【講師は全員東大生】「学びを愛する」人材を育てる東大先生にインタビュー
東大先生は、「学びを愛する人材の育成」をビジョンに掲げ、従来の受験指導とは一線を画す新しい教育サービスを提供しています。東京大学の”学部生”のみを講師として採用し、オンラインでの個別指導を行うという独自のアプローチで、急速に注目を集めています。
今回はその独自の教育方針や指導方法について、代表の堀井崇史先生にお話をうかがいました。
- 堀井崇史(ほりい たかふみ)先生
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2011年-2017年 聖光学院中学校・高等学校
2018年-2022年 東京大学農学部
2022年-2023年 三菱商事株式会社
2023年-現在 株式会社東大先生代表
エリート街道を歩んだ創業者が抱いた違和感
ーー本日はよろしくお願いします。東大先生はどんな塾なのかについて教えてください。
よろしくお願いします。東大先生は、2022年6月に創業した比較的新しい教育サービスです。東大先生は「まなびを愛する人材の育成」をビジョンに掲げ、従来の受験指導とは一線を画す新しい教育の形を提案しています。
具体的には、東大生のみを講師として採用し、オンラインでの個別指導を行っています。単に受験に合格することだけではなく、生徒たちが学ぶこと自体に喜びを見出し、生涯にわたって学び続ける姿勢を身につけることを目指しています。
ーーなぜ「学びを愛する」ことを重視されているのでしょうか? 「今は我慢して受験を切り抜けよう」という考えを勉強を教える側が持っていることもありますよね?
僕自身の経験から、学ぶことの楽しさや意義を実感できるかどうかが、人生の豊かさに大きく影響すると考えているからです。受験や成績といった短期的な目標だけでなく、「学び」そのものを愛することができれば、人生はより豊かになると確信しています。
実際、僕は起業してから毎日が楽しいと感じています。それは毎日新しい学びがあるからです。学ぶこと自体が自分の人生を豊かにする、とてもエキサイティングな経験なのです。この喜びを10代から味わってほしいと思っています。
ーー従来の受験指導との違いはどこにあるのでしょうか?
最大の違いは、成績や合格だけを目的とするのではなく、学ぶプロセス自体に価値を置いている点です。もちろん、受験に合格することも重要な目標の一つですが。
しかし、それ以上に重要なのは、その過程で学びを愛するようになることです。
たとえば、東大先生で指導を受けた生徒たちは、最終的に自主的に1日10時間も勉強するようになることがよくあります。これは単に勉強量が増えただけではなく、学ぶことが楽しくなった証拠だと考えています。
ーーおそらく今の考えに至った堀井先生の原体験についてお聞きしたいです。どんな学生生活でしたか?
自分は小学生の頃から成績が良く、中学高校は聖光学院、大学は東京大学と、いわゆるエリート街道を歩んできました。一見、順風満帆に見える経歴かもしれませんが、その過程で多くの疑問や違和感を抱きました。
小学生の頃は、勉強が好きで得意だったんです。特に4年生の時に体積の概念を学んで衝撃を受け、そこから勉強がおもしろくなりました。しかし、中学・高校と進むにつれて、学ぶ喜びよりも成績や偏差値を追い求める環境に違和感を覚えるようになりました。
ーーどのような違和感を抱いたのですか?
聖光学院は東大合格率が非常に高い進学校で、特に高校3年生になると選抜クラスが作られます。そこでの1年間は「成績だけ良ければ選ばれし者」とでも言わんばかりの風潮があり、とても息苦しかったです。
人の能力はさまざまで、自分より成績が悪くても足が速い人もいるし、人と話すのが上手な人もいるし、優しい人もいます。しかし、学校ではそういった観点で評価がされません。
それでいて就職活動になると成績は評価軸にされておらず、世のなかにおける人の評価の仕方があまりに歪んでいるように感じました。
最終的に高校3年生のとき、周囲は朝から晩まで自習漬けの毎日で、クラスメイトと会話を交わす機会すらほとんどありませんでした。卒業式も大学入試と重なり、参加率は半分程度。卒業後も「自習室に行くわ」と言って別れる友人たち。本当は桜の下で友人たちと卒業を祝いたかったのに、自分たちの青春はこれでいいのか、と。
ーーそれは勉強漬けがよくないと思ったということでしょうか?
