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総合型選抜(旧AO入試)とは?知っておきたい基礎知識と準備のポイント
受験・進路の基礎知識

2022.08.01

2025.10.23

総合型選抜(旧AO入試)とは?知っておきたい基礎知識と準備のポイント

この記事でわかること
  • 総合型選抜の基本的な仕組みと旧AO入試からの変更点
  • 一般選抜や学校推薦型選抜との具体的な違い
  • 総合型選抜のメリット・デメリットと、向いている受験生の特徴
  • 効果的な対策方法と準備のスケジュール

総合型選抜は、現在500校を超える大学で導入されている自己推薦型の入試方式です。大学入学者の半数以上が総合型選抜または学校推薦型選抜のいずれかを利用しており、その割合は年々高まっています。

しかし「総合型選抜って名称は聞いたことあるけど、実際どんな制度?」そんな疑問や不安を抱えている高校生や保護者の皆さんも、多いのではないでしょうか?

この記事では、総合型選抜の基本的な仕組みから他の入試方式との違い、総合型選抜のメリット・デメリット、そして具体的な対策方法まで分かりやすく解説していきます。

「一般入試だけで勝負するのは不安…」という方も、総合型選抜を「もう一つのチャンス」として戦略的に活用していくために、まずは正確な情報を理解していきましょう。

総合型選抜とは何か?制度の基本を理解する

総合型選抜とは、学力試験の成績だけでなく、学生の個性や将来性も含めて多面的に評価する大学入試制度のことです。

書類審査や面接、小論文などを通じて「人物」と「学力」の両面から総合的に判断し、各大学のアドミッション・ポリシー(大学が求める学生像)に合う学生を選抜します。

総合型選抜について「学力があまり問われない楽な入試」という噂を聞いたことがあるかもしれませんが、これは誤解です。

2021年の制度改革以降、総合型選抜でも学力評価は必須となっており、むしろ学力と個性の両方が評価対象となる入試方式に変わっています。

総合型選抜の基本的な仕組み

総合型選抜の最大の特徴は、学力だけでは測ることのできない受験生の能力を評価することです。具体的には、以下のような要素を総合的に判断します。

評価される主な要素
  • 学習意欲と将来への目標設定(なぜその大学で学びたいのか)
  • 課外活動や社会貢献活動の実績(部活動、ボランティアなど)
  • 思考力・判断力・表現力(自分の考えを論理的に伝える力)
  • 主体性・多様性・協働性(自ら行動し、他者と協力できる力)
  • 基礎的な学力(2021年から必須化)

選考方法は大学によって様々ですが、書類審査(志望理由書、活動報告書など)や面接、小論文が基本です。一部の大学では、プレゼンテーションやグループディスカッション、実技試験なども行われています。

実施スケジュール

出願時期9月頃から
選考実施10月頃
合格発表11月頃
入学手続き12月頃

このスケジュールなら、一般選抜よりも早く進路が決まるので、精神的な負担をかなり軽くすることができます。11月に合格が決まれば、その後は大学入学に向けた準備に時間を使うことができます。

総合型選抜対策を塾で対策するかお悩みの方は、ぜひこちらの記事もあわせてご覧ください。

制度の歴史的発展

総合型選抜は元々、1990年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)が日本で初めて導入したAO入試が始まりです。当時は「アドミッションズ・オフィス入試」と呼ばれ、学力試験だけでは測れない多様な能力を持つ学生を発掘することを目的としていました。

2000年には東北大学や筑波大学、九州大学が国公立大学として初めてAO入試を導入し、その後、多くの大学に広がっていきました。しかし、学力軽視だと批判も出たことから文部科学省は制度の見直しを進めました。

2021年の大学入試改革により、AO入試は「総合型選抜」へと名称が変更されました。この改革では単に試験の名称が変わっただけではなく、学力評価が必須になったことから、より総合的な評価制度として生まれ変わったのです。

