安を解消したい不登校生向けの通信制高校サポート塾です。
授業は毎週2回行われ、小中学生までの内容をクイズやゲームを交えて楽しく学べるよう工夫されています。
高校進学を目指す生徒に対しては、基礎学力から生徒のレベルに合った授業を個別指導で行うことも可能です。
また、コミュニケーション能力の向上を図るため、ゲームや散策などの課外授業も行うなど、不登校生が無理なく通えるカリキュラムになっているのが特徴です。
なお、外部の高校への進学も可能ですが、中央高等学院へ進学することもできます。
不登校生の塾選びのポイント
不登校生向けの塾を選ぶ際は、何がポイントとなるのでしょうか?
ここでは、不登校生の塾選びでポイントとなる項目を8つ解説します。
不登校生の塾選び8つのポイント
- 不登校の生徒の受け入れ実績があるか
文部科学省の定めた条件を満たす塾であれば、通塾が通学と同等の扱いになります。 - 安心して過ごせる雰囲気か
子どもの性格と塾の雰囲気との相性を見極めることが重要です。 - 学習の進度や特性に合わせた個別対応が可能か
現在の学年と学習進度に大幅なギャップがある可能性もあるので、個別指導の塾がおすすめです。 - 通いやすい立地にあるか
通塾しやすい距離にあることが望ましいですが、同級生と会わない場所の方が落ち着いて学習できるでしょう。 - 体調や状況に合わせた日程調整が可能か
子どもの状態を考慮した日程調整が可能な塾であれば、急に休んだ場合でも学習の遅れを取り戻しやすく、子どもも保護者も安心できます。 - 保護者と密に連携をとってくれるか
子どもに何かあったときに保護者が塾に相談しやすいか、塾のほうから子どもの様子をこまめに報告してもらえるかどうかを確認しましょう。 - 進路相談に乗ってもらえるか
不登校生の進学実績がある塾だと安心です。 - 必要に応じたその他サービス
子どもが安心して通える体制が整っているのはもちろん、保護者も安心して子どもを送り出せるようなサービスを提供している塾を選びましょう。
不登校の生徒の受け入れ実績があるか
不登校生の塾を選ぶ際に重要なのが、これまでに受け入れ実績があるか、という点です。
不登校になった場合に懸念されるのが、出席日数や内申点です。出席日数が大幅に不足すると、内申点に悪影響を及ぼします。進路選択に支障をきたさないためにも、通塾を出席扱いにしてもらう必要があります。
そのためには、文部科学省の定めた条件を満たす塾でなければなりません。加えて、内申点が不利にならないよう、在籍する中学校と塾との間でスムーズな連携が必要です。
過去に不登校の生徒を何人も受け入れ、進学させた塾であれば、文部科学省の条件を満たしている可能性が高く、中学校との連携のノウハウも蓄積されているため、滞りなく行えると考えられます。
不登校の生徒が安心して過ごせる雰囲気か
不登校生が通う塾を選ぶ際にチェックしたいポイントの一つが、雰囲気です。不登校の子どもは、何らかの理由で学校に通えなくなるという、挫折の真っ只中にいます。
勇気を振り絞って通塾を決めたにもかかわらず、雰囲気が合わずなじめなかった場合、さらなる挫折を味わうことになってしまいます。
その結果、通塾自体を嫌がるようになるかもしれません。そうならないためにも、子どもの性格と塾の雰囲気との相性を見極めることが重要です。
たとえば、にぎやかな雰囲気の塾の場合、子どもの性格によっては気後れする可能性があります。このような場合には、静かに勉強できる落ち着いた雰囲気の塾のほうが合っているかもしれません。
不登校生が安心して過ごせるようにするためにも、性格に合う雰囲気の塾を選ぶことが大切です。
学習の進度や特性に合わせた個別対応が可能か
不登校生向けの塾を選ぶ際には、学習の進度や特性に合わせた個別対応が可能かどうか確認することが大切です。なぜなら、子どもによって学習の進度や得意・不得意科目、理解のスピードなどに違いがあるからです。
個別対応が可能な場合、担当講師がしっかりとついて指導するため、自分のペースで学習できます。また、ほかの子どもの目を気にする必要がないため、疑問点を質問しやすいこともメリットです。
わからない部分を残すことなく着実に理解できるため、学習の遅れを取り戻せます。それだけでなく、発展的な内容を学び、さらなる成績アップを目指すことも可能です。
通いやすい立地にあるか
不登校生向けの塾が通いやすい立地にあるかどうかもチェックが必要なポイントです。なぜなら、通学にあまりにも時間がかかる場合、子どもが通わなくなる可能性があるからです。
