【コンサルティングで学力アップ】モチベーションアカデミアにインタビュー
独自の診断ツールで生徒の行動タイプを分析し、タイプに合った学習方法を提供する、対話型1対1個別指導の「モチベーションアカデミア」。中学生から高校生までの幅広いニーズに対応しながら、特に総合型選抜と学校推薦型選抜に強い塾として注目を集めています。
テストの点を上げるだけではない、社会で活躍できる人を育てる独自の指導スタイルについて、学生カウンセリング主任の真壁先生にお話をうかがいました。
- 真壁巧(まかべ たくみ)先生
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モチベーションアカデミア 学習カウンセリング主任。高校2年生の時モチベーションアカデミアに生徒として入塾。他塾で大学生講師などを経験したあと、講師としてモチベーションアカデミアに入社。現在まで1000人以上の生徒や保護者の学習カウンセリングを手がけている。
勉強さえできればいいという風潮に疑問を持ったところからスタート
――モチベーションアカデミアの沿革について教えてください。
モチベーションアカデミアは、「リンクアンドモチベーショングループ」という人材コンサルティング会社が母体となっております。リンクアンドモチベーショングループは2000年に設立され、そのグループ企業として教育事業を担うモチベーションアカデミアは2010年の11月に始まり、1校目の渋谷校舎が2011年5月にオープンしました。
塾を始めたきっかけは、まず母体である企業でさまざまな会社のコンサルティング業務を請け負っていた時に、企業が求めるスキルと現在の日本の学校で教えられているものに乖離があることに気づいたからです。
ーーどういった点でしょうか?
具体的に言うと、従来の学校の授業では、「答えがある」ことが前提で、どうやったらその答えに早くたどり着けるかとか、その方法論とか、そういう部分がメインになっています。勉強ができる子供を育てることが目的になっているという。
ーーたしかに。以前から指摘されていることですね。
はい。もう1点として、就活生と接していると「自分が何をしたいのかわからない」という学生がとても多いことにも気づきました。自分が本当に何をしたいかわからないまま就職活動をして、仕事を始めた後になって「仕事が全然楽しくないな」と思うパターンが多いのです。
私たちは多くの企業のコンサルティングを請け負う中で危機感を持つようになり、社会人になる前の学生への働きかけが必要ではないか? 社会に出て活躍する人を増やすためには、学生の時代からアプローチすることが大切ではないか? そう思い、塾をスタートすることになりました。
現在は首都圏や関西をメインに9校、Zoomを使ったオンライン校も開講しています。オンライン校は地方在住の生徒も多く、全国規模で指導をしています。
志望校合格がゴールではない。社会で活躍できる人材になるための「モチベーションエンジニアリング」
――ただ受験をクリアするための塾ではなく、その先の社会で活躍できる自分になるための塾、というわけですね
はい。私たちは、中高生のうちから「自分が将来社会でどうなっていたいか」「どんな仕事をし、どんな風に人生を歩みたいか」まで考える必要があると思っています。
そこがあって初めて「では、どの大学のどの学部に行きたいか」を考える。そうやって長期の目標を明確にすることで、生徒みずからが「勉強をがんばろう」と思えるようになります。
――生徒のモチベーションを上げるためのシステムとして、「モチベーションエンジニアリング」という技術があるとうかがいました。
行動経済学や心理学などの研究をもとに作られた、生徒のやる気と成績を伸ばす技術です。
まずは「診断技術」で生徒ひとりひとりの特性を把握します。そこで出てきた課題に対して、次は「変革技術」を使って生徒に合った学習サイクルを構築するというものです。
社会人にも必要な「ポータブルスキル」を一緒に高める
――行動タイプ診断を受けられるそうですが、どのようなものですか?