現在の実施状況と効果

現在、総合型選抜は国公立・私立合わせて500校を超える大学で実施されており、年々増加傾向にあります。特に私立大学では積極的に活用されており、各大学が独自の選考方式を開発しています。

興味深いことに、慶應SFCでの追跡調査では、総合型選抜で入学した学生の方が一般選抜で入学した学生よりも好成績を収めているという結果が報告されています。明確な目的意識を持って入学した学生が、大学でもより積極的に学習に取り組んでいることが証明されているのです。

総合型選抜は、従来の学力重視の入試制度では見つけることが難しい、多様な才能を持つ学生を発掘するために重要な役割を果たしています。学生の個性や強みを活かせる新たな進路選択の機会として、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

監修者 古岡
監修者 古岡

総合型選抜は複雑に見えますが、「大学が求める学生像に自分がどれだけ適合しているか」を示す制度であると理解すれば、分かりやすくなります。まずは志望大学のアドミッション・ポリシー(求める学生像)を確認することから始めましょう。

AO入試との違いと2021年制度改革のポイント

「総合型選抜とAO入試って同じもの?」という疑問を持っている人は多いでしょう。実は2021年の大学入試改革では、単に名称が変わっただけではなく制度の根幹に関わる重要な変更が行われました。

最も大きな変化は学力評価の必須化です。「学力があまり問われない」と言われていた従来のAO入試とは異なり、現在の総合型選抜では学力評価が必須となっています。つまり、「人物」と「学力」の両方が評価される仕組みに生まれ変わったと言えます。

この章では改革の背景と2つの重要ポイント、そして受験生への影響を詳しく解説していきます。

なぜ制度改革が行われたのか

AO入試は1990年に慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで日本で初めて導入されて以来、多くの大学で実施されてきました。

しかし、従来のAO入試には「学力軽視」という批判が長年寄せられてきました。AO入試では面接や小論文、活動実績の評価に重点を置く一方で、基礎的な学力を測ることが不十分だったためです。

文部科学省は2017年に「大学入学者選抜実施要項」を改訂し、2021年度の入試から「学力の3要素」を多面的・総合的に評価することを各大学に求めました。

この改革によって、AO入試は「総合型選抜」として生まれ変わり、人物評価と学力評価の両立を図る制度となったのです。

2021年改革の2つの重要ポイント

ポイント①:学力評価が必須になった

最も重要な変更点は、すべての総合型選抜で学力評価が必須となったことです。従来のAO入試では学力検査を課さない大学も多くありましたが、現在は以下のいずれかの方法で学力を評価することが義務付けられています。

学力評価の方法例
  • 大学独自の学力検査(筆記試験、口頭試問など)
  • 大学入学共通テストの活用
  • 英語資格・検定試験(英検、TOEIC等)の活用
  • 高等学校での学習成績(評定平均値)の重視
  • 小論文における知識・技能の評価

つまり、総合型選抜の「学力が問われない楽な入試」というイメージは実態とは異なります。現在では、学生の学力と人物の両方が評価される入試方式へと変化しています。

ポイント②:学力の3要素がバランスよく評価される

総合型選抜では「学力の3要素」をバランスよく評価することが求められています。この3つの要素を理解しておくことが重要です。

学力の3要素とは
  1. 知識・技能(基礎学力)

    基礎的な学力や専門分野に関する知識を、筆記試験や口頭試問、資格試験などで評価します。従来のAO入試では軽視されがちでしたが、現在は必須の評価項目となっています。日々の授業や定期テストでしっかり学力をつけておく必要があります。

  2. 思考力・判断力・表現力(考える力・伝える力)

    小論文や面接、プレゼンテーション、グループディスカッションなどを通じて評価します。与えられた課題に対してどのように考え、自ら判断し、意見を表現できるかが重要です。暗記した知識ではなく、それを使って考える力が問われます。

  3. 主体的に学習に取り組む態度(自ら動く力・協力する力)

    志望理由書や活動報告書、面接などで評価される要素です。これまでの学習や活動にどれだけ主体的に取り組んできたか、多様な価値観を受け入れ他者と協働できるかが問われます。部活動や生徒会活動などの経験が評価されるポイントです。

