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中学受験の塾選び|よくある失敗と後悔しない選び方
塾の選び方

2025.11.18

2025.11.26

中学受験の塾選び|よくある失敗と後悔しない選び方

この記事でわかること
  • 塾選びでよくある失敗パターン
  • 集団指導と個別指導の違い
  • 大手塾の特徴と費用相場
  • 志望校レベル別の選び方

中学受験の塾選びは、子どもの将来に関わる大切な決断です。

「友人が勧めてくれたから」「有名な塾だから」という理由で選んだものの、残念ながら後から「うちの子には合わなかった」と感じる保護者の方も少なくありません。

後から塾を変えるのは時間的にも経済的にも負担が大きいため、いかに最初の段階でお子さまに合った塾を選ぶかが成功の鍵です。

この記事では、SAPIX・四谷大塚などそれぞれの大手塾の特徴、志望校レベル別の戦略まで、具体的な選び方のポイントをお伝えし、お子さまに最適な中学受験塾を見つける方法を徹底解説していきます。

監修者

古岡 秀士(ふるおか ひでし)

古岡 秀士(ふるおか ひでし)

株式会社ユナイトプロジェクト代表取締役

教育評論家。全国1万以上の教室を掲載する学習塾検索サイト「塾シル」の代表。 青山学院大学会計大学院を経て、病院・医院の検索サイトに従事。2016年、株式会社ユナイトプロジェクトを創業し「塾シル」を展開中。 本サイトでは全国の学習塾の紹介、塾選びのお役立ち情報を発信しています。

塾選びでよくある失敗と注意点

塾を選んだ後、「思っていたのと違った」と後悔する保護者の方は少なくありません。

3年間で250~300万円の投資とお子さまが掛ける時間を考えると、後から塾を変更するのは大きな負担になります。だからこそ、最初の塾選びで失敗しないことが重要です。

ここでは、塾を選ぶ時に陥りやすい落とし穴と、注意したいポイントをご紹介します。

塾選びでよくある落とし穴

利便性だけで判断してしまう

「家から近いから通いやすい」「送迎が楽だから」という理由で塾を選びたくなる気持ちは、よく分かります。通学の利便性は確かに重要な判断材料です。

しかし、利便性だけを優先してしまうと、お子さまの学習スタイルや志望校に合わない指導を受け続けることになりかねません。

近所にある塾を選ぶ時には、中学受験専門の指導体制があるかを必ず確認するようにしましょう。

補習塾と受験塾では、カリキュラムや情報量が大きく異なるため、本格的な中学受験対策が始まる5年生以降に対応しきれない場合もあります。

通塾の利便性と同じく、他人の意見に頼りすぎてしまうケースもよくあります。

友人や知人の勧めだけで決めてしまう

ママ友から「うちの子、この塾で成績が上がったよ!」と聞くと、同じ塾を選びたくなりますよね。

確かに信頼できる方からの情報は心強いものですが、他のご家庭で成功した塾が、自身のお子さまにも合うとは限りません。

塾を比較する際には、お子さまの現在の学力や性格、志望校レベル、ご家庭のサポート体制など、それぞれのお子さまの状況を考慮することが大切です。

友人の成功体験は参考程度に留めて、実際に体験授業を受けて、入塾前にお子さま自身との相性を確認しておくようにしましょう。

一方、友人の意見ではなく、塾の「ブランド力」を重視しすぎてしまうケースもあります。

有名塾だからと安心してしまう

「SAPIXなら間違いない」「四谷大塚は伝統があるから安心」と思いたくなる気持ちは自然なことです。

確かに大手塾には豊富な実績とノウハウがあります。ただし、塾全体の評判だけで決めてしまうと、お子さまとの相性や教室の実情を見落としてしまう可能性があります。

特に注意したいのは、塾全体の合格実績と、実際に通う予定の教室の実績は異なる場合があることです。

同じ塾でも、教室によって講師の質や指導方針が違うことがあります。合格実績の見方については後半で詳しくご紹介しますので、参考にしてください。

有名塾のブランドだけでなく、説明会やパンフレットの情報だけで判断してしまう場合も注意が必要です。

パンフレットの印象だけで決めてしまう

パンフレットや説明会での話を聞くと、「個別指導だから手厚くフォローしてもらえそう」「少人数制だから質問しやすそう」と期待が膨らみますよね。

ただし、説明会で聞いた内容と、実際の指導内容にはギャップを感じることもあります。

「思っていたのと違った」とならないよう塾を比較する際は、授業の進行スピードや宿題の量、保護者への連絡頻度、補習体制の有無など、具体的な運営方針を確認しておくことをおすすめします。

