【中高一貫校に特化した学習塾】自走式個別指導の京学館(旧:PTN塾)にインタビュー
- 高橋 徹(たかはし とおる)先生
- 京都大学・東京大学大学院卒。
- 工学修士を取得したのち、鉄鋼の大手メーカーに就職。退職後、独立。現在和歌山で1校舎を運営中。勉強のやり方を教えるべく日々の指導に没頭。
もっといろいろな人を指導したいという強い気持ちから開塾
ーー本日はよろしくお願いいたします。まずは京学館(旧:PTN塾)の沿革について教えてください。
よろしくお願いします。私は大学1年生のころから家庭教師と個別指導塾の講師をしていました。もともとは楽しそうだったからという理由で始めたのですが、次第にもっといろいろな人を指導したいという気持ちが強くなり、地元の和歌山で開塾しました。
ーー先生は京都大学の工学部を経て、東京大学の大学院を卒業されていますよね? 卒業後すぐ開塾されたのですか?
いいえ、卒業後は大手企業に就職しました。それまで学んできたことを活かせる、やりがいや満足感のある仕事ではあったのですが、どうしても生徒指導の日々を忘れられず、2年後には退職し、和歌山に戻ってきてしまいました(笑)。
ーー開塾してすぐに塾は軌道に乗ったのでしょうか?
そんなことはありませんでした。最初オンライン専門塾としてスタートしたのですが、当時はオンライン専門という形態は珍しく、保護者の方や生徒に受け入れられませんでした。しかし2020年のコロナ禍をきっかけにオンライン専門塾も次第に受け入れられるようになり、少しずつ軌道に乗っていった形です。
ーー現在もオンライン専門の形態ですか?
現在は通塾の指導が8割、オンラインの塾生は2割程度です。中学生と高校生では目的意識が大きく異なるため、通塾とオンライン指導を使い分けています。
- 中学生:対面指導がメイン(集中力を持続してもらうため、教室での対面指導を提供)
- 高校生:オンライン指導を活用(大学受験に特化した内容および国語の記述力強化など、マンツーマン指導が必要な場合)
特に中学生の場合、オンラインだとサボりを完全に防止するのが難しいです。なぜなら中高一貫校に通う中学生はいわゆる「中だるみ」からサボってしまうことがあるからです。
当塾は中高一貫校専門の塾ですので中等部の生徒の「中だるみ」への対策は徹底しています。
中高一貫校専門・大学受験特化の学習塾
ーー中高一貫校専門・大学受験特化の塾とのことですが、通塾している生徒について教えてください。
京学館(旧:PTN塾)は
- 智辯(ちべん)学園和歌山
- 近畿大学附属和歌山
- 開智
- 和歌山信愛
の4つの私立中高一貫校を対象としています。
また、県立中高一貫校の
- 桐蔭
- 向陽
も対象です。
生徒の学力層としては
- 学校内で上位の成績を維持したい生徒
- 大学受験を見据えてハイレベルな指導を受けたい生徒
- 苦手科目の成績が伸び悩んでいて学力の底上げをしたい生徒
などが在籍しています。
また、大多数は国公立大学への進学を目指しており、共通テストや個別の大学試験に特化した指導を受けたい生徒が在籍しています。
ーー和歌山市の教育意識についてもお聞かせください。
和歌山の教育熱は高い方もいれば低い方もいます。大学には行けたら行きたい程度の方もいますし、中学から受験をして上の学校を目指す方もいます。
当塾の生徒は、全員が中高一貫校の生徒ということもあり、教育熱の高い方が多いです。ただそういった方々でも中等部の間は中だるみしやすいため、対策を徹底しています。また、中学生のうちから大学受験に必要なことを効率的に学びたいというニーズもあるため、大学入試に向けた指導も心がけています。
「中だるみ」は起こるものとして対策を
ーー中高一貫校の中学生における中だるみは根深い問題ですね。
はい。中だるみは次の受験までの時期が空くことによって起こることもありますが、単純に学校が嫌になってしまって起こることもあります。
ーーそれはどういうことですか? 詳しく教えていただけますか?