受験生が知っておきたい変化

制度改革によって、受験生の準備内容にも大きな変化が生じており、これまでよりも準備に求められる内容は増えています。しかし、その分だけ学力と人物の両面を公正に評価してもらえるようになったとも言えます。

変化①:準備することが増えた

AO入試時代は面接対策や志望理由書の作成に重点を置けば良かったのですが、総合型選抜では学力試験の対策も並行して進める必要があります。高校での評定平均値(通知表の成績)の維持はもちろん、英語資格の取得や大学独自の学力検査への対策も欠かせません。

変化②:戦略的なアプローチが必要になった

学力評価が加わったことで、総合型選抜のための対策はより複雑になりました。自分の強みを活かしながら、学力面での不安要素を補うために戦略的に準備することが求められます。

具体的な戦略例
  • 英語が得意→英語資格(英検、TOEIC等)を活用してアピール
  • 数学が苦手→小論文で思考力をアピールして補う
  • 評定平均値が高い→学習成績を重視する大学を選ぶ

変化③:一般選抜との併願がより重要になった

学力評価の必須化により、総合型選抜の競争も激化しています。そのため、一般選抜の準備を並行して進めることが重要です。

一見すると準備の負担が大きく見えるかもしれませんが、過度に不安を感じる必要はありません。総合型選抜で培った思考力や表現力は一般選抜でも活かすことができます。両方の対策を効率的に進めることで、「もう一つのチャンス」として総合型選抜を戦略的に活用することができるのです。

制度改革に合わせて、大学側も選考方法を見直しています。多くの大学で学力検査が新たに導入され、評価基準もより明確になりました。また、アドミッション・ポリシー(求める学生像)の具体化が進み、どんな学生を求めているのかがより明確に示されるようになっています。

このような変化によって、総合型選抜はより公正で透明性の高い入試制度として発展を続けています。受験生にとっては準備の負担が増えた面もありますが、学力と人物の両面を適切に評価してもらえる機会が拡大したとも言えます。

監修者 古岡
監修者 古岡

制度改革により総合型選抜の準備は複雑になりましたが、学力と個性の両方を評価してもらえる貴重な機会です。このように聞くと不安に感じるかもしれませんが、早めの情報収集と計画的な準備を行うことによって、この制度を有効活用することができます。

一般選抜・学校推薦型選抜との違いを徹底比較

大学入試には主に3つの選抜方式があり、それぞれ異なる特徴と評価基準があります。

  • 一般選抜:学力重視
  • 学校推薦型選抜:過去の実績重視
  • 総合型選抜:未来志向の自己推薦型

「自分にはどの選抜方式が合っているのか悩んでいる」という人も多いでしょう。そこでこの章では、各方式の実施時期や評価方法、出願条件などの違いを整理し、自分に合った入試スタイルを見つけるためのポイントを詳しく解説します。

3つの選抜方式の基本的な違い

一般選抜は最も一般的な入試方式で、大学入学共通テストや各大学の個別学力検査の成績を基に合否を判定します。例年1月から3月にかけて行われ、学力試験の結果でほぼ全てが決まる「一発勝負」の試験形式なので、評価基準が最も明確です。併願制限はほとんどなく、複数の大学を受験することができます。

学校推薦型選抜は、高校での学習成績や活動実績を基に学校長の推薦を受けて出願する方式です。11月から12月にかけて実施され、評定平均値(通知表の平均点)や特定の資格・検定の取得が出願条件となることが多く、過去3年間の積み重ねが重要視されます。多くの場合、推薦を受けた大学へ専願(その大学だけに出願すること)することになります。

総合型選抜は、受験生の個性や将来性を多面的に評価する方式で、9月から11月にかけて実施されます。書類審査や面接、小論文に加えて2021年からは学力検査も必須となり、アドミッション・ポリシー(大学が求める学生像)に適合しているかどうかが、重要な判断基準となります。