保護者がどの程度サポートする必要があるのかを事前に把握しておくと、入塾後のご本人や保護者の方に掛かる負担を想定しやすくなります。

本当に大切な判断基準とは

ここまでご紹介したケースに共通するのは、分かりやすい情報(立地や友人の評判、塾の知名度)を重視しすぎることです。

塾選びでは、より本質的な要素に目を向けるようにしましょう。授業の分かりやすさだけでなく「学習内容が定着する仕組み」があるか、塾の知名度だけでなく「通う教室の合格実績」はどうか、友人の推薦だけでなく「お子さまとの相性」は良いか、といった視点で確認してください。

後から塾を変えるには時間的・経済的な負担が大きいため、最初の塾選びは慎重に行いたいところです。

監修者 古岡
監修者 古岡

塾選びでは、情報不足よりも「思い込み」で判断してしまうケースが散見されます。入塾前に体験授業や面談を通じて、実際の指導内容とご家庭の期待値にギャップがないか、確認してから決めることをおすすめします。

集団指導と個別指導、どう選ぶ?

中学受験の塾選びで多くの保護者の方が迷うのが、集団指導塾と個別指導塾のどちらを選ぶかという点です。

お子さまの学習スタイルや性格、ご家庭の状況によってどちらが適しているのかは変わります。それぞれの特徴と費用体系を理解して、本当にお子さまに合った環境を見つけていきましょう。

集団指導塾:中学受験の王道スタイル

中学受験では、SAPIX、四谷大塚、早稲田アカデミー、日能研といった集団指導を中心とした大手塾が高い合格実績を持っています。

これらの塾は、長年蓄積した合格ノウハウと膨大な入試情報を持っている点が強みです。小6の秋には全範囲の学習を終了し、その後は本格的に過去問演習に入れるよう、設計されたカリキュラムの完成度が高く、月謝3~6万円という費用対効果の良さも魅力といえます。

ただし、授業の進度は速く、一度つまずくと取り戻すのが難しい面があります。宿題量も多いため、ついていくにはご家庭でのサポートが欠かせません。

模試やクラス分けによるほかの生徒との競争環境が合うお子さまもいれば、プレッシャーを感じやすいお子さまもいるため、適性を見極める必要があります。

個別指導塾:苦手克服や集団塾のサポートに

個別指導塾は、中学受験において集団塾での苦手な単元を補強したり、特定の科目を集中的に伸ばしたりする目的で活用されるケースが多く見られます。

ただし、個別指導塾だけで中学受験に臨む場合、志望校別の対策ノウハウや入試情報が不足する可能性がある点は押さえておくようにましょう。

また、費用は集団塾の2~3倍(月10~15万円程度)かかるため、経済的な負担も大きくなる傾向にあります。

子どもの性格・学習スタイル別の選び方

ここまで、集団指導と個別指導の特徴について解説してきました。それでは実際に、集団指導と個別指導のどちらを選ぶべきでしょうか。本人に合った指導方法を選ぶには、お子さまの性格と学習スタイルに合った環境を見極める必要があります。

競争を好み、周囲に刺激されて力を発揮するタイプのお子さまには集団指導塾が向いています。

逆に、マイペースで集中して取り組みたいお子さまや、基礎から丁寧に積み上げたいお子さまには個別指導塾が合っているでしょう。

また、学習習慣がまだ定着していないお子さまの場合は、個別指導塾での丁寧なサポートから始めて、その後、軌道に乗ったら集団指導塾に移行していくという方法もあります。

このようにお子さまの性格に合わせた環境を選ぶことも重要ですが、同時にご家庭の状況も考慮する必要があります。

家庭の状況を考慮した現実的な選択

保護者の働き方やご家庭のサポート体制も、塾選びに影響してきます。ご家庭での学習のフォローが難しい場合、宿題管理や学習計画の立案まで行ってくれる個別指導塾を選ぶという方法もあります。

