【都立高受験に強い】デジタルと人による指導を融合したコノ塾にインタビュー
都立高校受験に特化し、多摩地区で2022年5月現在8教室を展開している、進学型個別指導のコノ塾。独自開発の動画授業と、専用アプリを使った家庭学習のサポートで、定期テストも受験対策もできると話題です。さらに、保護者にうれしいのが、中学生・5教科で月額26,400円(税込)という明確な塾費用の開示。開校から現在に至る経緯についてなど、代表の田辺理氏に詳しく教えていただきました。
- 田辺 理(たなべ さとる)氏
- 日本政策投資銀行、米国大学院留学(UC Berkeley MBA)、BCGを経てQuipperに入社。
Quipperにてスタディサプリの事業責任者、グローバルでのプロダクト責任者等を歴任。20年1月、コノセルを共同創業。
アプリ開発で感じた指導と学習継続の課題
ーー開塾のきっかけについてお話いただけますか?
私は以前「スタディサプリ」というオンライン教育サービスに関わっていました。そこで、いくつか気づいたことがありました。
まず学校の授業はクラス全体のペースに合わせて行われます。そのため個人的に不要なところや聞き直したいところがあってもすぐに聞けないなど、不都合な点が多いと感じていました。しかし、オンライン教育なら、そういった不都合が生じず、自分のペースで自分に必要なことだけを勉強ができます。
その一方で、通信添削教材によくあるように、オンライン教育だと勉強をやらない子がでてきます。学生が自分を律して1人で勉強をするのは非常に難しいのです。オンライン教育は実際にはその良さが十分に生かされていないように思います。こんなにテクノロジーが進化しているのに、勉強にニガテ意識を持っている生徒にとって使いやすい教育サービスが生まれてないのが現状です。
また、学校や学習塾に目を向けると、実際アプリを提供しても、先生にはご自身の教え方があって、それにそぐわないとアプリは使っていただけません。紙教材の編集は容易なので先生の使いたいように使えますが、アプリは使い方が決まっているため、先生の思うように使えず、結局は授業で十分に活かしきれないケースが多いように思います。
どうしたものかと考え、思い至ったのが、自分で教育機関を作ればいい、ということでした。
ーーオンライン教育サービスの課題点の克服を目的に、塾をスタートしたのですね。
いいオンライン教育サービスを作りたいエンジニア、勉強に困ってる子、熱心な先生たちをつなぐためには、外からやっていても駄目だと思ったのです。
「教育サービスをデジタル化する」というのは、教材をデジタル化する、ということではありません。教育機関自体をデジタル前提で作り直す必要があります。そこで「コノ塾」を設立しました。コノ塾の前身となる塾を運営開始したのが2020年の6月で、ちょうどコロナ禍真っ只中の時期でした。その後、同年12月に「コノ塾」へと名称を変更して現在に至ります。
ーー現在の校舎数と、対象エリアを教えてください。
2022年5月現在、8校舎あります。町田に5校、府中と多摩と日野に1校ずつ、いわゆる多摩エリアと呼ばれるエリアです。このエリアは、大手塾が揃っていて、さらに神奈川の塾も進出しているので、塾の選択肢が豊富な地域です。
ーー町田市の教育熱は高い方でしょうか?
町田市は基本的には皆さん、地元の公立中学校に進まれて、その後周辺の公立高校や私立に行かれたり、という地域です。
もちろん東京都内なので、学校の選択肢は多いです。しかし、中学生の生活パターンを見ても、基本的には部活に一生懸命、塾に通うのは週1回2回程度で、中3から受験勉強を頑張るぞ、という生徒が多いです。日本全国で多く見られるような地域と言えばよいでしょうか。
都立高校合格に焦点を絞った、5科目指導
ーー巷には個別指導塾が多く存在しますが、他の個別指導塾と違うポイントを教えていただけますか?
コノ塾は「進学型個別指導」を謳っています。教室のあるエリアの憧れの公立高校に生徒が進学できるようにすることを一番大事にしています。このゴールを元に、サービス設計や価格設定を考えています。
たとえば都立高校受験は、5科目の勝負です。英語ができればいい、数学ができればいい、ではなく、すべてが同じ点数配分であるため、5科目すべてができるようにならなければいけません。
ですので、5科目の個別指導を大事にしています。もちろん入試では内申点も見られるため、各学校の定期テスト対策もしっかり取り組みます。入試は学校の定期テストとは異なるため、入試そのものに慣れるための準備期間も十分にもうけています。
また、料金設定は一般的なご家庭(両親、子ども2人を想定)が、無理なくお支払いいただける水準で設定し、中学校の3年間、しっかり塾に通っていただけることも大事にしています。
ーー中学生の5科目の個別指導で26,400円。非常にリーズナブルですね。
はい、他塾と比べると圧倒的に費用が抑えられると褒めていただくこともあります。講習費用も前もってお伝えしており、ホームページにも明記されています。いくらかかるか分からないと、保護者の方も安心してお子様をお預けいただけないと考えています。
小学生は4年生から対応していて、2教科で月額8,800円です(学年によって変わります)。
ーー個別指導は追加費用がかかることが多いので、わかりやすい料金は安心ですね。
他のサービスと比べた際に、不透明な料金体系は違和感があると思っています。教育サービスの料金体系も不透明であってはいけません。これからは費用を明確にすることが当たり前になるといいと思っています。こういった姿勢を評価していただいて、保護者から明瞭会計と言っていただくことが多いです。
ーーつづいて、5科目指導の流れを具体的に教えていただけますか?