いえ、そうではありません。
たとえば自分は起業してから毎日人生が楽しいのですが、それは毎日学びがあるからです。
学ぶこと自体は自分の人生を豊かにする、ものすごく楽しいことだと思っています。
しかし、勉強ができることのみが偉いともてはやされるのは違うと感じています。これは聖光学院時代、どんなにがんばっても1位になれないことにやきもきしていたことが原因かもしれません。それなのに周りから「頭が良くてすごい」と言われることに違和感を覚え、苦しんでいました。
しかしそこで気づいたのが、自分には学業以外の強み、特にリーダーシップがあるということでした。高校3年生の頃からは、エリート志向よりも自分のやりたいことを追求しようと考え始め、そこから起業への興味が芽生えました。
ーー東大での経験はいかがでしたか?
東大では起業への思いが強くなり、サークルにも入らずインターンに没頭しました。3年生の時には最初の会社を立ち上げましたが、そこでも違和感を覚えたんです。家族もいるのに遊び惚けているような身の回りの社長たちの立ち振る舞いを見て、自分が居たい場所は本当にここなのか、と。
そこで一度、エリート街道に戻ろうと三菱商事に就職しましたが、そこで重要なことに気づきます。それは「好きじゃないことはがんばれない」ということでした。加えて、エリートと言われながら自分の人生に納得感を持てない人々を見て、もう一度起業したいという思いが湧いてきたんです。
ーーなるほど。そこでまた起業となった時に、なぜ教育業を選んだのでしょうか?
自分が東大先生を始めた理由は、今の日本の教育、特にエリートを生み出す仕組みに違和感を覚えたからです。受験に対するアンチテーゼを発信したいという思いがありました。
また、学校のなかで頭の良い子が偉いという価値観がありますよね。学校の先生がテストの点数で人間性の評価を行っている。○○くんは点数高くて偉いね、っておかしいと思いませんか?
Aくんよりテストの点数が5点低いBくんの人間性が劣っているわけではないですよね。もっともソフトスキルが身につけられる若い子に歪んだ評価がされているのです。これはいじめを誘発するし、個人のアイデンティティを模索するときに価値観が固定化されてしまう原因にもなります。
自分自身、このシステムの中でエリートとして生きてきたからこそ、その問題点が強く見えるのです。だからこそ、「学びを愛する」という新しい価値観を広げたいと思い、東大先生を創業しました。学ぶことの本質的な喜びを伝え、同時に受験にも成功する。そんな新しい教育の形を目指しています。
地方の秀才も輝ける!教育格差を埋めるオンライン指導
ーー東大先生がオンラインのみで指導をする理由を教えてください。
オンライン指導の最大の利点は、地理的な制約を取り除けることです。これにより、地方在住の生徒たちにも質の高い教育を提供できるようになりました。
実際、地方出身の東大生と話をすると、彼らの多くが尋常でない努力と才能の持ち主であることがわかります。もし彼らが東京出身だったら、もっと楽に東大に入れていたのではないかと思えるほどです。つまり、地方出身というだけで大きな機会損失が起きているのです。これは明らかに教育の地域格差の問題と言っていいじゃないでしょうか?
オンライン指導はこの格差を埋める大きな可能性を秘めています。地方にいながら、東大生から直接指導を受けられる。以前では考えられなかったことです。
ーーおっしゃるとおりですね。オンラインだと海外在住の生徒にも対応できますよね。
はい、その通りです。実は、海外在住の日本人生徒も増えています。たとえば、親の海外赴任に伴って海外で生活している生徒や、将来日本の大学への進学を考えている海外在住の日本人の子どもたちです。
彼らに対しても、日本の教育を受ける機会を提供しています。日本の学習指導要領に沿った授業はもちろん、日本の受験システムに対応した指導も行っています。
小学生から大学受験まで!全方位型指導の実態
ーー次に生徒層について教えてください。「東大先生」という名称だと、東大を目指す生徒向けの塾かと思ってしまいそうですが、実際は違うのですよね?