逆に、ご家庭でのサポート体制が整っており、費用を抑えたい場合は集団指導塾を選び、必要に応じて家庭教師や個別指導を併用するのも一つの方法です。

塾を選ぶ際は、理想だけでなく、3年間継続するための現実的な条件を満たしているかどうかも大切な判断基準となります。お子さまの成長段階に応じて指導形態を見直すことも検討してみましょう。

監修者 古岡
監修者 古岡

指導形態は一度決めたら変更できないというものではありません。お子さまの成長や学習状況の変化に応じて、柔軟に見直すことが大切です。まずは体験授業で実際の雰囲気を確認し、お子さまが安心して学習できる環境かどうかを最優先に判断するようにしましょう。

体験授業で見るべきポイント

集団指導塾と個別指導塾の違いを理解したところで、次は実際に塾を選ぶ際の具体的なチェックポイントを見ていきましょう。

パンフレットやホームページを見ただけでは、分からないことが多くあります。ここでは、体験授業で確認すべきポイントと、3年間通い続けられる塾を見極める方法をご紹介します。

まず最初に確認したいのが、合格実績の見方です。

合格実績の見方と教室単位での確認方法

多くの保護者が重視する合格実績ですが、塾全体の数字だけを見るのではなく、実際に通学する予定の教室からの合格実績を必ず確認するようにしましょう。

大手塾でも教室によって指導力や合格率に差があるため、「○○校舎から△△中学に何名合格」という具体的な数字を確認するようにしてください。

また、在籍生徒数に対する合格率も参考になります。100名在籍で10名合格の教室より、20名在籍で8名合格の教室の方が合格率は高くなります。

過去3年間の実績推移を見ると、教室の指導力が安定しているかどうかも判断することができます。

合格実績と同じく重要なのが、実際に指導する講師の質です。

講師の質を見極める判断基準

体験授業では、講師の説明の分かりやすさだけでなく、「学習内容が定着するための仕組み」があるかを確認すると良いでしょう。

優秀な講師は、単に解法を教えるだけでなく、生徒が間違えやすいポイントを予測し、確実に理解させるよう工夫しています。

授業中に講師が理解度を確認する質問をしているかや、生徒たちに間違いの根本原因を探る指導をしているか、宿題に個別配慮があるかなどを観察してください。保護者説明会での講師の話し方や質問への回答も参考になります。

講師の質と合わせて確認したいのが、塾全体のサポート体制です。

サポート体制と個別フォロー体制

中学受験は長期戦のため、つまずいた際の個別補習体制が充実しているかは、大切なポイントです。定期的な個別面談の頻度、成績不振時の対応策、保護者との連絡体制などについて確認しておくと安心です。

特に確認したいのは、クラス担任制があるかどうかと、担任講師が生徒一人ひとりの学習状況を把握しているかどうかです。サポート体制が手厚い塾では、各生徒の得意・不得意、学習進度、性格まで把握して個別に対応しています。

これらのチェックポイントを踏まえて、実際の体験授業ではお子さまの反応を注意深く見ていきましょう。

体験授業で確認したいお子さまの反応

体験授業では、お子さまの表情や発言に注目してみてください。授業に積極的に参加しているか、質問しやすい雰囲気があるか、他の生徒との相性はどうかなど、学習環境としての適性を総合的に見ていきます。

授業後のお子さまの感想も大切です。「楽しかった」だけでなく、「なぜ楽しかったか」「どの部分が分かりやすかったか」を具体的に聞くと、お子さまと塾の相性が見えてくるでしょう。

体験授業を通してお子さまの反応を確認することに加えて、実際に3年間通い続けることを考えると、通学面の確認も欠かせません。

通学の安全性と利便性

塾までの通学路は、実際に保護者の方が歩いて確認してみてください。特に夜間の帰宅時間帯に、街灯の明るさや人通り、交通量をチェックすることで、お子さまが一人で安全に通えるかを判断できます。

送迎が必要なご家庭では、3年間続けられるかを考えておくことが大切です。平日の送迎が難しい場合は、駅近の立地や塾バスの有無も検討してみてください。

監修者 古岡
監修者 古岡

体験授業は、可能であれば複数回参加してみることをおすすめします。講師や授業内容によって塾の印象が変わることもあるため、何回か参加することによって、より確かな判断ができるでしょう。