入会時に、「BRIDGE(ブリッジ)」という診断ツールを用いて、生徒の行動タイプを診断します。BRIDGEでは、やる気の傾向を見る「モチベーションタイプ」と勉強をするための基礎的な力である「ポータブルスキル」の二つを測ることができます。
ポータブルスキル診断を見ると、生徒個人の課題がわかります。たとえば、計画力がちょっと低いな、とか、計画を立てることはできるけれど実行する力が弱いな、とか。そういった結果を踏まえながら、入塾後は生徒と一緒に計画を立てていきます。
――入塾時に学力を測るテストを受けるというのはよく聞きますが、行動タイプを測るというのは珍しいですね。
そうですね。モチベーションアカデミアでは、ポータブルスキルを含む、以下の3つのスキルを高める指導をしています。
・テクニカルスキル……受験に合格するために必要な知識と回答力
・ポータブルスキル……自分で学習や生活を管理する対自分力、コミュニケーション力、課題解決力(自立力)
・スタンス……学習や受験に対する姿勢や心構え(主体性)
テクニカルスキルとは、いわゆる学力のことです。モチベーションアカデミアでは、受験でも社会でも結果を出すために必要とされる他の二つはもちろん、モチベーションも合わせて指導します。テクニカルスキルだけに重きを置きがちな一般的な学習塾との違いはここだと思います。
結局、生徒のモチベーション(学びたいという意欲)を育まないまま勉強対策をするだけでは、「やらされ勉強」になって続かなかったり、学習効率が落ちたりして、結果的に遠回りになってしまうんです。これまでも、そのような状態になっているお子さんを数多く見てきました。
完全1対1の対話型授業
――大学入試に関して学力テスト以外の入試方法が増えてきて、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜が盛んになってきました。モチベーションアカデミアがやってきたやり方に時代が追いついてきた、という感じがしますね。
そうかもしれません(笑)。当初から総合型選抜などの入試に特化していたわけではないのですが、これまで述べたような方針で運営を続けていたところ、今では将来どのように社会に価値貢献していきたいのか、そのために大学で何を学び、どのような力を付けたいのかが問われる、総合型選抜、学校推薦型選抜に強い塾として認知されるようになりました。
学習スタイルとしては、完全1対1の対話型授業となっています。1対1である理由は、生徒の積極的な参加を引き出したいのはもちろん、それによって本質を追求する力や思考力を磨くというところを目指しています。
先生の講義をノートに取るだけでなく、自分で解き方を説明したり、「なぜこうなるのか?」を考える機会があってはじめて、どんな入試にも太刀打ちできる思考力を手に入れることができます。また、そうやって勉強するからこそ、勉強内容自体の面白さにも気づけるんです。ひたすらただ問題を解いて、暗記をがんばるだけでは、勉強に対して前向きになるのはなかなか難しいですよね。
――学力層としてはどのような生徒さんが多いですか?
入塾時の学力や志望校については生徒によってさまざまです。早慶上智や難関国立大学を目指す生徒もいます。1対1の個別学習なので、どんな学力でもその生徒に合わせられることが強みですね。
――中高一貫の学校に通う生徒も多いとうかがいました。
はい。年齢に合わせて指導スタイルは変えていきますが、中学生でも高校生でも学習法のベースは同じです。中高一貫校の生徒の場合は、高校受験が無い中高6年間のモチベーション維持や、大学への内部進学を考えて成績をキープしたいなど、モチベーションのコントロールを目的に通われている生徒も多くいます。
――中学受験を目指す小学生も通っていますか?