不登校の子どもが外出する場合、心身ともにエネルギーを消耗します。自宅から遠く、通うのに時間がかかる立地だと、通塾が負担になって行くのを嫌がるようになったり、悪天候などをきっかけに行かなくなったりするかもしれません。
そのため、子どもにとって通学が負担にならない立地にある塾を選ぶことが重要です。
また、通いやすい立地であれば、保護者も送迎しやすく、子どもに何かあった場合に駆け付けやすいという利点があります。
ただし、同じ学校の生徒がいる教室の場合、学習に集中できない可能性があるので、どこの学校の生徒が通っているか事前に確認しておきましょう。
体調や状況に合わせた日程調整が可能か
不登校生が通う塾を選ぶ際には、柔軟な日程調整ができるかどうかもチェックしましょう。具体的には、子どもが病気を含め、さまざまな理由で欠席した場合に振替授業が可能かどうかを確認してください。
不登校の子どもは、通塾に際し心身ともにエネルギーを要します。そのため、病気でなくても体調不良になったり、神経質になったりして、通塾が不安定になるかもしれません。
きちんと塾に通えるようになるまで、授業を受けられない日が突発的に発生する可能性を念頭に置く必要があります。
子どもの状態を考慮した日程調整が可能な塾であれば、急に休んだ場合でも学習の遅れを取り戻しやすく、子どもも保護者も安心できます。
保護者と密に連携をとってくれるか
保護者としっかりと連携してくれるかどうかも、不登校生向けの塾選びで注目したいポイントです。
不登校になった場合、当事者の子どもだけでなく保護者も不安を抱えています。不登校から脱する第一歩として、子どもがしっかりと通塾できるようにするためにも、保護者と塾との緊密な連携が必要です。
子どもに何かあったときに保護者が塾に相談しやすいか、塾のほうから子どもの様子をこまめに報告してもらえるかどうかを確認してください。不登校の子どもに寄り添うためにも、保護者と同じ方向を向き、一緒に解決策を考える姿勢の塾を選びましょう。
進路相談に乗ってもらえるか
不登校生の塾選びでチェックしたいポイントの一つが、進路相談に乗ってもらえるかどうかです。不登校であることを踏まえたうえで、子どもの希望や適性などを考慮したアドバイスをしてもらえる塾を選ぶことが大切です。
たとえば、全日制の高校への進学を希望する場合には、資格取得を重視するなど、不登校が不利にならない受験方式を採用している高校をアドバイスしてくれれば、子どものモチベーションアップにつながり、ポジティブな気持ちで受験に取り組めます。
進路に関する子どもの悩みに寄り添い、子どもの希望と将来を考えたうえでさまざまな可能性を提示してくれる塾を選んでください。
必要に応じたその他サービス
不登校生が通う塾を選ぶ場合、必要に応じたサービスが受けられるかどうかも確認してください。
たとえば、臨床心理士や公認心理士などのカウンセラーが常駐している塾であれば、不登校に悩む子どもの心の状態に合わせて的確なアドバイスをしてもらえます。
また、不登校の子どもを抱える保護者の交流イベントや進学や再登校に関する保護者向け勉強会などを定期的に開催している塾であれば、悩みも軽減され、前向きな気持ちで子どもの不登校に向き合えます。
子どもが安心して通える体制が整っているのはもちろん、保護者も安心して子どもを送り出せるようなサービスを提供している塾を選びましょう。
不登校生が塾に通うメリット
不登校生の多くが、勉強の遅れや進路に対し不安を抱えています。また、自宅にしか居場所がない、あるいは自宅にすら居場所がないという問題を抱えているケースもあります。
これらの不安を解消するための手段が、通塾です。
不登校生が塾に通うことで得られる3つのメリットについて、詳細を解説します。
学習を継続し、遅れを取り戻せる
不登校生が塾に通うと、勉強の遅れに関する不安が解消します。なぜなら、もともと通っていた中学校のカリキュラムを考慮した指導ができるからです。
たとえば、学校に行かなくなったことで未習になっている単元や科目を確認し、基礎から発展まで学ぶことができます。
不登校生の学力や性格、興味などを勘案したうえで、それぞれに合う指導をするため、不登校により蓄積された学習の遅れを取り戻すことが可能です。
受験対策や進路相談ができる
不登校生が不安に思うことの一つが、進路です。「不登校でも進学できる高校はあるのだろうか」という不安や、「どのような受験対策が必要なのか」という疑問を抱くことが珍しくありません。
通塾は、このような不安や疑問を解消できることがメリットです。
たとえば、進路を相談したい場合には、進学可能な高校と受験対策の進め方をアドバイスしてもらえます。また、内申点への影響を回避するための方法についても一緒に考えてくれます。