主要5塾の特徴と志望校別の選び方

塾選びのチェックポイントが分かったところで、「では実際にどの塾が良いのか」という疑問が湧いてきますよね。

首都圏や関西圏には数多くの中学受験塾がありますが、中でもSAPIX、四谷大塚、早稲田アカデミー、日能研、浜学園の5つは合格実績と指導体制で高い評価を得ています。

ただし、これらの塾はそれぞれ指導方針が大きく異なります。最難関校に特化した塾、幅広い層に対応する塾、面倒見の良さが売りの塾など、特徴は様々です。お子さまの学力レベルや志望校に合わせて、最適な選択をしていくようにしましょう。

ここからは主要な5つの塾について、それぞれの特徴を紹介していきます。

御三家・最難関校を目指すならSAPIX

SAPIXは開成、麻布、武蔵の男子御三家、桜蔭、女子学院、雙葉の女子御三家への合格実績で強みを持っています。2024年度の開成中学合格者数は273名と、高い合格実績を持っています。

SAPIXの特徴は、復習主義と討論型授業です。毎回の授業で新しいテキストを配布し、その場で理解度を確認しながら進める独特のスタイルを採用しています。

そのため宿題量は他塾と比較して多く、ご家庭でのサポート体制を整えることが重要になります。なお、月謝は6年生で約6万6千円と、他の大手塾と比較すると高めの設定です。

ただし、SAPIXは学力上位層に特化した塾のため、入塾テストの難易度が高く、授業についていけない場合の個別フォローは限られています。偏差値55以上の学力があり、競争環境を好むお子さまに向いています。

SAPIXのような最難関校特化型ではなく、幅広い層に対応できる塾もあります。

バランス重視なら四谷大塚

四谷大塚は「予習シリーズ」という体系的な教材で知られており、中学受験の基礎から応用まで幅広くカバーしています。開成や桜蔭などの最難関校から、偏差値50台の中堅校まで、バランスよく合格者を輩出している点が特徴といえます。

週テストと組分けテストによる定期的な学力確認システムがあり、お子さまの理解度を細かく把握できます。

月謝は6年生で約5万円と、SAPIXより若干安めです。ただし、予習型の学習スタイルを採用しているため、家庭学習の習慣があるお子さまに向いています。

四谷大塚の強みは、中堅校への指導ノウハウが豊富な点です。偏差値45~60の志望校を目指す場合、安定した指導を受けられる塾の一つといえます。

バランス型の四谷大塚に対して、手厚いサポートで知られる塾もあります。

面倒見の良さなら早稲田アカデミー

早稲田アカデミーは「本気でやる子を育てる」をモットーに、熱血指導で知られています。復習重視のカリキュラムと手厚いサポート体制で、着実に学力を伸ばす指導を行っています。

特に注目したいのは、つまずいた生徒への個別補習体制が充実している点です。授業後の質問対応や、理解不足の単元に対する追加指導など、きめ細かなフォローを受けられます。月謝は四谷大塚とほぼ同水準で、補習費用は基本的に無料です。

早稲田アカデミーは、自主性よりも管理された環境で力を伸ばしたいお子さまや、保護者が忙しく家庭学習のサポートが難しいご家庭に向いています。

一方、管理型ではなく、思考力を伸ばすことに重点を置いた塾もあります。

思考力重視なら日能研

日能研は「シカクいアタマをマルくする」のキャッチフレーズで親しまれ、思考力と記述力の育成に定評があります。特に理科・社会の指導に強みを持ち、知識の暗記ではなく本質的な理解を重視したカリキュラムが特徴です。

宿題量は他の大手塾と比較して少なめで、お子さまの負担を抑えながら効率的な学習を進めることができます。月謝も比較的リーズナブルで、6年生で約4万5千円程度です。

日能研は中堅校から上位校まで、幅広いレベルの合格実績を持っています。特に思考力を問う学校や、理科・社会の配点が高い学校を志望する場合に相性が良い塾です。

ここまで首都圏を中心とした大手塾を見てきましたが、関西圏にも有力な塾があります。

関西圏なら浜学園

関西地区で最難関校を目指す場合、浜学園は有力な選択肢の一つです。灘中学への合格者数は毎年100名を超え、関西の最難関校への合格実績が豊富です。

浜学園の特徴は毎月実施する公開学力テストによって詳細に学力を分析し、それに基づいて個別指導計画を立てる点です。復習テストを行う頻度も高く、確実に理解の定着を図る仕組みが整っています。

