最近話題の「小中一貫校」や「義務教育学校」。2016年時点では全国に301校が設置されており、2018年度には義務教育学校が国公立で52校が新設されるなど、今後さらに設置校が増えていきます。
令和元年には国立が3校、公立が91校、計94校となりました。
また、令和2年8月の学校基本調査速報値で、義務教育学校は昨年度よりも32校(うち国立4校、公立27校、私立1校)増えて126校となりました。
みなさんは小中一貫校や義務教育学校がどのような学校かご存知ですか?
このページでは小中一貫校や義務教育学校とはどういった学校か、または制度化された背景や特徴を解説します。
小中一貫校・義務教育学校が制度化された背景について
まずは小中一貫校・義務教育学校が制度化された背景をみていきましょう。日本では小学校6年間・中学校3年間の学校制度をとっていますが、この学校制度自体が現代の子どもの実態に合っていないのではないかという考えがあります。
また、現在の学校制度では「中1ギャップ」の問題を抱えています。中1ギャップとは小学生が中学に進級した際に起こる勉強や心理面でのギャップのことで、その結果不登校になってしまったり成績を大きく落としてしまうことを指します。
さらには少子化に伴う学校の統廃合が進んでいることもあり、これらの問題の解決に向けて2000年代より自治体独自の取り組みとして小中学校の9年間を一貫させた教育が登場し、2016年度から正式に制度化がされました。
小中一貫校・義務教育学校の違いとは?
それでは小中一貫校と義務教育学校はどのように違うのでしょうか。
義務教育学校とは、小学校過程から中学校過程までの9年間の義務教育を一貫して行う学校を指します。一方で、既にある小中学校を組み合わせて一貫教育を行う学校を小中一貫型小学校・中学校と呼びます。
さらに学校の立地によって施設形態が以下に分かれます。
- 施設一体型
- 同一の校舎内で、小学校及び中学校の運営を行い一貫して教育を行う
- 施設隣接型
- 隣接する小学校及び中学校で一貫した教育を行う
- 施設分離型
- 離れた場所にある小学校及び中学校で一貫した教育を行う
最も多い施設形態は、義務教育学校は施設一体型、小中一貫型小学校・中学校では施設分離型となっています。
小中一貫校・義務教育学校のメリット・デメリット
つぎにメリットをみていきましょう。
先程お伝えしたように中学進学時に不登校やいじめが増えてしまう「中1ギャップ」を解消できる点が挙げられます。
また、学年の区切りを従来の「6・3制」から、「5・4制」や「4・3・2制」などを設定し9年間を通して一貫したカリキュラムを編成できることも強みですし、義務教育学校では小学校・中学校の両免許を持つことが原則なっていますので、小学生のうちから中学校の教員免許を持つ教員から指導を受けられる点も大きいでしょう。
ただし残念ながらメリットだけではなくデメリットも存在します。
子どもは9年間同じ環境に身を置かなければならないため、人間関係が崩れてしまった際の怖さがあります。また、9年間同じ生徒同士で生活することによって、高校への進学の際など新しい人間関係を築くことに対するストレス耐性が下がってしまうことも挙げられます。
さらに小学校の教員免許と中学校の教員免許の取得条件が異なるため、一貫して同じ先生に教えてもらうためには先生が小学校・中学の両方の免許を取得しなくてはいけないなどのさまざまな社会的な条件があります。
さいごに
義務教育期間における学年の区切りを従来の区切りから変えていこうという学校は今後益々増えていくことが予想されます。小中一貫校や義務教育学校を検討されている保護者のかたは良い面だけでなくリスクなども把握した上で検討していただければと思います。少しでも参考になれば幸いです。
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