はい、その通りです。「東大に行きたいわけではないのですが」とか「私なんかが東大の先生に教えてもらっても意味があるんですか?」という問い合わせは多くあります。しかし、大丈夫です、意味はあります、と伝えたうえで、当塾では小学生から高校生まで、全学年を対象に指導を行っています。
高校生の受講生が多いと思う方もいるかもしれませんが、実は中学生が一番多いんです。
なぜ中学生が多いのかというと、一般的な塾で成績が伸びなかった生徒が当塾に相談を受けてそのまま指導を受けることが多いからです。ほかの塾とは提供価値が違うんです。
東大先生は成績の向上はもちろん、本当に勉強を好きだと思える、勉強がおもしろいと思える、といった価値を提供しています。普通の塾は合わなかったという人が来るので普通の塾とは生徒の比率が逆になるんです。
ーーそれは素晴らしいですね。各学年や志望校に合わせた指導はありますか?
もちろんあります。志望校についても、中学受験、高校受験、大学受験と幅広く対応しています。公立・私立を問わず、生徒ひとりひとりの目標に合わせた指導を行っています。
特筆すべきは、東大先生の講師陣が全科目に対応できるということです。東大生は全科目を高いレベルでこなせますから、どんな教科でも柔軟に指導することができます。
また、各学年の特性や志望校の特徴に合わせて、きめ細かい指導を行っています。たとえば、中学受験を目指す小学生、高校受験を控えた中学生、大学受験に向けて勉強する高校生など、それぞれの段階に応じた指導を行っています。
また、大学受験については、一般入試だけでなく、総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜にも対応しています。さらに、英検やTOEIC、TOEFLなどの資格試験対策も行っています。
ーー志望校別の対策はどのように行っているのでしょうか?
志望校別の対策は非常に重要です。たとえば、特定の塾に通っていた生徒なら、その塾の出身者である講師を担当にすることも可能です。志望校が決まっている場合は、その学校の出身者や合格者を講師としてつけることもあります。
また、インターナショナルスクールの生徒に英語で教えることもできます。このように、生徒の背景や目標に合わせて、最適な指導を提供しています。
「心理的安全性」が生む学習効果
ーー指導で重視していることはなんですか?
東大先生は生徒の「心理的安全性」を非常に重視しています。これは自分自身の経験から来ているものです。
従来の教育現場、特に進学校集団指導塾では競争が激しく、常に周りと比較されるプレッシャーにさらされています。しかし、そのような環境では本当の意味での学びは生まれにくいと考えています。
ーー集団指導塾などでは周りの生徒と競争することは学習に対するモチベーションを高めると言われることも多いですが。
個人的には競争がプラスだとは思いません。競争がプラスに働くのは、ごく一部の「勝者」だけです。多くの生徒にとって、競争は劣等感や不安を生み出し、学ぶ意欲を削いでしまいます。学びを愛するためには競争をなくし、親や先生から周りと比べられないという心理的な安全性が重要なのです。
自分は小学生のころ集団塾に通っていましたが、集団塾で成績が伸びたのは運が良かったからです。最初に勝てると人は勝つのが楽しいからどんどん上に行きます。
逆に負けた人のなかにも自分よりもがんばっていたのに伸びなかった人もいました。運悪く一度負けてしまうと親や先生に周りと比べられ、心理的安全性が脅かされ勉強が楽しくなくなってしまうのです。
つまり集団塾の指導は運よく勝った人だけを伸ばし、運悪く負けてしまった人を切り捨てていると言わざるを得ません。
東大先生はそういった「生徒に競争をさせる塾」で負けてしまった人たちが来て、また勝てるようになる塾です。
ーーオンラインの指導形態も心理的安全性の確保に関係していますか?