関西圏で中学受験の塾をお探しの方は、こちらの記事も参考にしてください。

では、これらの大手塾をどのように選べば良いのでしょうか。お子さまの志望校のレベル別に見ていきましょう。

志望校レベル別の戦略

御三家・最難関校(偏差値65以上)を目指す場合

御三家(開成、麻布、武蔵、桜蔭、女子学院、雙葉)をはじめとする最難関校を目指す場合は、SAPIXまたは浜学園(関西)が候補になります。

これらの塾は最難関校への合格実績が豊富で、難易度の高い問題への対応力を養うカリキュラムが整っています。ただし、入塾テストをクリアする学力が必要で、授業の進度も速く、宿題量も多めです。学習スピードについていくために、ご家庭でのサポート体制が整っていることが前提となります。

難関校(偏差値55~64)を目指す場合

難関校レベルを目指すなら、四谷大塚や早稲田アカデミーが安定した選択肢となります。

四谷大塚は予習シリーズを使った体系的な指導で、基礎から応用まで段階的に学力を伸ばすことができます。早稲田アカデミーは手厚いサポート体制が特徴で、つまずいた際の補習や質問対応が充実しています。特に、保護者のサポートが難しい場合は早稲田アカデミーを検討するようにしましょう。

中堅校(偏差値45~54)・公立中高一貫校を目指す場合

中堅校や公立中高一貫校を目指すなら、日能研の思考力重視の指導が適しているでしょう。

日能研は知識の暗記ではなく、本質的な理解を重視したカリキュラムが特徴です。特に公立中高一貫校の適性検査で求められる思考力や記述力の養成に強みがあります。

宿題量も他の大手塾と比較して少なめなので、お子さまの負担を抑えながら効率的な学習を進められます。

塾選びで確認すべきこと

これらの大手塾を検討する際は、第3章でご紹介したチェックポイントを活用しながら、お子さまに最適な塾を見極めていきましょう。特に、通学する予定の教室単位での合格実績や、実際の授業レベルを体験授業で必ず確認しましょう。

我が家に合う塾の見つけ方

ここまで、塾選びの一般的なポイントや大手塾の特徴を見てきました。しかし、どんなに優れた塾でも、お子さまやご家庭の状況に合わなければ最大限の効果を発揮することは難しくなります。ここでは、ご家庭とお子さまの状況に合わせた塾選びの方法をご紹介します。

共働き家庭の塾選びポイント

共働き家庭にとって、中学受験の塾を選ぶ時には送迎と家庭学習サポートの両面が大きな課題となります。ここでは、共働き家庭が押さえておきたいポイントを具体的にご紹介します。

送迎と通塾時間の問題

共働き家庭で最も負担になるのが、平日の送迎です。特に6年生になると週4〜5日通塾し、終了時間が21時を超えることも珍しくありません。

送迎の負担を減らすには、(1)駅近の立地を選ぶ、(2)お子さまが一人で通える安全な通学路があるかを確認する、(3)塾バスの有無をチェックする、といった対策が考えられます。ただし、立地や通いやすさだけで判断せず、指導内容との相性も必ず確認するようにしてください。

また、授業の終了時間が20時台の塾を選ぶことで、迎えの負担を軽減できる場合もあります。塾によって授業の時間設定が違うため、複数の塾を比較するようにしてみましょう。

家庭学習サポートの負担

中学受験塾では、授業以外に家庭で宿題を管理したり学習の進捗状況を確認したりするサポートが必要になります。共働き家庭では、平日の夜や週末にこうしたサポートを行うことになるため、保護者の負担は決して小さくありません。

塾を選ぶ際は、保護者がどの程度サポートする必要があるのかを事前に確認しておくことが大切です。説明会や体験授業で、宿題の量、丸つけは誰がするのか、学習計画は塾が立ててくれるのか、といった具体的な質問をしてみてください。