中高一貫校を受験した生徒は受験期に朝から晩まで塾で勉強した辛い経験があるため、塾に悪い印象を持っている場合が多いのです。しかし塾に行かないことで成績が下がり、学校が嫌になってしまうこともあります。これも中高一貫校に見られる中だるみの一種です。
ーーなるほど。中だるみに対して、どういった対応を行うべきなのでしょうか。
中だるみは起こる前提で、意識づけが大切です。いずれ大学受験は来るという意識を早く持つこと、効率良く勉強して成績の低下を防ぎ明るい学校生活を送るといったことが大事だと思います。PTN塾は自走式の個別指導を行っています。自身で目標設定や学習を行う必要があり、自然と中だるみに対策できます。
進学校において、明るい学校生活を送るには安定した成績を維持する必要があります。逆に言うと成績さえ維持できれば、高校受験がないため余裕のある学校生活を送ることができるはずです。効率の良い勉強ができれば部活や課外活動に時間を使えるようになります。勉強だけが経験の全てではないため、効率良く勉強することで、充実した学校生活を送ってほしいと考えています。
分量が年々増え続ける共通テスト
ーー大学受験を目指す生徒も多いということですが、近年の共通テストは分量が増加する傾向にありますね。
はい。当塾では国公立大学への進学を希望する生徒が大多数を占めます。その生徒たちの大きな壁として立ちはだかるのは共通テストの分量の多さです。主要科目(国数英理社)の対策だけでも大変なところ、2025年度の共通テストでは「情報」科目の新設も予定されているため、増加する分量に受験生は苦しめられることになるでしょう。
ーーそんな共通テストをどうすれば突破できるのでしょうか。
「主体的に動く」意識が何よりも重要です。近年の共通テストは「全てを誰かに教わろう」という姿勢では突破できないような仕組みになっています。その背景にはAI技術の目覚ましい発展があり、主体的であることがこれまで以上に求められているからです。そのため「自分のやるべきことは自分で決めて実行する」という勉強のやり方を習得することが何よりも大切になってきます。
ーーなるほど。「自走する」ことが今後さらに重要になるのですね。
そのとおりです。国公立大学に進学する生徒は、日本の発展を最前線でリードする人材にならなければなりません。そのため、多岐にわたる受験科目の優先順位をしっかり決めて、自分のやるべきことを着実にこなしていく。どの時代にも共通する基本的な学習姿勢を身につけてほしいと考えています。
ーー共通テストを突破する上で重要なことを具体的に教えてもらえますか。
「大量の文章から必要な情報を整理する力」を養うことが重要です。たとえば数学で複利計算を題材とした問題が出題されたことがありました。この問題では試験会場で初めて出会うシチュエーションをその場で把握することが求められます。それには「深いレベルでの教養」が必要です。複利計算は教科書のコラムに掲載されています。じっくり内容を読んで、手を動かして計算をしたことのある生徒なら楽勝の問題だったと思います。
確実に得点する力を下支えするのが基礎学力です。状況を把握できても、計算ができなければ数学の点数には繋がりません。計算は思考せずともできるレベルにまで引き上げないと高得点は望めません。基礎学力や教養を向上させ、情報を抜き出す練習をしっかり積んでいけば、共通テストでの得点は難しいことではありません。
生徒が主体となる自走式の個別指導
ーー続いて京学館の指導について教えてください。自走式の個別指導とのことですが、どういった指導を行うのでしょうか。
自走式の個別指導では基本的に授業は行いません。生徒自ら計画を立てて実行してもらいます。自分のやるべきことは自分で決め、しっかりやりきることが何よりも重要だと考えています。塾が行うのは理解度のチェック、チェックテスト後の個別対応、生徒の立てた目標と現在地の差分を的確に言語化することです。
ーーどういった時間割で指導を行うのですか?