もちろんです。オンラインでの個別指導には、心理的安全性を確保する上で大きなメリットがあります。
まず、生徒は自分の慣れた環境で学習できます。教室という非日常的な空間ではなく、自宅という安心できる場所で学べることで、緊張や不安が軽減されます。
また、1対1であることも重要です。集団授業では、間違いを恐れて発言をためらう生徒も多いのですが、個別指導ではそういった心配がありません。
さらに、画面越しであることで、対面よりも気軽に質問できるという生徒も多いんです。「わからない」と言いやすい環境が、学びを促進するのです。
ーーオンライン指導にはメリットが多いのですね。逆にデメリットはないのでしょうか?
もちろん、対面指導と比べて劣る部分もあります。たとえば、直接的な温かみや一体感は、オンラインでは完全には再現できません。
しかし、自分たちの経験上、それ以上に大切なのは「楽しく学べているか」という点です。実際に1000回以上の体験授業を行ってきましたが、生徒の満足度を左右するのは、オンラインか対面かではなく、その授業が楽しかったかどうかなんです。
そのため、東大先生は講師の選定と育成に特に力を入れています。オンラインであっても、生徒を惹きつけ、学びを楽しいと感じさせられる講師を育てることで、この課題を克服しています。
ーー心理的安全性を重視することで、実際にどのような効果が見られていますか?
もっとも顕著な効果は、生徒の自主性の向上です。たとえば、以前は全く勉強しなかった生徒が毎日10時間も自主的に勉強するようになったケースでは、「学ぶことが楽しい」と思えていなかったら不可能なことです。
心理的安全性は、単に生徒の不安を取り除くだけでなく、潜在的な学ぶ力を引き出し、生涯学び続ける姿勢を育むための重要な要素なのです。
なぜ東大生だけ?驚きの講師採用基準
ーー東大先生では講師を東大生、しかも学部生のみに限定しているそうですね。なぜなのでしょうか?
はい、東大の学部生のみを講師として採用しています。これには2つの明確な理由があります。
まず、東大生は全員、学びに対する熱量が非常に高いんです。世間では「東大生は天才だから適当に勉強しても受かる」というイメージがありますが、ごく一部の話です。実際はまったく逆です。
ーーそうなんですか!?
多くの東大生に話を聞くと、ときには泣きながら勉強していたような苦労人ばかりです。学びに対して真摯かつ非常に情熱的で、何かを聞いたらそれについて面白く、深く語ることができます。
サッカー選手と同じです、サッカー選手はもとから才能があって適当にサッカーをやってたら上手くなっていたなどとは誰も言いません。サッカー選手にサッカーのことを聞いたらものすごい熱量でサッカーのことを語ってくれます。
しかし世間には東大生は元から天才で、勉強なんて適当にやったらできたといったイメージがある。
これはまったく逆です。東大生は学びに対してとても情熱的で、何かを聞いたらそれについておもしろい話をおもしろく話してくれます。
この学びへの情熱は、生徒たちに「学びを愛する」という価値観をインプットする上で非常に重要だと考えています。東大生には、学びをおもしろいと思わせる能力があるんです。
ーー2つ目の理由についてもお聞かせください。
2つ目の理由は、いわゆる難関大を出身とする講師では提供できない価値があると考えるからです。
たとえば、巷の塾には偏差値が高い大学の出身の講師がいますが、その講師が慶応義塾大学のSFC出身だったとします。そうなるとその講師が受験で勉強した科目は2科目に過ぎません。
慶応出身の講師を否定したいわけではないですが、自分の大切な子どもを預ける際に2科目しか勉強していない講師と12科目勉強して結果を出した講師、どちらに任せたいかと言われたら答えは明確だと思います。
しかし、世間では慶応も東大もレベルの高い大学とひとまとめにされます。慶応と東大の違いは認知されていません。とはいえ事実、提供できる価値は違います。
ーーなるほど。そうなるとほかの有名大学の学生は採用しないのですね。
はい。京大生すら採用していません。また、大学院から東大に進学した人も採用していません。学部から東大に入学した人のみを採用しています。東大生を採用している企業は数多いですが、東大生しか採用していないのは東大先生だけです。
これは「受験」というゲームで最高のパフォーマンスを出した人たちだけを採用したいからです。限られた時間の中で最高の結果を出すことができる人こそ、受験指導に最適だと考えています。
ーー学力については申し分ないことはわかりました。そのほかの面についてはどうですか?