それぞれの選抜方式に向いている人の特徴

一般選抜が向いている人
  • 学力試験で実力を発揮できる人
  • 幅広い選択肢から大学を選びたい人
  • 評価基準が明確な方が安心できる人

評価基準が明確なので、努力の成果が点数として直接反映されます。模試の成績が安定している人には最も確実な選択肢です。

学校推薦型選抜が向いている人
  • 高校3年間を通じて安定した成績を維持してきた人
  • 部活動や生徒会活動などで実績を残した人
  • 評定平均値4.0以上を維持している人

高校での3年間の積み重ねが評価される入試方式です。高校での成績や部活動などで実績を積んできた人には有利な選択肢となります。

総合型選抜が向いている人
  • 学力以外で強みを持つ人
  • 探究心が旺盛で、特定の分野に深い興味を持つ人
  • 将来の目標が明確な人

また、模試の成績が志望校のボーダーライン上にある人や、一般選抜での合格が難しい難関大学への「逆転合格」を狙う人にも可能性が開かれます。一般選抜に加え「もう一つのチャンス」として戦略的に活用できる入試方式です。

併願戦略と選択のポイント

総合型選抜の大きなメリットは、一般選抜との併願が可能なことです。

一般選抜と併願するメリット
  • 早期に合格を確保できれば心理的な安心感を得られる
  • 不合格でも一般選抜で再挑戦できる
  • 受験機会を増やすことでリスクヘッジになる

ただし、併願するとなると一般選抜と総合型選抜の対策を同時に進める必要があるため、計画的なスケジュール管理が重要です。「総合型選抜に落ちたら一般選抜で頑張る」という心構えで臨むことで、精神的な負担を軽くすることができます。

自分の強みや特性を客観的に分析することによって、最も力を発揮できる方式を選択するようにしましょう。

一つの選抜方式にこだわる必要はありません。複数の方式を戦略的に併用することで、合格の可能性を最大化することができます。

監修者 古岡
監修者 古岡

どの選抜方式にもそれぞれの良さがあります。重要なのは自分に合った方式を見極めることです。不安を感じている人こそ、複数の方式を併用する戦略が有効です。早めに情報収集を始めましょう。

総合型選抜の内容とメリット・デメリット

総合型選抜の具体的な選考内容は大学によって様々ですが、書類審査や面接、小論文、学力検査などを組み合わせて行われます。

この制度には早めに合格を勝ち取ることによる安心感や学力以外の能力評価といったメリットがある一方で、評価基準の曖昧さや対策の難しさというデメリットもあります。

「総合型選抜に挑戦するべきかどうか迷っている」という人は、この章でメリット・デメリットをしっかり理解した上で判断しましょう。

総合型選抜の具体的な選考内容

総合型選抜では、各大学のアドミッション・ポリシー(求める学生像)に基づいて様々な評価方法が採用されています。

主な選考内容
  1. 書類審査

    最も一般的な評価方法です。志望理由書や自己推薦書、調査書、活動報告書などを通じて、学生の学習意欲や将来への目標を評価します。

  2. 面接

    多くの大学で実施されています。個人面接のほかグループ面接や集団討論を行う場合もあります。志望理由書に書いた内容について、深く掘り下げられることが多いです。

  3. 小論文

    論理的思考力や表現力を測ります。大学の専門分野に関連したテーマで出題されることが多いです。制限時間内に自分の考えを論理的に文章化する力が求められます。

  4. 学力検査

    2021年の制度改革以降、必須となりました。大学入学共通テストの受験を求める大学もあれば、独自の学力試験や英語資格試験(英検、TOEIC等)のスコア提出を課す大学など様々です。

  5. その他の選考方法

    プレゼンテーションや実技試験、フィールドワーク、グループディスカッションなどを行う大学も増えています。慶應義塾大学のFIT入試のように、大学が独自に創意工夫を凝らした選考方式も注目されています。