1回の指導は100分を1セットにしています。
まず前週の指導内容に基づいたチェックテストを20分から25分ほどで行います。テストを受け終わったら、その振り返りを生徒自身が30分ほどで行います。かかった時間・点数・反省を記入しながら自分の行動を1週間単位で振り返ってもらいます。さらに、学習内容について何を聞かれても答えられるような状態を目指して、解説を読み込んだり、人に説明できるレベルまで徹底的に復習を行います。
振り返りまで完了したら、講師と15分ほど対話を行います。足りない知識の埋め合わせや次に行うべき課題などを明確にします。その内容を受けて、残り時間で演習を行います。
ーー自走式の個別指導にはどのようなメリットやデメリットがありますか?
自走式のメリットは自己効力感(目標を達成するための能力を自らが持っていると認識すること)が鍛えられることです。今までは先生や親に目標を決めてもらっていたところ、自分で目標を決めて、目標に対して頑張ることによって、自分が目標に向かって頑張れるという気持ちを培うことができます。
デメリットは分からないことをすぐに聞けないことでしょうか。ただし、自走式は問題をできる限り自分で解決すべきだと考えるため、個人的にはデメリットだとは考えていません。そのためしっかりと指導を受けたい、1から説明してほしいという方にはPTN塾は向いていないかもしれません。
インプットについては昨今、映像教材などがあります。分からないことを聞くだけなら学校の先生でも良いはずです。そういったなかで塾の役割は「アウトプットの確保」「本人の意識を変えること」だと考えました。自走式はその役割を果たすための手段として最適だと思っています。
ーー進路指導など、学習以外の指導についてもお聞かせください。
進路指導については学校の進路指導を補強する形で行っています。「この大学にはこんな学部があって、こういう就職先があるよ」といったように私の社会人経験も交えて話をしています。
中高一貫校の生徒はほぼ確実に大学進学を目指します。しかし、大学に進学したあとのゴールについては考えが及んでいないことが大半です。そのため、まずは大学卒業後に何をしたいかを一緒に考え、目指すべき大学への入学に必要な具体的な数値目標を立てます。その目標と現在の学力の差を明確にした上で、その差を埋めるにはどうすればいいか考えます。
朝はしっかり起きようだとか、ご飯はしっかり食べようだとか、そういった細かい指導まで行っています。
講師採用で重視するのは「成長意欲」
ーー指導スタイルやお通いの生徒の特徴を考えると、高い指導スキルが求められると思います。講師採用で大事にしていることを教えてください。
採用においてはスキルとメンタルの両方を大事にしています。
スキル面については国公立大学に合格していること、もしくは国公立大学の受験経験があり私立の難関校に合格していることが必須条件です。国公立大学を目指す生徒に指導するためには、国公立大学の受験経験が必要だと考えています。
メンタル面については高い成長意欲を持っていることを重視しています。生徒は講師を見て成長します。「成長したい!」と思って塾に来てくれる生徒には、成長意欲に満ちた講師の言葉しか響きません。
ーーこれだけ高い基準に合致する講師を見つけるのは大変そうですね。
条件は厳しいですが、門戸はある程度広くしたいと考えています。成長意欲の高い生徒たちに支持されるような塾を目指しているため基準は下げられませんが、スキル面を満たしていればお気軽にお問い合わせいただければと。
自分と徹底的に向き合える場所に
ーー生徒にとって塾をどのような場所にしたいと考えていますか?
生徒が「自分を見つめ直せる場所」にしたいと思い、塾を運営しています。リラックスしながら勉強できるような雰囲気はありませんし、生ぬるいことは一切言えない厳しい学習環境だと思います。しかし自己成長のためには、自分の弱い部分から逃げずに徹底的に向き合う必要があります。厳しかった分、将来ここで一緒に頑張れてよかったと思ってもらえるような塾でありたいです。
ーー最後に、これから塾探しをする方へメッセージをお願いします。
よく「中高一貫校に通えば塾や予備校に通わなくても大学入試は大丈夫」と言われますが、実際はそんなに甘くありません。高い目標を達成するにはそれ相応の対策が必要です。通塾いただければお子さまを必ず成長させますのでぜひご検討ください。
ーー本日はありがとうございました。
取材協力:京学館