さらに、受験に向けて学力を伸ばすだけでなく、面接対策なども行えるため、受験や進路に悩む不登校生にとって心強い存在です。
安心できる場所・居場所が見つかる
不登校生の多くが、居場所がないことに不安と孤独を感じています。大抵の場合、子どもの居場所といえば自宅と学校です。しかし、不登校生は、少なくともこのうちの一つを失った状態にあります。
中には、学校に通わなくなったことで家族関係がぎくしゃくし、自宅にも居場所がないケースもあるのです。
そんな不登校生にとって、塾は新たな居場所になります。講師やスタッフとのコミュニケーションを通じて、塾で過ごすことに徐々に慣れていくうちに、ポジティブな気持ちで通えるようになります。
悩みや不安を講師に相談したり、学習を通じて自信が回復したりするうちに、塾は安心できる場所となり、新たな居場所の一つになっていくのです。
不登校生が抱える不安(文部科学省の調査データより)
文部科学省が行った「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」によれば、不登校生が学校を休んでいる間に抱える不安について「勉強の遅れに対する不安があった」との回答が小学生で31.7%、中学生で44.7%とどちらもトップを占めています。
次いで「進路・進学に対する不安があった」との回答がランクインしていることから、勉強や進路に対する不安を抱える不登校生が多いようです。
ここでは、不登校生が抱える不安の中でも特に多い、勉強や進路・進学について解説します。
学習の遅れに対する不安
総務省が2024年7月に公表したアンケート調査の結果では、勉強の遅れに関する不登校生のリアルな声が、下記のとおり取り上げられています。
アンケート調査の結果
- 勉強への不安が一番大きかった
- 1人でゆっくりできたことは良かったが、勉強が追い付くか心配だった
不登校中は授業を受けられないため「学校で今、何を学んでいるのか」が把握しにくくなります。そのため、「学習の遅れを取り戻せなかったら、将来どうなるんだろう」という不安を抱える生徒は少なくありません。
不安を解消するために利用したいのが、塾やフリースクールです。学習の遅れを自力で取り戻すのは難しいため、不登校生は学ぶことをあきらめてしまうかもしれません。
そうならないよう、塾やフリースクールで、学校の授業の進度を考慮したサポートを受けることをおすすめします。
進路・進学に関する不安
不登校生は「このままで、進学できるのだろうか」という不安を抱えがちです。しかし、過度に心配することはありません。
たとえば高校進学を考えている場合、全日制のみならず、通信制や定時制という選択肢もあります。また、地域によっては不登校特例校(学びの多様化学校)に指定された高校も選択可能です。
ただし、どんな高校に通うにせよ、中学校の学習内容をしっかりと学んでおかなければなりません。そのため、塾やフリースクールで学習内容をカバーすることをおすすめします。
塾やフリースクールに通うことで出席扱いにできる可能性も
塾やフリースクールに通うことで、学校に行ったのと同等の扱いをしてもらえる可能性があります。ただし、注意しなければならないのは、文部科学省の定めた条件を満たす塾やフリースクールでないといけない、という点です。
そのうえで、出席扱いにするかどうかは、もともと通っていた小・中学校の校長が決定します。 したがって、校長との話し合いが必要です。
高校受験では内申点に注意が必要
高校受験を視野に入れている場合、塾やフリースクールに通っても、内申点で不利になるケースがあることに注意が必要です。技能教科は中学校に通わなければ0点扱いになることがあり、その場合、内申点は「1」になってしまいます。
地域によっては内申点に「1」があると不合格になる高校もあるようです。志望校の選択肢を狭めないためにも、中学校と塾・フリースクールが連携し、技能教科も含めた取り組みができるか否かを双方に相談しましょう。
まとめ
不登校生の塾選びでは、通塾が学校に行ったのと同等の扱いをしてもらえるよう、学校とスムーズな連携ができるところを選んでください。
特に、高校進学を希望する不登校生は、出席日数が進路選択の妨げにならないようにするためにも、適切な対応をしてくれる塾を選ぶ必要があります。
また、子どもの自信回復につなげるためにも、本人の性格や希望に合う塾を選ぶことが大切です。
親子で不登校を乗り越えるためにも、子どもはもとより、保護者に対するサポートが手厚い塾を選ぶことをおすすめします。
※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。