採用にあたっては、20〜30項目の条件を設けています。そのうち約7割がコミュニケーション能力に関するものです。たとえば生徒に適切なタイミングで質問できるか、教える内容を体系的に説明できるか、といった点を重視しています。
残りの3割は、当社独自の指導方法やツールを使いこなせるかどうかを見ています。ただ東大生というだけでなく、東大先生の理念に共感し、それを実践できる人材を厳選しています。
また、採用後も継続的に評価を行っています。生徒の満足度や成績の伸びなどを総合的に判断し、常に高い水準の指導を維持できるよう努めています。
このように、非常に厳しい基準を設けることで、質の高いコーチングができる人材だけを選び抜いています。
ーーかなり厳しい基準と評価方法ですね。採用率はどのくらいでしょうか?
現在、採用率は約12%です。2000名以上の登録があっても、実際に採用されるのはごくわずかです。これは、本当に質の高いコーチングができる人材だけを選び抜いているからです。
単に「東大生を採用しています」と言うのは簡単ですが、それでは意味がありません。生徒ひとりひとりに深く関わり、その生徒の目線に立って指導できる能力が本当に重要なんです。
そのため、採用後も継続的に評価を行い、必要であれば別の講師に変更することもあります。ただ、変更はほとんど起こりません。それほど当社のマッチングシステムと講師の質には自信があります。
ーー12%は低いですね。それだけ高いレベルの人材を求めているということで。ほかに講師に求めることは何でしょうか?
東大先生がもっとも重視しているのは、生徒の学習全体に責任をもつ姿勢です。単に授業をこなすのではなく、生徒の生活や心理面まで踏み込んで指導することを求めています。
生徒と講師の相性を重視する独自のマッチングシステム
ーー生徒の担当講師はどのように選ばれるのですか?
東大先生では非常に精密なマッチングシステムを開発し、運用しています。このシステムで、生徒と講師の相性を重視して最適なペアリングを行います。
具体的には、生徒の学年、志望校、現在の成績、得意・不得意科目だけでなく、趣味や性格特性なども考慮しています。講師側も同様に、得意科目や指導スタイル、性格、趣味などの情報を登録しています。
これらの情報を総合的に分析し、最適な組み合わせを提案しています。
ーーそれはすごいですね。どのような効果が見られているのでしょうか?
生徒の満足度が大幅に向上し、「先生との相性が良い」という声をたくさん聞くようになりました。
また、学習効果も高まっています。相性の良い講師と出会うことで、生徒の学習意欲が向上し、結果として成績の伸びにも繋がっています。実際、他の塾で伸び悩んでいた生徒が、当社のマッチングシステムを通じて適切な講師と出会い、成績を伸ばすケースも少なくありません。
ーー相性をそこまで重視する理由は何でしょうか?
それは、学びには「信頼関係」が不可欠だからです。いくら優秀な講師でも、生徒との相性が悪ければ、その能力を十分に発揮することはできません。
相性の良い講師と出会えれば、生徒は安心して質問できるようになり、失敗を恐れずにチャレンジするようになります。これは東大先生が重視する「心理的安全性」にも直結します。
また、相性の良い講師は生徒の興味関心を理解し、それを学習に結びつけることができます。これにより、より効果的な学習が可能になるのです。
ーーそこまで細かくマッチングできるのは素晴らしいですね。具体的なマッチング例をお話しいただけますか?