はい、モチベーションアカデミアが運営する中学受験生のための個別指導塾「SS-1」が併設されているため、小学生の生徒さんも同じ校舎で通われています。そのまま中学生になったらモチベーションアカデミアへ入塾し、継続して通っている生徒も多くいます。
インプットとアウトプットの間、スループットを大事にした学習
――具体的な授業の流れを教えてください。
授業は1コマ80分です。授業開始後10分で、前回の内容の確認テストを行い、その後5分ほどかけて今日の目標やどこまで進めたいかなど、具体的に授業の内容を講師とすり合わせます。
この5分が意外と大切になってきます。生徒自身が今日「自分はどんな授業を受けるのか」「その授業を受けてどこまでの到達を目指すのか」という学習の目的をしっかり意識できていないと、授業も受け身になってしまいます。
そのあとメインの授業が始まります。モチベーションアカデミアでは、授業も結果だけではなくプロセスを重視しています。一般的な塾だと、たとえば数学の問題を解いたあと採点して終わり、という流れが多いと思います。
モチベーションアカデミアでは、なぜこの式を使ったのかなど、講師と生徒が「対話」をしながら進めます。解いた結果だけはなくプロセスもしっかり見ることで、ここでつまずいているなということがわかります。そうすることで、もっとここを念入りにやっていこうかという提案ができます。
このような学習を繰り返すことで、「丸暗記して解けるようになる」のではなく、本質的な理解を得るための思考力が身につきます。
週に1回の担任面談で中長期的な目標を立てる
――個別学習となると、先生と生徒の関係が大事になりますが、授業は担当制ですか?
授業自体は一つの科目を同じ先生が担当する形です。またそれとは別に各生徒に担任がついていて、担任とは毎週面談をします。
――そこではどのようなことが話し合われるのですか?
生徒のニーズ次第ですが、中学生だとやはり定期試験の成績を上げたいということが多いですよね。とはいえ、すべての科目の授業を取るというのも難しい。モチベーションアカデミアなら、担任の先生との面談で、必要なすべての科目の学習計画を立てます。これが中期計画ですね。
さらに、将来どうなっていたいかという長期計画を担任と一緒に話し合います。計画が思ったように達成できなくても大丈夫です。うまくいかなかったら、なぜうまくいかなかったんだろう、どうすれば次はうまくいくだろう、ということを再び担任と面談で話し合います。「計画立て」→「実行」→「振り返り」のサイクルを回すことがとても大切なんです。
――まさにコンサルティングですね。
はい。さらには授業外での自習時間の使い方や取り組み方も、面談の中で決めていきます。
――すべてのやり取りは、個人カルテのような形でまとめられているのでしょうか。
そうですね。生徒ごとにカルテがあります。年間の計画や月間の目標を設計して、実際に保護者や生徒にお渡しします。高校生になってくると、計画表をまず生徒自身に作ってもらって、それを担任が見てフィードバックをするやり方で進めていきます。
校舎の垣根を越えて複数の講師に相談ができる
――大学受験の総合型選抜では、日程や受験方法、学部や学科が細かく分かれていますね。生徒さんからアドバイスを求められた場合は、塾としてどう対応していますか?
たしかに、先生1人で全部の情報を網羅することはできません。そのため、当塾では教室ごとに先生のチーム制を敷いて、ひとりひとりの生徒さんにベストな指導を届けられるようにしています。
また、校舎にもよりますが、先生同士が集まる場も設けていて、在籍する生徒に関するミーティングも頻繁にしています。「今こういう生徒がいてこういう状況で指導方法に悩んでいる」とか、「生徒からこの学校に関する質問が上がってきたけど実際はどうなんだ?」といった情報交換を先生同士がしています。
あとはこれも当塾の特徴だと思うのですが、講師同士の繋がりがとても強力です。講師は専用のチャットやメールで、気軽に先生同士で連携しています。
そうすることで、ある講師が「あの先生、去年、この学校のことをよく調べてたな」という風に思い出してその先生にちょっと相談してみよう、ということが気軽にできるわけです。
――担任制とはいうものの、チームになって一人の生徒を見守っている感じがしますね。
そうですね。さらに、普段担当している講師とは別の講師が面談を実施することもあります。例えば、ある生徒が総合型入試と一般入試どちらにするか迷っているとします。どっちかに絞った方がいいのか、それともどちらにも挑戦するべきか。
そんな時に、昨年度に実際同じパターンを経験した講師に直接話を聞ける、といったようなものです。実際の担任よりもその講師の方が適切なアドバイスができるのであれば、直接聞くことができるというわけです。
他にも志望している大学の卒業生が別の校舎で講師として働いているのであれば、Zoomを繋いで直接質問をすることも可能です。
――関東在住の高校生が関西の大学を志望する場合、関西の校舎の先生に話を聞くことができる、ということですね。一般的な個別指導塾は、講師間の繋がりはあまりないイメージだったので驚きました。
そうですね。教室単体ではなく、「全社で取り組んでいる」というチーム意識は強いと思います。
講師はアルバイト基準ではなく「プロ」として育成
――お話をうかがうと、講師の先生にある程度の権限を持たせている、という感じがしました。
我々のところで働いてくれている講師は、アルバイトという基準ではなく、ここまでお話ししたモチベーションアカデミアの基準を満たすことができる「プロ」としてご成長いただいています。
その理由としては、当塾が生徒に対して「社会で活躍できる人材になってもらいたい」という思いを掲げている以上、働いてくれている講師にも、プロの社会人であってほしいんですよね。
自立型人材と私たちは呼んでいるのですが、講師にもそうなってもらいたいという気持ちは強くあります。
――講師の採用基準はどのようなものになりますか?