共働き家庭に向いている塾の特徴

家庭学習のフォローが難しい場合は、以下のような塾が候補になります。

早稲田アカデミーのような手厚いサポート体制がある塾では、授業後の質問対応や補習が充実しています。宿題管理や学習進捗の確認もしっかり行ってくれるため、保護者の負担を軽くすることができます。

また、個別指導塾を選ぶのも一つの方法です。宿題管理や学習計画の立案まで塾が担当してくれるため、保護者のサポート時間を最小限に抑えることができます。ただし、費用は集団塾の2〜3倍かかるので、考慮することが必要です。

また、保護者との連絡体制が整っている塾を選ぶことも重要です。定期的な面談やメール・アプリでの進捗報告があれば、共働きで忙しい中でもお子さまの学習状況を把握しやすくなります。

その他の家庭状況に応じた塾選び

祖父母にサポートをお願いできる家庭では、送迎の制約が少ない分、より幅広い選択肢から塾を選ぶことができます。

ただし、教育方針については親子だけではなく祖父母も含め三世代での合意を得ておく必要があります。特に宿題のサポートや家庭学習の管理について、事前にしっかりと役割分担をしておくとスムーズです。

ひとり親のご家庭では、保護者一人に掛かる負担を軽くするために、塾のサポート体制が特に大切になります。

保護者との連絡頻度が高く、家庭学習の進捗管理をしっかり行ってくれる塾を選ぶことで、一人で受験サポートをしなければならない不安を和らげることができます。

子どもの性格別の塾環境の見極め方

家庭環境だけではなくお子さまの性格によっても、合っている塾の環境は違ってきます。

競争を好むお子さまには、クラス内での順位発表や席順制度がある集団指導塾が向いています。SAPIXや早稲田アカデミーのような競争環境の塾では、ライバルとの切磋琢磨により実力を伸ばすことができるでしょう。

逆に、マイペースなお子さまや競争にストレスを感じやすいお子さまには、個別指導塾や少人数制の塾の方が合っている場合があります。お子さま一人ひとりの理解度に合わせて進められる環境を検討してみてください。

メンタル面でのケアが必要なお子さまの場合、講師との距離感や相談しやすい雰囲気があるかを重視してみてください。体験授業では、お子さまが質問しやすい環境かどうか、講師がお子さまの表情や理解度に気を配っているかを観察すると参考になります。

最後に、3年間通い続けることを考えた塾選びについて見ていきましょう。

家庭の方針に合っているか・3年間続けられるか

塾を選ぶ時には、ご家庭の教育方針と塾の指導方針が合っているかを確認するようにしましょう。「とにかく偏差値を上げたい」のか、「お子さまの学習習慣を大切にしたい」のかによって、選ぶ塾は変わってきます。

また、3年間という長期戦を考えると、「本当に続けられるか」も大切なポイントです。初年度は頑張ることができても、学年が上がるにつれて負担が増え、ご家庭が疲弊してしまうケースも見られます。

そのため、宿題の量や通塾の頻度、保護者の関与度について、現実的に継続できるかどうかを事前に考えておくようにしましょう。

ご家庭の状況とお子さまの性格をしっかりと見極めて、現実的に無理のない範囲で効果を得られる塾を選ぶことが、中学受験で成功するための鍵になります。

監修者 古岡
監修者 古岡

塾選びでは「理想」と「現実」のバランスが大切です。どんなに評判の良い塾でも、お子さまやご家庭の状況に合わなければ継続は難しくなります。体験授業では指導内容だけでなく、3年間通い続けられる環境かどうかも確認してみてください。

中学受験塾の費用相場と賢い選び方

塾選びで忘れてはならないのが費用の問題です。中学受験塾は月謝だけでなく、教材費や模試代、特別講習費、合宿費など多岐にわたり、3年間で250~300万円に達することもあります。

高額な塾が必ずしも良い結果をもたらすとは限りません。費用とお子さまへの効果のバランスを見ながら、ご家庭の予算に合った塾を選ぶようにしていきましょう。

中学受験塾の総費用内訳と年間相場

集団指導塾の費用相場

集団指導塾の場合、月謝は3~6万円程度です。ただ、実際には月謝以外の費用も発生します。年間でかかる主な費用は以下の通りです。

  • 入塾金:2~3万円
  • 教材費:年間5~8万円
  • 模試代:年間3~5万円
  • 春期・夏期・冬期講習費:各5~15万円
  • 6年生の志望校別特訓:月2~4万円
  • 合宿費:5~10万円