そうですね。たとえば、「ボソボソ喋るところも似てて好き」というフィードバックをいただいたことがあります。少し恥ずかしがり屋な生徒には、グイグイとコミュニケーションを取る講師ではなく、生徒と同じように少し恥ずかしがり屋な講師をマッチングしたのです。
また、特定の塾の出身者には、同じ塾の出身講師をアサインしたり、志望校が同じ講師を選んだりすることもあります。さらに、趣味で合わせることもあります。
このように、学習面だけでなく、パーソナリティや背景まで考慮したマッチングを行うことで、生徒と講師の間に強い信頼関係が築かれ、それが学習効果の向上に繋がっているのです。
「負け」を「勝ち」に変える指導とサポート
ーー他の塾で伸び悩んでいた生徒が、成績を伸ばすケースも少なくないとお話にありました。具体的なエピソードなどはありますか?
あります。たとえば、ある生徒は三者面談で塾の先生に「君は、公立高校は無理だから私立に志望校を変えるべきだ」と言われ、泣いて帰ってきたそうです。その生徒が当塾に問い合わせをしてきて、体験授業をしたところ、われわれの目から見ると1年で合格の見込みがありました。
事実その生徒は模試の判定を1回ごとに1段階ずつ上げていき、最後の模試でB判定まで上がりました。そして本番では過去最高点を取り、余裕で公立高校に合格しました。
また、別の例では、受験まで半年しかない中学生が来ました。お母さんは「うちの子は勉強できないから公立の対策をしないでください、私立の対策だけで大丈夫です」と言っていたのですが、われわれはその生徒を半年で公立高校に合格させました。
ーーそれは驚きですね。なぜそこまで成績を伸ばすことができたのでしょうか?
大きな理由は二つあります。一つは、全科目対応と総合的な学習戦略です。もう一つは、従来の塾とは異なる指導方法です。
受験は総合点勝負です。苦手科目もある程度伸ばす必要はありますが、得意科目で高得点を取って勝ち切ることもできるのです。
そうなると科目によって先生が違うというのは良くないことなのです。
たとえば数学が得意で英語が苦手な生徒がいたとします。数学の先生からするとその生徒は数学ができるという情報しかないですから、数学ができる、すなわち勉強ができる子だと思って「大丈夫、君は志望校に合格するよ」と言っているでしょう。
しかし、英語の先生からするとその生徒は英語ができないという情報しかないですから英語ができない、すなわち勉強ができない子だと思って「このままだと志望校に合格できないよ」と言っているかもしれません。
こう言われるとおそらく生徒は英語を重点的に勉強します。しかし、数学を勉強していれば英語の得点を補って余りある合格点に達することだってあり得るのです。そうすれば生徒は、苦手科目の英語を重点的に勉強するよりも楽しく勉強し、受験に合格できます。
東大は日本で一番科目数が多い大学です。しかも求められるのは最高水準です。つまり東大生は全科目レベルが高いため、一人で全科目を教えることができます。これにより、生徒の総合的な学力を把握し、バランスの取れた学習計画を立てることができます。
そうなると総合点を見て、この子は数学の点数が上がってきたら数学の時間を減らし、次は英語の時間を増やすといった柔軟な対応が可能です。この指導法は講師が東大生でないとできません。
ーー従来の塾との指導方法の違いについても教えていただけますか?
はい。多くの大手塾では、インプットを大量にする指導法を取っています。しかし、これで伸びるのは自分でアウトプットする習慣がある子だけなんです。成績の悪い子は伸びません。
一方、東大先生では、成績の悪い子を指導することのほうが、むしろ簡単だと感じています。なぜなら、成績の悪い子は東大出身者からすれば的はずれな勉強法をしているケースが多いからです。
覚え方、進め方、本の読み方など、基本的な学習方法を改善するだけで、簡単に成績が伸びるんです。
さらに、東大先生はコーチング手法を取り入れています。生徒の学習に対する介入率を徹底的に上げるんです。毎日LINEでやり取りをし、オンライン自習室に来てもらい、必要に応じて個別指導を入れます。
ーーそれは非常に手厚い指導ですね。時間的な制約はないのでしょうか?