確かな学力を持っていることは前提としてありますが、一番大事にしているのは、生徒の人生に寄り添うパートナーとしてふさわしいかという点です。
採用面接では、その講師が今までどういう人生を歩んできたか、どこでどんな壁にぶつかって、それをどうやって乗り越えてきたか、ということまで聞くようにしています。そういった経験が背景になって、例えば生徒のやる気が下がったり、悩んだ時に、しっかりとしたコーチングをしてあげられると思っています。
生徒と講師が気軽にディスカッションできる空間作り
――教室の雰囲気はどのような感じですか?
アットホームだと思います。雰囲気づくりで重視しているのは、生徒たちが「あと少しがんばろう」と思えるようなモチベーションが上がる空間づくりですね。
また、当塾の特徴として、講師室が常にオープンになっています。それは、生徒に気軽に講師に質問に行ってほしいからです。教室の前や出入口付近にちょっとしたオープンスペースを作っているのも同じ理由からです。
――自習室は、塾が空いている時間であれば生徒さんは自由に使えますか?
はい。自習室もただ場所があるだけではなく、校舎によって異なる場合がありますが、常に質問できるように講師が常駐するようにしています。
また、質問をしたいときに、専科の先生がその場にいない場合は、別の校舎とZoomを繋いで、その時に手の空いている専科の先生に質問することもできます。
――授業以外の時間は生徒のみなさんはどのように過ごしていますか?
自習室で勉強したり、オープンスペースで先生や生徒同士で話している人もいます。
授業が終わってすぐに帰る生徒はあまりいないと思います。授業の前後の時間を上手に使って、担任の先生と決めた計画に沿った勉強を自習室でしている生徒が多いですね。
――最後に、モチベーションアカデミアは、生徒にとってどのような場所でありたいですか?
勉強へのモチベーションが上がるとか、ここにきていろいろな先生と話すと元気が出るとか、自分だってやればできるかも、と思ってもらえる場でありたいなと思っています。
他にも、学校でいいことがあってそれを報告したいなと思ってもらえたり、ただ単に話がしたいからきた、ということでも構いません。勉強のモチベーションが上がり、生徒にとっての居場所になれるといいですね
――今塾を探している保護者の方に向けたメッセージをお願いします。
「うちの子どもは全然勉強をしない」とか「いくら言っても全然響かない」とか「将来のことについて、何も考えていないみたいだけど大丈夫かな」という悩みをお持ちの保護者は多いと思います。
大事なことは「勉強に対するやる気を育む」ことです。やる気がないとどれだけ周囲が言っても意味がありません。生徒が自立的に主体的に勉強をするようになり、自分に合う勉強方法を身につけるようになることが大切だと私たちは考えています。
モチベーションアカデミアで学ぶと、そこが見えてきます。子供自身が「自分は意外とできるかも」とか「この目標に向けて頑張りたい」と思うようになってきます。まずは、何が課題なのかと一緒に考えていきましょう。
ーー本日はありがとうございました。
取材協力:モチベーションアカデミア