これらを合計すると、集団指導塾でも年間80~120万円程度かかります。3年間では240~360万円の費用が必要となります。

個別指導塾の費用相場

個別指導塾の場合、1コマあたり1,400~9,400円と幅があります。週2回通塾すると月謝だけで4~8万円となり、これに教材費や講習費を加えると年間100~150万円程度が相場です。

このように塾には多額の費用がかかりますが、大切なのは金額の高低だけでなく、お子さまに合った塾を選ぶことです。

費用と効果のバランスの見極め方

塾の費用を比較する際は、単純に高い・安いだけで判断せず、「かけた費用に見合った成果が得られそうか」を考えてみてください。

高額な塾でも、お子さまに合わない指導方法であれば思っていたような結果につながりません。一方、月謝が比較的安い塾でも、お子さまとの相性が良く、しっかりサポートしてもらうことができれば十分な成果を期待できます。

費用と効果のバランスを見る際は、通学する予定の教室の合格実績を在籍生徒数で割った合格率を確認すると参考になります。また、追加費用が事前にはっきりと示されているかも大切です。入塾後に予想外の高額な特別講座を勧められるような塾は、注意が必要でしょう。

なお、最初の塾選びを慎重に行うべき理由として、転塾する場合の負担についても知っておく必要があります。

転塾による負担とリスク

塾が合わずに転塾することにした場合、金銭的負担だけでなく時間的・心理的負担も伴います。新しい塾に慣れるまでは学習の効率が下がるだけでなく、お子さまのメンタル面にも負担がかかってしまうからです。

さらに、5年生以降に転塾する場合は、受験まで時間が限られておりリスクが大きくなります。そのため、最初の塾選びで慎重に検討し、3年間通い続けられる塾を見つけることが、結果的に最も経済的な選択となります。

そのためご家庭の予算に合わせて、無理なく通える塾を選ぶことが大切です。3年間を見通して、費用と成果のバランスを考えながら塾を選んでいくようにしましょう。

監修者コメント:塾選びでは初期費用だけでなく、3年間の総費用を事前に確認することが大切です。家計に無理のない範囲で、お子さまに最適な学習環境を提供できる塾を選びましょう。

まとめ

中学受験の塾選びは、お子さまの3年間と将来に関わる大切な決断です。この記事では、塾選びでよくある落とし穴から、集団指導塾と個別指導塾の違い、大手塾それぞれの特徴、そしてご家庭の状況に合わせた選び方まで、幅広くご紹介してきました。

最後にもう一度、お伝えしたい大切なポイントをまとめます。

塾選びで最も大切なこと

中学受験の塾選びで何より重要なのは、「お子さまが3年間成長し続けられる環境」を見つけることです。華やかな合格実績や有名ブランドに惹かれる気持ちは分かりますが、それだけで判断するのではなく、お子さまの学習スタイルや成長段階、そしてご家庭の状況に合った塾を選ぶようにしましょう。

「友人に勧められたから」、「近所だから」という理由だけでなく、必ず体験授業に参加し、お子さま自身が「ここで頑張りたい」と思える環境かどうか確認しましょう。3年間は長い道のりです。無理なく続けられる塾を選ぶことが、結果的に志望校合格への近道になります。

これから塾選びを始めるご家庭へ

まずは、いくつかの塾の体験授業に参加してみてください。複数の塾を実際に見ることで、それぞれの違いや特徴が分かってきます。

体験授業では、授業の分かりやすさだけでなく、お子さまの表情や反応、質問のしやすさ、他の生徒との雰囲気なども注意深く観察するようにしてください。授業後にお子さまと一緒に「どこが良かったか」「どんな感じだったか」を話し合うと、お子さま自身の気持ちも見えてくるでしょう。

塾選びは時間をかけて慎重に行うべきですが、迷いすぎても前に進めません。この記事でご紹介したチェックポイントを参考に、ご家庭とお子さまに合った塾を見つけていただければ幸いです。

お子さまの成長を信じて、中学受験の準備を一歩ずつ進めていきましょう。

※本記事に掲載している情報は記事執筆時点のものです。料金・キャンペーンなどの最新情報は各教室にお問い合わせください。

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