小学生・中学生・高校生の塾選びなら【塾シル】|塾・学習塾の検索サイト

高校生が勉強しない理由と親ができること|心理学に基づく学年別の対処法
調査データ・コラム

2026.02.24

高校生が勉強しない理由と親ができること|心理学に基づく学年別の対処法

この記事でわかること
  • 高校生が勉強しない心理学的・発達的な背景と統計データ
  • 「勉強しなさい」が逆効果になる科学的理由
  • 高1・高2・高3それぞれの具体的アプローチ
  • 塾や専門機関を活用した第三者サポートの効果的なとり入れ方

「高校生の息子が勉強しない」「進学校に入ったのに全く机に向かわない」――そんな悩みを抱える保護者は少なくありません。

東京大学とベネッセによる共同調査では高校生の約6割が「勉強する気持ちがわかない」と回答しており、これは単なる怠慢ではなく、発達心理学的な背景があります。

高校生はいま「自分は何者なのか」を模索するアイデンティティ形成期にいます。親からの指示に強く反発するのは、この時期の自然な発達過程です。

中学生に有効だったアプローチをそのまま当てはめると、逆効果になることがあります。

本記事では、高校生が勉強しない理由を心理学・統計データで解説し、学年別の具体的な対処法を紹介します。

監修者

古岡 秀士(ふるおか ひでし)

古岡 秀士(ふるおか ひでし)

株式会社ユナイトプロジェクト代表取締役

教育評論家。全国1万以上の教室を掲載する学習塾検索サイト「塾シル」の代表。 青山学院大学会計大学院を経て、病院・医院の検索サイトに従事。2016年、株式会社ユナイトプロジェクトを創業し「塾シル」を展開中。 本サイトでは全国の学習塾の紹介、塾選びのお役立ち情報を発信しています。

高校生が勉強しない理由を心理学で解明

高校生が勉強しない現象は、単なる怠慢や反抗ではありません。この時期は「アイデンティティ形成」という発達課題に直面しており、学習意欲の変化はその影響を強く受けています。

中学の反抗期とは別物——高校生の「内なる葛藤」

エリクソンの発達段階理論によると、高校生期は「アイデンティティ対役割の混乱」の時期にあたります。

「自分は何者なのか」「将来どうなりたいのか」という根本的な問いと向き合う時期です。

中学生の反抗が主に「親への反発」として外に向かうとすれば、高校生の葛藤は自分の内側に向かいます。「なぜ勉強するのかわからない」という言葉は、この葛藤の表れです。

親から「勉強しなさい」と言われることで自分の意思決定権が侵害されたと感じ、無意識に学習を拒否することもあります。悪意でも怠慢でもなく、自立に向けた発達過程の一部です。

「うちの子だけ?」ではない——データで見る高校生の学習実態

東京大学とベネッセの調査によると、この学習意欲の低さは2019年から6.7ポイント悪化しており、中3から高1にかけて1日の平均学習時間が31分減少するデータも出ています。

この背景にあるのが「燃え尽き」です。高校受験という明確な目標を達成した後、次の目標が曖昧になり、学習への動機を見失います。

高2では「中だるみ」がさらに深刻化します。授業内容が難化する一方、受験はまだ先と感じやすい時期のため、学習意欲が最も低下しやすいタイミングです。進学校でも例外ではありません。

「将来が見えない」が集中力を奪う

日本青少年研究所の調査によると、日本の高校生の約8割が将来に不安を感じています。

「なぜ勉強するのか」という問いに答えが見えないまま机に向かうことは、脳にとって非常に苦痛な行為です。

「うちの子はスマホばかりで…」と感じている保護者の方も多いと思いますが、スマホやゲームへの逃避は怠けではなく、意味を見出せない苦痛からの回避です。

「なぜ勉強するのか」が腑に落ちていない状態では、逃げ込める場所を探してしまうのは自然なことでもあります。

監修者 古岡
監修者 古岡

高校生期の学習意欲低下は、発達心理学的に見ると自然な現象です。「一時的に勉強から離れることも成長過程の一部」として捉え、焦らず長期的な視点で向き合ってください。

「勉強しなさい」が逆効果になる科学的理由

「言えば言うほど勉強しなくなる」と感じたことはないでしょうか。これは子どもの性格の問題ではなく、心理学的に実証されたメカニズムによるものです。

心理的リアクタンス——自由を守るための反発

心理的リアクタンス理論(Brehm, 1966)によると、人は自分の自由が制限されそうになると、その自由を取り戻そうとする反発が生じます。

「勉強しなさい」という指示は、高校生にとって「自己決定権の侵害」として受け取られやすく、あえて逆の行動(勉強しない)を取ることで心理的な均衡を保とうとします。

テスト前でも机に向かわない行動は、怠慢ではなく自律性を求める心理の表れとも言えます。

なぜ一度失ったやる気は戻りにくいのか

「以前は本を読むのが好きだったのに、最近は全く読まなくなった」——そんな経験はないでしょうか。これは「やらされる」ことで、もともとあった関心が薄れていく現象です。