総合型選抜のメリット

早期合格による心理的な安心感
総合型選抜の最大のメリットです。11月頃に合格が決まるため、一般選抜に向けた長期間のプレッシャーから解放されます。残りの高校生活を有意義に過ごせますし、大学入学に向けた準備にも時間を使うことができます。

学力以外の能力が評価される
部活動での実績やボランティア活動、研究活動、資格取得など、これまでの努力や経験を入試で活かすことができます。探究心や主体性、表現力といった実社会での重要な能力が評価されるため、「模試の成績だけでは評価されない自分の強み」をアピールすることができます。

逆転合格の可能性がある
模試の成績が志望校のボーダーライン上にある人や、一般選抜では合格が難しい難関大学でも「逆転合格」できる可能性が広がります。学力以外の要素が評価されるため、一般選抜とは違う軸で勝負することができます。

入学後の成績が良い傾向
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの追跡調査では、総合型選抜入学者が一般選抜入学者よりも優秀な成績を収めているという興味深いデータも報告されています。明確な目的意識を持って入学した学生が、大学での学習により積極的に取り組んでいることが証明されています。

総合型選抜のデメリット

総合型選抜にはメリットがある一方で、デメリットも理解しておく必要があります。総合型選抜には以下のような課題があります。

評価基準が曖昧
学力試験のように明確な正解がないため、「何をどこまで準備すればよいのか」が分かりにくい面があります。この不透明さによって、受験生が不安になってしまうことがあります。

準備期間が長い
評定平均値(通知表の成績)の維持や課外活動への参加、志望理由書の作成など、高校1年生から継続的に取り組むことが必要です。一般選抜に向けた勉強との両立が求められるため、負担は決して軽くありません。

不合格時の心理的負荷が大きい
自己表現や経験に基づく提出物・面接等の比重が高いため、不合格時に自己評価が低下しやすい傾向があります。その結果、一般選抜に向けたモチベーションの維持が難しくなるケースが見られます。

情報収集が大変
大学ごとに選考方式が異なるため、情報収集や対策に多くの時間と労力を要します。専門的な指導を受けられる環境にない人にとっては、情報格差による不利益を感じやすい制度です。

監修者 古岡
監修者 古岡

総合型選抜は「正解のない」入試だからこそ、自分らしさを表現できる貴重な機会でもあります。デメリットを恐れすぎず、しっかりとした準備と戦略で臨めば合格できる可能性が十分あります。デメリットを知ると、不安を感じるのは当然です。その不安を戦略的に準備するための力に変えていきましょう。

総合型選抜に向いている受験生の特徴と準備方法

「自分は総合型選抜に向いているのかな?」と疑問に思っている受験生も多いでしょう。

総合型選抜で成功する人には共通点があります。総合型選抜では探究心や主体性、表現力を持っている人が有利とされていますが、これらのスキルは一朝一夕で身につくものではありません。高校1年生から継続的に準備することと、戦略的にアプローチしていくことが重要です。

この章では、総合型選抜に向いている人の具体的な特徴と、それらのスキルを効果的に身につけ、アピールするための準備方法を段階的に解説していきます。

総合型選抜に向いている人の特徴

総合型選抜で評価される人の特徴は、文部科学省が定める「学力の3要素」と密接に関連しています。

1. 探究心がある人
物事を深く掘り下げて考える習慣があり、疑問を持ったことを自ら調べ、解決しようとする姿勢を示すことができる人です。例えば、環境問題に関心を持って地域の水質調査を継続的に行い、その結果を地域住民に発表するような活動を行った人などが当てはまります。

2. 主体性がある人
与えられた課題をこなすだけではなく、自ら目標を設定し、計画を立てて実行していくことができる人です。高校時代に生徒会活動やボランティア活動でリーダーシップを発揮したり、新しいプロジェクトを立ち上げたりした経験が重要となります。

3. 表現力がある人
自分の考えや経験を相手に分かりやすく伝える力がある人です。これは単に話すことが得意というだけでなく、論理的構成がしっかりとした文章を書く力や、相手の立場を理解してコミュニケーションを取る力も含まれます。