普段は学校の授業の予習をしています。1コマ50分で、学校の授業やテキストの流れに沿って、大体1,2週間先の勉強をしています。まず前回の宿題のチェックをし、小テストを行い、それから次の予習に入る流れです。
新しいことを学ぶときには、最初に社内で作っている5分程度の短い動画を見てもらいます。長さとしては個別指導の先生がちょっと横で教えてくれるくらいの長さです。動画で内容を理解した生徒は、そのまま問題に入っていきます。質問がある生徒は、近くにいる先生に質問をして、理解を深めた上で問題に入ります。体験授業を見ていると、動画の分かりやすさに驚く声をよく耳にします。
問題を解いたら、その生徒のタイミングで先生から質問を行い、生徒自身に学んだことを言語化してもらいます。これにより生徒がみずから理解を深められるよう促します。問題を間違えてしまった場合も同様です。生徒みずから何を間違えたのか言語化し、それができない場合は、先生がケアをします。
動画を使いながらも、講師が要所要所で確実にケアをしていくことを大事にしています。
ーー先生1人で何名の生徒を見るのですか?
先生1人に対し、生徒は6人くらいです。クラス全員に同じ内容を指導するのではなく、それぞれの進みに沿った指導を行なっています。
やりたいことと勉強を両立したい生徒を応援したい
ーーどんな生徒に対して、強みがありますか?
うちの塾の対象は、主に学校の成績がオール3前後の生徒たちです。まずはその子たちの成績をオール4にする。その上で、その子たちが一番行きたいと思っている高校にちゃんと合格できるようにする。そのためのノウハウがあることが強みです。
ーー特に塾と相性がいい子はいますか?
学力帯的にいうと、合わない生徒はいません。5教科の定期テストの合計点が200点台の生徒、300点台の生徒、400点台の生徒も在籍していますが、みんなしっかりと伸びています。
「自分の子は合わないんじゃないか?」とおっしゃる保護者もいます。定期テストが200点台で苦労してる子の保護者や「うちの子は動画を見ても絶対駄目だと思う」と言う保護者ですね。しかしそういった子が合わない、伸びないということは全然ありません。
特に喜んでいただけるのは、文武両道を両立させたい生徒ですね。しっかり勉強したいという強い意志を持っているものの、部活や習いごとが忙しい、そのため集団指導では予定が合わないといった生徒にはコノ塾はぴったりです。
その生徒のやりたいことと両立できるように、しっかり成果が出る授業を届けた結果、すごく感謝されました。その結果、その生徒の同じ部活の部員が大勢入ってくる、みたいなこともありました(笑)。
ーー校内テスト200点台の生徒の場合、学校の授業について行けていないと思うのですが、そういう生徒にはどういった指導をされていますか?
数学、英語によく見られるパターンですが、ご相談を受けることもよくあります。
当塾では基本的に理解が及んでいない箇所へ戻っての学習までは行っていません。復習は基本的に、夏期講習や冬期講習などの時間で、みっちり時間をかけてやり切る。その後に、また学校の予習に戻していきます。
ーーなるほど。逆に塾と相性が悪い子はいますか?
特定の科目だけ見てほしいっていう生徒には、合いません。1対1や1対2のように、少人数での個別指導をお願いします、という要望も相性が悪いです。
今まで挙げたような教育が、中学生生徒の授業の骨格を作っています。そんな中学生になるために教育をする、ということで小学生のための授業もしています。
ですが、うちは「何でもできます」とは言いません。すべての生徒に対応しようとして、強みを見失うのではなく、自分のペースで学びながら憧れの公立高校に入学するというゴールに特化して授業を作っているからです。
中学受験を考えている小学生には他塾をお勧めしています。中学生でも、たとえば成績がオール5で、私立のトップ校に行きたいと言う生徒には状況を見て、他塾をお勧めすることもあります。
細部にまでこだわり抜いた動画コンテンツ
ーー映像授業は、自社開発で作成されていますか? 特徴を教えていただけますか?