自己決定理論(Deci & Ryan)では、内発的動機づけを維持するために「自律性」「有能感」「関係性」の3要素が必要とされています。

親による統制的な関わりは「自律性」を阻害し、勉強を「やらされるもの」へと変えてしまいます。

これが繰り返されると「アンダーマイニング効果」が生じ、もともと持っていた学習への関心が失われていきます。

どの関わり方が子どものやる気を育てるか

親の関わり方が子どもの学習意欲に大きく影響することは、研究でも示されています ※8。

養育スタイル特徴学習への影響
権威主義的(命令型)「勉強しなさい」「なぜやらないの」リアクタンス発生、意欲低下
権威的(対話型)「どんなことに興味がある?」「一緒に考えよう」自律性支援、内発的動機向上
放任型「勝手にしなさい」支援不足、目標を見失いやすい

最も効果的なのは「権威的(対話型)」です。統制でも放任でもない関わり方が、子どもの自律性を育みます。

では親は何をすればいい?

「勉強しなさい」が逆効果だとわかっても、何もしないのかと不安になる保護者も多いはずです。大切なのは次の3つです——「言わない・選択肢を見せる・環境を用意する」。

「言わない」を実践する

直接的な学習の指示を控えることから始めます。「勉強したの?」「宿題は終わったの?」は監視されているような感覚を与え、リアクタンスを引き起こします。

代わりに「最近気になることある?」「進路について何か考えてる?」と、子どもの関心や状態に焦点を当てた会話を心がけましょう。

勉強の話を切り出さなくても、信頼関係が維持されていれば、子どもから学習の悩みを打ち明けてくることが増えます。

選択肢を「見せる」

心理学の「可能自己理論」によると、「将来なりたい自分」のイメージが具体的になると、現在の学習が「自分事」になります。

大学のパンフレットをリビングに置く、オープンキャンパスの情報を何気なく話題にする、面白そうな職業の記事をシェアする——こうした間接的なアプローチが効果的です。

「この大学に行きなさい」ではなく「こんな大学もあるんだね」という見せ方がポイントです。

環境を「用意する」

自宅での集中が難しい場合は、図書館や塾の自習室を選択肢として提示します。

提案の際は「絶対に行きなさい」ではなく「体験授業を受けてみて、合わなければやめていいから」という形で、最終的な選択を子どもに委ねます。

「命令する人」から「環境を整える人」へ。この意識の切り替えが、子どもの自主性を引き出します。

監修者 古岡
監修者 古岡

「何もしてあげられていない」と感じる必要はありません。「言わない・見せる・用意する」は積極的な関わりです。子どもの将来を信じて土台を整えることが、最も効果的な支援です。

学年別アプローチ|高1・高2・高3それぞれの対処法

高校生が勉強しない問題への対処法は、学年によって変わります。高1は新環境への適応期、高2は中だるみの時期、高3は受験への切り替え期と、それぞれ異なる課題を抱えているためです。

高1:環境適応期の支援方法

まず「毎日30分」——小さな目標から始める

中学時代の学習パターンが高校では通用しなくなることが多く、習慣を見失う高校生は珍しくありません。

いきなり完璧な習慣を求めるのではなく、「毎日30分だけ机に向かう」といった小さな目標から始めましょう。

この時期は結果より取り組みを認めることが大切です。「今日は問題を3問解けた」「単語を10個覚えた」といった具体的な行動を評価してください。

成績ではなく行動を認める習慣が、失いかけた自信を取り戻す近道です。

「難しくてわからない」に早めに気づいてあげる

高校の授業は抽象度が高く、中学の学習法では対応しきれないことが増えます。「分からないところがあれば一緒に考えよう」「個別指導の体験授業を受けてみる?」と、具体的なサポートを提案しましょう。

文理選択・科目選びで「自分ごと」にする

高1は多くの場合、2年次の文理選択や選択科目を決める時期と重なります。

「文系と理系、どっちが向いてそう?」「この科目、おもしろそうじゃない?」と選択を一緒に考えることで、学習が将来の自分に直結し始めます。

無理に答えを出させようとせず、「考えるきっかけ」を作ることがポイントです。

高2:中だるみ期の効果的な関わり方

高2は学習意欲が最も低下しやすい時期です。高校生活に慣れ、受験はまだ先という心理が「今やらなくていい」という感覚を生みます。

家でも学校でもない「勉強の場所」を探す

この時期は環境を変えることが特に効果的です。家でも学校でもない第三の場所——図書館の自習室や塾の自習室——で勉強するリズムを作ると、自然と習慣がついてきます。

「勉強しなさい」と言う代わりに「図書館まで送るよ」「塾の自習室が使えるみたいだけど、見学してみる?」と提案してみてください。

進路意識の芽生えをサポートする

高2後半から多くの高校生が進路を真剣に考え始めます。

「文系と理系、どっちが向いているかな」「この職業、面白そうじゃない?」と将来像が少し具体化するだけで、勉強への向き合い方が変わることがあります。

オープンキャンパスに誘ってみる、気になる大学のパンフレットをリビングに置いておくなど、親が先回りしすぎず「きっかけ」だけ用意するのがポイントです。

高3:受験期のサポート

高3では、親が「コーチ役」をやめる

高3で勉強しない場合は、親よりも塾・予備校などの専門家に指導を委ねることが効果的です。同じアドバイスでも、専門家から伝えられると素直に聞き入れられやすくなります。