「自分には当てはまらない…」と思った人へ

今は自信が無くても安心してください。これらの能力は特別なものではなく、日々の学校生活の中で自然と身につけられるものです。早めに準備を始めれば十分間に合います。

高校1年生からの継続的な準備の重要性

総合型選抜の準備は高校入学と同時に始まると言っても過言ではありません。「3年生になってから考えればいいや」と思っていては遅いのです。

なぜ1年生からそんなに頑張らなければならないかというと、評定平均値(通知表の成績)の維持が求められるからです。

  • 一般的な大学:3.5以上が目安
  • 難関大学:4.0以上が目安

評定平均値には定期テストの成績だけでなく、授業態度や提出物も評価に影響します。日々の学習姿勢を意識して、1年生のうちから取り組むことが大切です。

課外活動の実績を積み重ねるには、量よりも質を重視しましょう。「たくさんの活動に参加すればいい」というわけではありません。

おすすめのアプローチ
  • 一つの分野で継続的に取り組む
  • 具体的な成果や学びを得る
  • 部活動や生徒会、ボランティア活動、研究活動など、自分の興味関心に合った分野で深く関わる

「何か特別なことをしなきゃ」と焦る必要はありません。目の前の課題や活動に真剣に取り組むことが最も重要な準備です。

志望理由書や面接、小論文の具体的な対策方法

志望理由書

志望理由書は総合型選抜で最も重要な書類となります。抽象的な内容ではなく、自身の経験に基づいて具体的に書くことが大切です。

書き方のポイント
  • 5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を活用して具体的なエピソードを書く
  • 「なぜその大学でなければならないのか」理由を明確に示す
  • 「将来どのような人材になりたいのか」目標を具体的に書く
  • 自分の経験と志望する学部・学科の学びを論理的に結びつける

面接

面接対策は暗記した回答を伝えるのではなく、自分の言葉で話すことが重要です。面接では志望理由書に書いた内容について深く掘り下げられることを想定し、具体的な体験談を伝えるための準備をしましょう。

効果的な対策
  • 家族や友人と模擬面接を重ねる
  • 緊張せずに自分の言葉で話せるよう練習する
  • 「なぜそう思ったのか」「どう行動したのか」を具体的に答えられるようにする

小論文

小論文対策では過去問演習と添削指導が不可欠です。学校の先生や塾の先生に添削してもらうことで、論理的な文章を構成する力を身につけられます。

基本的な練習方法
  • 序論・本論・結論の基本構造を意識して書く
  • 根拠を示しながら自分の意見を記述する練習をする
  • 制限時間内に書き上げる訓練をする

これらの準備を通じて、自分の強みを明確にし、それを効果的にアピールする力を身につけましょう。

監修者 古岡
監修者 古岡

総合型選抜の準備は長期戦となりますが、日々の学校生活の中で自然と身につけられる能力ばかりです。特別なことをする必要はなく、目の前のことに真剣に取り組む姿勢が最も重要な準備となります。焦らず着実に進めていきましょう。

成功のための戦略と注意点

総合型選抜で合格を勝ち取るためには、戦略的なアプローチが不可欠です。

単に学力や活動実績があるだけでは十分ではありません。志望大学のアドミッション・ポリシー(求める学生像)を深く理解し、自分の強みを効果的にアピールする戦略が求められます。

また、一般選抜との併願を視野に入れたスケジュール管理も重要です。この章では、受験生が知っておくべき戦略的なポイントと注意点を整理して紹介します。

アドミッション・ポリシーへの適合性が合否の鍵

総合型選抜で最も重要なのは、志望大学のアドミッション・ポリシー(求める学生像)に適合するかどうかです。各大学は「どのような学生を求めているか」を明確に示しており、この方針に合致する人が高く評価されます。