オンラインという特性を活かし、非常に柔軟に対応しています。たとえば、東大先生のオンライン自習室は毎日18時から23時まで開いていて、休日も利用可能です。生徒はここで自習だけでなく、随時質問対応と個別指導を受けられます。
また、学習計画も30分単位で非常に細かく作成します。そして、その計画が倒れたら、次の計画がどうしたら上手くいくか一緒に考えます。実はここで生徒の本音が出てくることが多いんです。たとえば「部活の試合が迫っていて疲れている」といった話が出てきたら、その状況に合わせて計画を修正します。
このように、生徒の生活そのものに介入し、ひとりひとりに合わせた指導を行うことで、「負け」てしまったと思われていた生徒たちを「勝ち」に変えていくことができるんです。
「追加料金なし」の衝撃!明朗会計の秘密
ーーお話を聞いていると非常に手厚いサポートであることがうかがえます。しかし、これだけ手厚いサポートだと料金が少し気になります。
もっとも安いプランで4万円台からスタートします。この金額で、通常の授業はもちろん、自習室の利用、LINEでの質問対応、進路相談なども全て含まれています。
さらに、これらのサービスには利用回数の制限もありません。たとえば、自習室は毎日利用可能ですし、LINEでの質問も頻度の制限はありません。つまり、意欲的な生徒ほど、このシステムの恩恵を受けられる仕組みになっているんです。
ーーすべて含まれているということは追加料金などはないということですか?
はい、その通りです。東大先生では、月謝以外の追加料金を一切いただいていません。教材費、映像授業、期間講習など、他の塾でよく見られる追加料金項目はすべて月謝に含まれています。
理由は単純で、追加料金があることで生徒や保護者が悩む時間は無駄だと考えているからです。「この教材は買うべきか」「映像授業は取るべきか」「期間講習は受けるべきか」といった悩みは、学習に集中すべき時間を奪ってしまいます。
また、追加料金が発生すると家庭全体が揺らぎ、それが子どもの心理的安全性を下げ、結果として成績の低下につながる可能性があります。そういった不安要素を取り除くことが、われわれの料金体系の目的なんです。
ーーどういった理由でこの料金体系になったのでしょうか。
東大先生の最終的な目標は、「学びを愛する人材の育成」です。そのためには、生徒が経済的な心配をせずに、安心して学びに打ち込める環境を整えることが重要だと考えています。
この料金体系は、単に経済的負担を減らすだけでなく、生徒と保護者の方々が「学び」そのものに集中できる環境を作り出すためのものなんです。
東大先生が目指す存在と保護者へのメッセージ
ーー東大先生は生徒にとってどのような存在でありたいと考えていますか?
東大先生は生徒に一生モノの武器を提供できる場でありたいと考えています。その武器とは「学びを愛すること」です。
受験は学びを愛するチャンスだと思っています。目標に対して邁進する過程で、学びの楽しさや重要性を実感してもらえればと考えています。もちろん、受験合格は重要ですが、それはあくまで副次的な成果です。東大先生が本当に提供したいのは、生涯にわたって学び続ける姿勢なのです。
ーー最後に、保護者の方々へのメッセージをお願いします。
私たちは、保護者の方、特にお母様の代わりをさせていただくつもりで指導に当たっています。ご家庭でお子さまの成績に責任をもつのはお母様であることが多いと思います。その重要な役割を、私たちがプロとして担わせていただきたいと考えています。
塾選びの際は「自分の代わりになれるか」という点を重視してみてください。
ーーそれは新しい視点ですね。
はい。今すでにお子さまが塾に通っている方でも「こんなはずではなかった」という思いを少しでも抱いているのであれば、塾を考えなおす価値があると思います。東大先生は、そういった思いつめた先の最適解になれると信じています。
東大先生は、お子さまの可能性を最大限に引き出し、将来の飛躍につながる「学び」を提供する存在でありたいと考えています。ぜひ、お子さまと一緒に、新しい学びの形を体験してみてください。
ーー本日はありがとうございました。
取材協力:東大先生