推薦入試も視野に入れる

一般入試に向けた学習が動き出しにくい場合は、推薦・総合型選抜も選択肢として提示しましょう。

部活動の実績や志望理由書・面接で戦えるルートがあります。高3の早い時期に提示することで、「自分にも道がある」という感覚が戻ることがあります。

テスト前でも勉強しないとき、どうする?

テスト前でも机に向かえないとき、まず目標を「全科目」から「この1科目のこの範囲だけ」に絞ってみてください。「やらないよりマシ」で十分です。完璧を求めるほど、子どもは動けなくなります。

次に環境です。教科書を開いてタイマーをセットするだけでいい——「あとはやるだけ」の状態を親が先につくってしまうと、動き出しのハードルがぐっと下がります。

塾の短期集中コースや個別指導の体験授業も、こういうタイミングで「提案」してみると受け入れられやすくなります。強制ではなく「行ってみる?」と軽く投げかける程度で十分です。

そして最後に、親自身が冷静でいることが大切です。

「もう間に合わない」という焦りは、言葉にしなくても子どもに伝わります。焦れば焦るほど、子どもはさらに動けなくなる——そのことを頭の片隅に置いておいてください。

進学校・発達障害・不登校——ケース別の対応

進学校で勉強しない場合

進学校では、「自分はできない」という気持ちが勉強しない背景にあることが多いです。中学で上位だった子が、優秀な同級生に囲まれることで自信を失ってしまうケースです。

全科目で完璧を目指す考え方を手放し、「得意科目を伸ばす・苦手は最低限」という目標設定を支援することで、少しずつやる気が戻ってきます。

発達障害・不登校の高校生への対応

発達障害の特性や不登校の背景がある場合、「やらない」のではなく「その方法ではできない」可能性があります。一般的なアドバイスが当てはまらないことも多く、専門機関との連携が不可欠です。

発達障害・ADHDのお子さんに対応している塾をお探しの方はこちらの記事も参考にしてください。

塾・カウンセラー——親以外の大人の力を借りる

なぜ親より塾講師の言葉が届くのか

「親が言っても聞かないのに、塾の先生が言うとすぐ動く」——多くの保護者が経験する現象です。

親子関係では、長年の関係性のなかで感情的なパターンが生まれます。「また勉強の話か」と、内容を聞く前に心理的なシャッターが下りてしまうのです。

一方、塾講師は感情的なしがらみがなく、適度な距離感から専門的な助言ができます。同じ内容でも素直に受け入れられやすくなります。

カウンセラー・教育相談の活用

勉強しない背景に不安や人間関係の問題がある場合は、学習指導の前に心理的サポートが必要なことがあります。

スクールカウンセラーは学校内で無料相談が可能です。子ども本人が嫌がる場合でも、まず保護者だけで相談できます。

各都道府県に設置されている教育相談センターも、保護者のみの相談を受け付けています。

塾を「提案」するタイミングと選び方

提案のタイミングは、成績が落ちたときよりも「子どもが困っているサイン」が出たときが効果的です。

「授業が難しくなってきた」「勉強のやり方がわからない」といった言葉を拾い、「手伝ってくれる人を探してみようか」と切り出すと受け入れられやすくなります。

塾の種類は子どもの状態に合わせて選びましょう。学習習慣が崩れているなら自習室が充実した塾でリズムを作ることが先決。

特定科目でつまずいているなら個別指導で集中的にギャップを埋めるのが効果的です。子どもが「ここならやれそう」と感じる場所を、一緒に探すプロセス自体が動き出しのきっかけになります。

まとめ:焦らず長期視点で「土壌」を整える

高校生が勉強しない問題は、単なる怠慢ではなく、アイデンティティ形成期に起こる発達的な変化です。「勉強しなさい」が逆効果だとわかったうえで、親にできることがあります。

① 言わない(リアクタンスを回避する)

② 選択肢を見せる(将来への具体的なイメージを持たせる)

③ 環境を用意する(学習のハードルを下げる)

この3つを学年に応じて使い分けることが鍵です。高1は将来像の提示、高2はサードプレイスの確保、高3は専門家への橋渡しが中心になります。

親だけで抱え込まず、塾や相談機関の力を借りることも重要です。

子どもが「自分でやろう」と思える瞬間は必ず来ます。その瞬間のために、安心できる家庭環境を保ち続けることが、最も長続きするサポートです。

※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。

一緒に読まれている記事