はい、自社で作っています。集団指導塾で授業のすごく上手な先生など、いわゆるエースと呼ばれる教室長たちに来てもらい、動画を作っています。
動画を作るうえでのこだわりとして、生徒が昔学んだことを知っている前提で話しすぎないよう、注意しています。
たとえば、先生が当たり前のように使う「三単現のSだよね」という言葉があります。そこを僕らの動画では三単現のSとは言わず「He,She,Itだったら、Sをつけるってやったよね」と言うようにしています。
「三単現のSだよね」と当たり前に言われると、それがわからない生徒はそれだけで「自分は馬鹿なんじゃないか」と卑下してしまいます。そうならないように1人でも多くの生徒が理解できる言葉を使うことを意識しています。
そういうことに細かくこだわり、一人でも多くの生徒に勉強を楽しんでもらうために、自社で作っています。
ーーホームページには、家庭学習の取り組みについても書かれてますが、その部分について詳しくお聞きできますか?
家庭学習向けに学習管理ツール(勉強の記録をつけてグラフとして可視化したりすることができるツール)を使っています。家庭学習や宿題が終わったら画像を送ってもらいます。わからないことがあったらそこでケアをして、学習時間を記録する。教育長がそれを見ながら生徒と面談をするのが、基本的な取り組みです。
また、入塾した時点で勉強の習慣をつける大切さについてお話ししています。そのため、最初に「コノ塾スターターキット」という生徒向けの資料を使い、勉強の仕方からしっかりと教えています。
宿題も塾の動画で解けるものしか出さないため、絶対にやってくるように生徒に伝えます。その進捗をしっかりと確認をしたうえで、小テストでも同じ問題を出します。そして、解答できたら頑張りを褒めます。
塾が家庭学習に介入することは簡単ではありません。だからこそ、塾に来たときに、家庭学習をやれるように最大限支援することを大事にしています。
デジタルを駆使しながら、同時に人間による指導の魅力も伝えたい
ーー各教室の教育長は、どのような方を採用していますか?
教室長の仕事は、その生徒が伸びるとちゃんと信じて生徒の話を聞き、その子のために頑張ることです。
当塾の教育長は直接授業をしないため、「自分がこれを教えたい」というこだわりがある人ではなく、生徒や保護者に本当に信頼され、人間力のある方にお任せしています。
結果的に、ほかの大手の個別指導チェーンや集団指導の塾で活躍されていたような教室長に当塾のやりたいことを評価していただき、応募していただくケースが増えています。
ーーなるほど。講師の採用の場合は、どういった能力を見ていますか?
講師採用でもっとも重視していることは、コミュニケーション能力があることです。加えてなるべく地元に住んでいて、生徒にとって身近で話しやすい人に来てもらっています。
当塾では生徒がわからなかったことをすぐに教えてほしくありません。
講師はどこがわからなかったかを生徒本人に聞いてから、教えてあげる。そういう対話役として、活躍してもらっています。
ーーありがとうございます。つづいて、教室の雰囲気についても教えてもらえますか?
見学に来られた保護者の方々がまず驚くのが、生徒がすごく静かに勉強していることですね。「うちの子もこんな風にできるかな」と不安に思われるそうですが、実際に体験授業を受けて「うちの子もできた!」と安心して帰宅されます。
授業中はとても静かですが、休み時間になると講師と雑談して和やかな雰囲気に変わります。
補足ですが、独立した自習室は設けていませんが、席が空いている時間であればいつでもご利用いただけます。
ーー良い学習環境を提供されているのですね。施設やセキュリティ、保護者との連絡についてはいかがですか?
基本的にモノがない塾だと思います。教室内はすっきりしていて、個別の学習ブースがずらりと並んでいます。教室長の面談のスペースがあって、あと小さなプリンターがあるだけ、という具合です。壁はモダンなデザインです。スッキリした環境で学習に集中できるように心がけています。
入退室の管理は当然やっています。保護者にはLINEで連絡を取ります。教室長からの一斉のお知らせなどもLINEで行っています。必要に応じて電話をするなど、柔軟に対応するスタイルです。
子どもに努力の大切さを教えたい!
ーー最後に。コノ塾は、生徒にとってどのような場所になって欲しいですか? いま塾探しに迷っている保護者にメッセージもお願いします。
コノ塾に来てくれることで、「できないことができるようになるって、こんなに嬉しいことなんだ」という成功体験を持ってほしいです。
これは実際に保護者から言われたことですが、通塾後は生徒に「努力をする姿勢」が見えて嬉しくなったそうです。きっと進学先がどこかというよりも、わが子に「努力をすることの価値」を学んで欲しいと願っているからだと思います。
初めての塾選びであれば、「そもそも塾に通うべき?」といった質問にも対応できる教室長がいます。一度話を聞いて、入塾するかどうかをご判断いただければ幸いです。仮にうちの教室に通わない選択をされたとしても、他塾と比較する際のセカンドオピニオンとしてでも良いと思うので。
ーー本日はありがとうございました。
取材協力:個別指導コノ塾