学部別の傾向例
  • 国際系学部:「多様な文化への理解と語学力」
  • 理工系学部:「論理的思考力と探究心」

効果的な大学研究の方法

  • 大学のホームページで学部・学科の教育方針を詳しく調べる
  • オープンキャンパスや説明会に参加する
  • 在学生や卒業生と交流して生の情報を得る

志望理由書では、これらの情報を基に「なぜその大学でなければならないのか」を具体的に示すことが重要です。「この大学で学びたい」という熱意を、具体的な根拠とともに伝えましょう。

情報収集と専門的なサポートの活用

総合型選抜は大学ごとに選考方法が大きく異なるため、正確に情報収集することが合格を掴むための前提となります。

収集すべき情報
  • 過去の出題傾向
  • 合格者の特徴
  • 評価基準
  • 出願条件

これらの情報を多角的に収集し、対策の方向性を明確にしましょう。

専門塾の活用も検討しよう

総合型選抜に特化した指導を行う塾では、以下のような専門的なサポートを受けられます。

  • 志望理由書の添削指導
  • 面接練習
  • 小論文対策

実際に、専門塾での指導を受けた人の合格率は一般的に高い傾向にあります。「情報格差があるかもしれない…」と不安を感じている人は、専門塾に通うことを検討してみてください。

総合型選抜対策ができる塾をお探しの方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。

併願戦略とスケジュール管理の重要性

一般選抜の準備も並行して進めよう
総合型選抜を受験する場合でも、一般選抜の準備を同時並行で進めていくことが重要です。総合型選抜の合格発表は11月頃ですが、不合格の場合は一般選抜に切り替える必要があります。

この「両立戦略」により、受験機会を最大化できます。「総合型選抜がダメでも一般選抜がある」という心の余裕が、かえって良い結果につながることもあります。

計画的に進める必要がある項目
  • 評定平均値(通知表の成績)の維持
  • 課外活動への参加
  • 志望理由書の作成
  • 面接対策
  • 一般選抜の勉強

特に高校3年生の夏休みは、志望理由書の完成度を高める重要な時期です。この時期を有効活用しましょう。

保護者の役割:お子さんの自主性を尊重したサポートを

総合型選抜では、受験生本人の自主性や主体性が重視されます。そのため、保護者の方はお子さんの考えや意志を尊重しながら、適切な形で支えることが大切です。

具体的には、志望校や入試制度に関する情報収集を手伝うこと、出願や受験に必要な費用など経済的な支援を行うこと、そしてお子さんが不安や悩みを抱えたときに精神的な支えとなることが重要です。

保護者が過度に介入するのではなく、「見守りながら支える」姿勢を持つことで、お子さんの主体性を引き出し、総合型選抜で求められる自発的な行動や思考力を育むことにつながります。

注意点

志望理由書を代筆したり、面接での発言内容を過度に指導したりすることは避けましょう。総合型選抜では受験生本人の考えや経験が重視されるため、保護者の意見が強く反映された内容は評価されません。お子さんが自分らしさを表現できるよう、見守る姿勢が重要です。

監修者 古岡
監修者 古岡

総合型選抜は戦略が重要ですが、小手先のテクニックではなく、本質的な成長を伴った準備が最も効果的です。不安を感じることもあるかもしれませんが、焦らず着実に取り組むことがおすすめです。

まとめ – 総合型選抜を活用した進路選択のために

総合型選抜は、学力だけでは測れない学生の個性や将来性を評価する重要な入試制度です。2021年の制度改革により学力評価も必須となり、より総合的な能力が求められるようになりました。

一般選抜や学校推薦型選抜とは異なる特徴を持つこの制度は、探究心や主体性を持つ人にとって大きなチャンスとなります。そして、一般選抜だけでは不安を感じている人にとって、「もう一つのチャンス」として戦略的に活用できる入試方式です。

総合型選抜で成功するためには、早めに準備を始め、戦略的にアプローチすることが不可欠です。

特に、志望理由書や面接では「なぜその大学で学びたいのか」や「将来どのような貢献をしたいのか」を具体的に伝えることが求められます。単なる憧れではなく、自分の経験と将来の目標を結びつけた説得力のあるストーリーを構築するようにしましょう。

※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。

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